美しいものは素晴らしい
地上波から姿を消したため、というかそもそも関心がないためご存知ないと思いますが、先日F1の2012年シーズンが開幕しました。今シーズンは2007年のワールドチャンピオン、キミ・ライコネンが復帰したため6人のワールドチャンピオンが戦うという魅力あふれる状況となっています。
それも大きな見所なんですが、真っ先に目にとまるのがマシンのかたち。ほとんどのマシンにフォーミュラカーの特徴であり一番カッコいいところでもあるノーズ部分に段差がついたせいでカモノハシみたいになってしまっているんです。
これは、今シーズンから適用された車高に関するレギュレーションの中でどれだけ速く走れるかを考えた結果なんです。が、トップチームのひとつであるマクラーレンはライバルチームがカモノハシノーズにする中、従来の美しい流線型のマシンをつくってきたんです。で、フタを開けてみると、マクラーレンが速かったんですね、これが。F1ではよく「美しいマシンは速い」と言われ、今年のマクラーレンもこの言葉を実証することになりました。
この定説はF1マシンだけでなく、いろいろな道具にもいえること。優れた道具って、求められる機能を突きつめるために無駄が削ぎ落とされていてホントにキレイなかたちをしています。
そのひとつが柳宗理さんがつくったお鍋。マットなステンレスの質感、ふっくらとしたキュートなフォルムが相まって、頬ずりしたくなる美しさをかもしだしています。しかもこのお鍋、まったく液ダレしないんです! これを使えばもう、夜中『酔拳2』を観ている最中に小腹が空いて鼻歌まじりでカップヌードルを出してきたまでは良かったものの、お湯を注いだ瞬間ダラダラ〜っと湯がこぼれて一気にブルーになることはありません。
人類が抱えていたこの大問題を解消するために柳さんは気が遠くなるほどの試行錯誤を重ねたとか。
我が家の台所には柳ツールが結構あるのですが、どれも使い心地が良くて愛着がわいてくるものばかり。値段は少し高めかも知れませんが、こういう道具を使うと便利なだけでなく、何気ない時間が楽しくなるという贅沢がついてくるのが魅力です。
何か染み入る系の奥様ブログみたいになりましたが、最近は気に入ったものだけを使いたいという気持ちが強くなってきています。
北の湖親方は凄い
人生いろいろ、出会いもいろいろ。人は社会という荒波の中で生きてゆくために、時には敵と呼ばれる人と出会ったり、時には自ら敵にならなければいけないこともあります。しかしそんな厳しい状況にあっても、心持ちひとつで苦境から這い出し、栄光をつかむことだって可能です。
敵を土俵の外へ追いやる押しの強さ、敵の攻撃にじっと耐える粘り腰、そして敵の勢いを削ぐ“いなし”が相撲だけでなく人生においても大切であることを身をもって教えてくたれのが、昭和の大横綱、北の湖親方です。
親方は2002年に相撲協会の理事長に就任。すると力士や関係者たちは「はっきょい、残ってみろ!」と言わんばかりに大麻問題や八百長騒動などを引き起こすツッパリの連打。しかし親方はそんなことではまったく動じません。無愛想、いや他人事…、クールな態度でマスコミ・相撲ファン・世間に対応し、日本人が忘れかけていた「怒り」という感情を呼び覚ましてくれたのです。さらに支え合いの時代を先取りし、トップの人間として責任を背負い込むことなく、みんなでシェアするというモデルケースを示してくれました。そんなこんなでこれといった話題もなく冷えきっていた相撲界は炎上…いえヒートアップしたのでした。再び相撲が盛り上がる様を見届け、親方は渋々…ではなくズバッと理事長の座から引きずり降ろされました。
これで一件落着。といきたいところですが、そうはなりませんでした。何と、親方は先日行われた理事長選挙に名乗りでて、見事当選してしまったのです!きっと親方はこれから新しい時代を担う若い世代にネバーギブアップ精神を教えたかったのでしょう。
そして就任会見で記者の「世間から批判の声が出ていますが、どうお考えですか」という意地悪な質問にも、「そんな声は聞こえてこない」と、お茶目に切り返すのですから敵いません。ホイホイ選挙に出る親方のフットワークの軽さも驚きですが、当選させてしまう角界の懐の深さもかなり常識破りです。
それにしても親方、この顔はどういうことになっているんでしょうか?吾輩はこういうお方とは敵としてはもちろん、味方としてもご遠慮したいところです。
B-BOY&B-GIRL
“伝統と革新の融合”というスローガンはいろいろなフィールドで掲げられていますが、それは仏像の世界も例外ではありません。従来の教科書的なスタンスで“ありがたみ”をアピールするだけではほとんどの人が関心を示さず、存在自体が忘れ去られてしまうことになる可能性だってないとは言えません。仏像の魅力や伝統文化を伝えるためには少なからず今の時代に響くアプローチが必要です。“そんな軽いことできるか!”というご意見もあると思いますが、困っている人のところまで行って救いの手を差し伸べてくださる仏様もいらっしゃるのですから、時代に合わせてアプローチ方法を変えるのは仏像さんたちもOKなんじゃないでしょうか。少なくとも奈良は「せんとくん」を生み出すようなアグレッシヴな姿勢を持っているので問題ありません。
そういう意味では、JR東海のキャンペーンCM「うまし うるわし奈良 東大寺〜戒壇堂篇」は四天王を前面に押し、頭の中で「スモーク・オン・ザ・ウォーター」が爆音で鳴り響くロックテイストあふれるナイスな仕上がりになっています。
四天王とは仏様を守る異能精鋭部隊。みうらじゅん氏はその出で立ちをしばしばロックバンドに例えていますが、東大寺の四天王は数ある四天王像の中でもとびっきりの重厚感を誇る大御所バンドです。特に世の中のすべての苦悩を背負い込んでいるような顔をした広目天(ベース)と多聞天(ドラム)の深みは尋常ではありません。普段は派手な増長天(ボーカル)と持国天(ギター)に目がいきがちですが、ここはベースとドラムが目立つモトリー・クルー状態になっています。
ところで近頃ひしひしと感じるのが大物ロックバンドの高齢化。ストーンズのメンバーは70近くだし、ニューウェイヴといわれる人たちも今や立派なオールドエイジ。彼らのようなスケール感のある若い世代というのもそれほど出ていないようだし、もはやロック自体が若者のカルチャーではないのかも知れません。
ということで仏像界も今後はロックテイストだけでなくストリート感覚を取り入れたアプローチをとるのもいいんじゃないでしょうか。まずはパイオニアがダンサー仕様のオーディオに力を入れているのに乗っかって、ビートの利いた声明で踊ったり、街中でラップのようにお経をあげるB-BOY&B-GIRL(「B」はもちろんBUTUZOUの「B」)が現われるシーンをつくってはどうでしょう。
終わりは始まり
最近起きている国の経済破綻や独裁政治の崩壊、大規模なデモなどを見ると、ここ100年でつくられたいろいろなものがガラガラと音を立てて崩れているような気がします。しかしそれに替わるイデオロギーもシステムもないため、人は困惑するばかり。わたしたち小市民は‘いつか良くなる’という希望を持って前進しつづけるしかありません。
そんな混迷の波は、わが国の球界にもやってきました。そう、「モバゲー」を運営するDeNAによる横浜ベイスターズ買収騒動です。他球団からは早くも‘出会い系サイトをやっている会社がプロ野球チームを持つなどけしからん!’と、クレームが出ている様子。しかし飛ぶ鳥を落とす勢いのDeNAはそんなイチャモンなど気にせず、球団名を「横浜モバゲー・ベイスターズ」にし、さらに監督に新庄サンを据えようというのだから驚きです。ちょっとふざけ過ぎじゃありませんかと思わないでもありませんが、今まで散々まともな人が監督をやってボロ負けしているのですから、‘野球大好きやけどルールはもひとつ分からんねん’という素人を抜擢するのもアリかもしれません。この際、歯が白すぎることもスルーしましょう。
間違いなく新庄効果で客入りも良くなるだろうし、「モバゲー」のノウハウを野球観戦にも活かして、入場料無料、だけど2回からは1回につき1000円ずつ課金というシステムにすれば、球団収入もかなり改善されるのではないでしょうか。
しかし「横浜モバゲー・ベイスターズ」という、何となく縁起の悪そうな名前のせいで有望な選手は出ていき、さらに負け数が増えるような気がしてなりません。そして「ボロ負けする」「ガッカリするようなミスをする」ことを‘モバゲる’と言うのが定着するんじゃないかと心配です。
そんなマイナス効果があったとしても、プロ野球球団を持つ宣伝効果は絶大。希望する球団名が認められれば、もう巨人の渡辺会長に「モガベー」と間違えられることもないでしょう。
カメよるチン作の予感
小学校や中学校は、人が社会で生きてゆくために大切なことを学ぶ場所。しかし歳を重ねるにつれ、せっかく身につけたことをいとも簡単に忘れてしまうようです。吾輩も担任の先生に言われた‘自分ができること、できないことをしっかり考えなさい’という教えを、『妖怪人間ベム』実写化のニュースを見るまですっかり忘れていました。
『妖怪人間ベム』の実写化というだけでもビックリですが、主役のベムをKAT-TUNの亀梨くん、ベラを杏ちゃん、ベロを福くんが演じるというから驚きはさらに倍。
もう、全然っハズしてますやん!というかひどいな、このキャスティング。見た目的には、杏ちゃんは百歩譲って許すとして、亀梨くんと福くんはまったく違うでしょ。べムなんてスキンヘッドですけど、どうするんですか?(「Going」でのホームラン挑戦企画といい、亀梨くん、できないことは断ってもいいんですよ)
だいたいアニメ版のキモになっていた異形ゆえの苦悩というディープなテーマを、今のテレビドラマで描けるとは到底思えません。おそらく肝心な部分を抜き取って、3人が難事件を解決するハートウォーミングな話になるのでしょう。それはもう『妖怪人間ベム』のコスプレをした別の話ですから。分析と思い入れが必要なパロディですらありません。
どうせやるなら、早々と正体がバレて、みんなにツィートされまくり、あげくの果てにユルキャラ扱いされてブレイク、その後お約束のバッシングがはじまり‘俺たちって何?’と思い悩む姿を描いた方がまだましです。
キャシャーン、デビルマン、ゲゲゲの鬼太郎、怪物くん、宇宙戦艦ヤマト(スペースバトルシップって、完全にナメてるやろっ!)といったマンガやアニメの実写化、もうそろそろやめてくれませんかね。
どうせ夜中のバカ会議で偉いおっさんが‘次はベムやな’とか言ったんでしょうけど、誰かが‘それは僕にはできません’と言わないと。
ほとんどの脚本は目も当てられないし、キャスティングもキャラを度外視してアイドルや人気俳優を当て込んだだけといういい加減さ。作品を観る観ないに関係なく腹立ちます。そのうち、ひどい出来の実写版をアニメ化するなんてこともあり得るんじゃないでしょうか。
サントリーCM
今やハリウッド女優の彼女にこんなことを言うのは失礼なんですが、小雪さん、顔が般若にしか見えません。サントリー角瓶のCMで ‘小さなお店’のママを演じてますが、般若顔のせいで、客の前では笑っていても家に帰ったら夫を奪ったオンナに嫌がらせをしているように思えてしまいます。
そういえば先日、怒濤の最終回を迎えた『名前をなくした女神』の、りょうさんも恐ろしかった。あの人、普通に立っているだけでホラーです。
さて、最近のCMって、印象に残るものが少ないですね。「誰々が何々している」といった話題はよく見聞きしますが、放送が終わった後も脳裏に焼きつくようなものは皆無といっていいほど。それは長年連れそうファンを獲得するより、短期的な売上アップに注力する企業の姿勢があらわれているといえるでしょう。
そんな今に比べ、‘軽薄’‘軟弱’といわれた80年代に骨のある名CMが多くつくられたことは何とも皮肉です。例えば、サントリー・ローヤルの偉人シリーズもそのひとつ。ガウディ編、マーラー編、ランボー編、ファーブル編などがつくられましたが、どれもビックリするくらいクオリティが高い。つくった人もスゴいけど、企画にゴーを出したサントリーもスゴい。
吾輩は日曜映画劇場の時間にローヤルのCMを観て胸をときめかせていたのですが、中でも幻想的なランボー編を見た時は、いけない世界に迷い込んだ気がして頭がクラクラしたものです。マーラー編を見た時もレンタルレコード屋へ「大地の歌」を探しに行ったなぁ。いやぁ、今でも思い出がよみがえってきます。
というワケで、締めはユルいローヤル風で。
一瞬に永遠を焼きつけるCM。それは、見る者とつくる者の心を映し出す印画紙。スマートでいて苦みがあり、やさしくてわがまま。そんな油断ならないCM、ちょっと見つからない。
F1〜2011年シーズンがスタート
オーストラリアGPを皮切りにF1〜2011年シーズンがスタート。昨シーズンは最終戦で4人のドライバーがタイトルをかけて戦い、大逆転で最年少チャンピオンが誕生するというドラマチックな展開だっただけに、今シーズンへの期待も高まります。
さらに今年はタイヤサプライヤーがブリヂストンからピレリに代わったり、ブレーキをかけた時に発生するエネルギーを溜めて一定時間パワーアップできるKERSというシステムが復活したり、リアウイングの角度を変えてストレートのスピードを上げるDRSを導入したりと、ガジェット好きにもなかなか楽しいシーズンになっています。技術的な面だけでなくドライバーもワールドチャンピオン経験者が5人も参戦しているなど、今F1は地味ながら何度目かの黄金期を迎えているのです。
また、小林可夢偉クンもあびる優チャンとの熱愛にうつつを抜かすことなくF1道に精進してくれれば、トップチームへステップアップする活躍を見せてくれるのではと、多くのファンは期待とエッチな妄想を混ぜこぜにしながら見守っています。
そういえばF1ドライバーと日本の芸能人ってけっこう縁がありますね。現役では2009年の男前ワールドチャンピオンのジェンソン・バトンと道端ジェシカさん、過去にはジャン・アレジとゴクミさん、ミカ・サロと遠藤賀子さんなどのカップルが生まれました。(個人的にはミカ・サロにジェラシーを感じます)あと、森公美子さんも以前「さんまのまんま」に出演した時に、F1ドライバーからアタックされたみたいなことを言っていた記憶があるのですが、これはどうでもいいですね。
ワールドカップ、オリンピックに次ぐスケールといわれるF1サーカス。しかし日本では完全なマイナースポーツ。可夢偉クンの公私に渡る活躍をきっかけに、少しでも盛り上がってほしいものです。
新ヤン坊マー坊を応援します
天気予報でお馴染みのヤンマーのキャラクター「ヤン坊マー坊」が、このたびご覧のデザインにリニューアルされることになりました。今までもマイナーチェンジはしていたのですが、今回の新デザインは昭和34年の誕生以来はじめて生みの親であるアニメーターの中邨靖夫氏以外の人が手掛けたとのこと。
現在のタッチに比べるとレトロ感といいますか100%オレンジ的なヘタウマ感を打ち出したものになっています。服から「Y」と「M」のイニシャルが消えたため、ふたりを見分ける手だてがモミアゲだけとなり少々困ってしまいますが、特に見分けなければならない必要もないので問題ないでしょう。個人的には、アリだと思います。(アニメになって動く時が大きな山場ですね)
しかし、世間の評判はあまり芳しくないようで、ネットでは厳しいコメントが書かれているのを見かけます。
ヤンマーも、こういう時どこからともなく現われるファンの拒否反応を和らげるために、今後も旧「ヤン坊マー坊」を併用するとのこと。何じゃ、そりゃ。メーカーの顔となるイメージキャラクターを、そんな弱腰で打ち出してどうすんの。
こんな中途半端な姿勢では、かなりイタいキャラにも関わらず堂々とプッシュする、ライバル会社のクボタにやられてしまいます。
世間の評判、メーカーの自信のなさはおいておくことにして、吾輩は「せんとくん」同様、新「ヤン坊マー坊」を応援します。
posted by ichio : 12:28PM | | trackback (0) | 2011年01月16日酔いどれ
男という生き物は、誰しも多かれ少なかれアウトローに憧れを持っているものです。そして、「酔いどれ」という言葉にクラッときて、お酒を飲む自分に酔う時期があるものです。吾輩も大学時代、友だちからトム・ウェイツを教えてもらい、その酔いどれぶりにしびれて昼間っからジンを飲んだりしてイキっていたことがあります。しかし、お酒が強くないこと、カッコつけてもモテないことが分かると無理するのがアホらしくなり、すぐさまおとなしい小市民におさまりました。
大体モテる男の酒の飲み方というのは、腰がすわっていてカラダの軸がブレない。朝礼で「はい、そこの男子、頭をフラフラ動かさない」と注意される小6のように落ち着きのない吾輩は、スタートラインですでにダメだったことが今では分かります。
そんな悲しい悟りをひらいたせいで酔いどれへの憧れも薄れ、お酒を題材にした音楽や小説などとも縁遠くなっていました。しかし、ひょんなことから『レギュラーズ』という写真集を見つけて酔いどれ熱が再発。サラ・ストルファという写真家によるこの作品は、彼女自身がバーテンダーとして働くバーに訪れる常連客にレンズを向けたもの。かつての吾輩のように酔いどれ熱を発症している若者、風呂場に置く滑らない石けんケースみたいなチープな商品を売り歩いていそうなオッサン、ほぼ終わっているオヤジなど、客のタイプはさまざま。(こんなに年齢、職業、タイプを問わず集まる酒場って、今の日本にはなかなかないですよね)ただ、みんな、‘なぁ、ちょっと聞いてくれよ’と、締まりのない話をダラダラしそうな雰囲気を持っているのが共通。お酒をチビチビ舐めながら、一人ひとりの物語を想像すると楽しいんじゃないでしょうか。
戦う女性は美しい
「戦う女性は美しい」。この言葉の意味が、最近になってようやく分かってきたような気がします。それは、吾輩も歳を重ね、人の内面に目がいくようになったからなのか、日本の女性アスリートの顔面偏差値が上がってきたからなのかは定かではありません。
ただ、クルム伊達さんの活躍を見て涙が出そうになるのに、谷さんの引退会見を見て笑いが出そうになるということは、やはり後の方が理由なのかもしれません。
それにしてもクルムさん、すごいですね。長いブランクの後復帰して、40歳になった今も世界のトップレベルの選手と十分に戦えるのですから。彼女が日本人離れした能力を持っているといえばそれまでなんでしょうけど、やはりどうしても「他の日本人選手は何をしてるんですか?」と思ってしまうのも事実。まぁ、そんなイケズな茶々はさておき、きっと彼女は自らの努力に加え、旦那さんのオリジナル・クルムからの愛あふれるサポートを受けているのでしょう。
しかし、サポートの面では谷さんだって負けてはいません。柔道家としての引退会見なのになぜか小沢氏がぴったりと横について睨みをきかすあたりは、結婚披露宴で見せてくれたケーキくらいのインパクトがありました。やはりあれくらいの人になると、決意の表現方法も常人とはかなり違うものなんですね。
ということではなくて、吾輩が書きたかったのはビーチバレーのことです。そう、ビーチバレー界、いや日本のスポーツ界が誇る美女、浅尾美和さんと管山かおるさんが夢のペアを組むという構想が浮上しているというじゃないですか! 元気ハツラツな浅尾さんと、大人のオンナの魅力で攻めるかおる姫。この二人がビキニを着て砂浜を縦横無尽に駆けまわるのであれば、ビーチバレーにま〜ったく興味のない吾輩でも見てみたいと思ってしまいます。
プチ熟女好きな吾輩のご贔屓は、もちろんかおる姫。まだ31歳という年齢ながら、どこか枯れたというかワケありな雰囲気が漂うところが琴線にふれるんですよね。いろいろと妄想を膨らませながら彼女のプレーを見ると、さらにコクが増してくるのは間違いありません。ただ、その妄想をここに書くにはあまりにも内容が濃すぎるのでひかえます。
NO MORE 映画泥棒
「LED AQUOS」のCMを見て、モッくんが桂南光(ex.べかちゃん)とダブッてしまうのは、きっと暑さで脳が破壊されたからでしょう。
さて皆さん、映画館に行き、楽しみにしている映画が今からはじまろうとしているのに、どうしてだかイラッときたことはありませんか? それは本編の前に流れる「NO MORE 映画泥棒」のPR映像に登場するキャラクターのせいです。頭部がビデオカメラになっていてブレイクダンスみたいにカクカク動くヤツといえば、ヤあぁ、あいつか!ユと、ピンッとくると同時にイラッときたと思います。どうしてそんなに腹が立つのか? お金を払って映画館に来ている客を泥棒呼ばわりしているように感じるからなのか、訴えかけている当事者がふざけているように見えるからなのか、派手に踊りながら盗撮して案の定捕まるキャラのアホさ加減なのかは分かりませんが、人をイラッとさせることだけは間違いありません。吾輩の知り合いには、このキャラを見るのがイヤで、わざわざ上映時間ぎりぎりに館内に入る人がいるくらいです。
そんな「NO MORE 映画泥棒」のPR映像ですが、ちょっと前に新バージョンに変わったことはご存知でしょうか。今まではビデ男(名前が分からないので勝手に名付けます)が一人で踊りながら盗撮して捕まるという内容だったのですが、新バージョンでは女性客と警察側のキャラ、パトランプマンが登場するなど、かなりグレードアップしています。
吾輩が驚いたのは、ビデ男逮捕を目撃する女性客。ビデ男の犯行を見て驚いているのかと思いきや、自分も自宅でニヤニヤしながら違法なダウンロードをしているではありませんか。つまり、こやつも映画泥棒。ということは、女性客はビデ男とグルだということも考えられるワケです。自分が見張り役をしていたら突然パトランプマンが現われて慌てふためいた。そうだったとしても全然不思議ではありません。悪いことをする人って、意外にこういう地味なタイプなんです。現にこの女性、パトランプマンに逮捕されてもまったく反省しているように見えない。かなり図太い神経の持ち主です。これはまたやるな、絶対。
もうひとつのサムライ物語
ワールドカップで予想外の活躍をしたサムライ・ブルー、賭場で予想通り大負けしたギャンブラー力士たち。日本は今、空前のサムライ旋風が吹き荒れています。
プロスポーツの世界は結果がすべてとはいいますが、ワールドカップ予選でカメルーンに勝ってからのマスコミの手の平の返しようにはビビってしまいます。でもまぁ、日本代表チームが健闘してくれたのは間違いないことで、青いサムライたちにグッドジョブ!と鳩山前首相のようにサムアップしたいと思います。
そんなヒートアップしたワールドカップ騒ぎの陰でもう一人、世界を相手に戦うサムライが素晴らしい結果を出したことはほとんど知られていません。何と、日本人でただ一人F1に参戦している小林可夢偉クン(亜久里だの右京だの虎之介だの隆智穂だの、何でF1ドライバーは変わった名前が多いのでしょうか?)が、先日行われたヨーロッパGPで7位をゲットしたんです!
…7位て、全然あきませんやん!とお思いの方も多くいらっしゃると思うので、少しばかりご説明しましょう。F1はチームによって力の差が大きく、優勝はおろか上位に入ることができるのは、ほとんどトップチームのドライバーだけという世界なんです。可夢偉クンが在籍するザウバーというチームは、良質な中堅チームながら資金力不足でマシン開発が進まず、10位に入るのも難しい状況。
さらに可夢偉クンは昨シーズン、ケガをしたレギュラードライバーのピンチヒッターとしてF1デビューして、いきなり入賞するという素晴らしいスタートをきったものの所属していたトヨタチームが消滅したため、実家の寿司屋を継ぎそうになっていたんです。
そんな苦しい状況での7位は非常に価値あるもの。しかも棚ぼたではなく、ラスト4周で現役最高のドライバーと誉れ高いアロンソをはじめ2人をオーバーテイクしたというのが凄い。サッカーで例えるなら、本田選手がベスターマンとメルテザッカーを抜いてシュートをきめたくらいのインパクトでしょうか。…ちょっと言い過ぎのような気もします…。
可夢偉クンが凄いのは、勝負勘が良く、自分の力でチャンスをつくり結果に結びつけることができるところ。これは、「世界」という大舞台に出て行きながら実は引き蘢りだった虎之介クン、抜くためにクラッシュしてしまうのかクラッシュするために抜きにかかるのか分からなかった琢磨クン、レース中も‘追い越ししたら危ない!’と、とことん安全運転にこだわった一貴クンとはひと味違うところ。
今、世界のF1関係者は ‘What kind of guy is kamui?’と、可夢偉クンに注目しはじめています。しかし、スポーツで成功するためにはお金が必要。日本の企業には「費用対効果」なんてみみっちいことをいわず、スポンサー支援をしていただきたい。そして可夢偉クンには、シャリをにぎりそうになった手でしっかりとチャンスを掴んでほしいものです。
ところでこの写真、厨房でハンバーガーを持ってサムアップ。彼も鳩山前首相のパフォーマンスがお気に入りのようです。てか、チームに何をさせられとんねんッ!
イケアにイッタラ
人は歳とともに趣味趣向も変わってくるもので、吾輩も最近ではいっちょこ前に‘いい食器がほしいなぁ’なんて思うようになってきました。
雑誌や本なんかを開くとあれやこれやとイカす食器が紹介されていて、屁と一緒にタメ息が出る毎日。触発されて‘買ったろやないかいッ!’とお店に行くと、これがものごっつ高い。ひとつだけならどうにかなる値段でも、こういうものはだいたい家族分要るわけで、そうすると天文学的数字になってしまい、スゴスゴと退散する羽目になってしまいます。
吾輩とつれ合いが前から‘欲しいな欲しいな’とつぶやいているのがイッタラの食器。特に「ティーマ」というシリーズはシンプルでかわいく、見ようによっては男くささを感じる、何ともいいがたい魅力を放っています。が、うちにはずっと使っているマグカップがあり、割れてもいないのに世代交代させては何かと遺恨が残るようでなかなか買い替えることができずにいます。
さらに先日イケアに行ったら、つれ合いが「ティーマ」に似ているといえなくもないお皿を発見。手に取ってみると、カタチは似ているのに値段は大違い。吾輩のスーパーコンピューターが瞬時にはじき出した答えは、‘こっちにしたまえ’。
というワケでこのお皿、我が家では「イッタラ」に対抗して「イッケア」と呼ばれています。
あと、これはとても重要なことなのですが、イケアのレストランのチキンカツカレーは、カレーの量が少ないのではないでしょうか。ご飯の残量を見ながらチビチビとカレーを食べるのはすごくフラストレーションがたまります。オヤジ衆が気兼ねなく食べられるメニューはチキンカツカレーしか見当たらないので、ぜひとも再考してほしいものです。
posted by ichio : 12:28PM | | trackback (0) | 2010年03月28日パンスト好きが差別されている件
吾輩は怒っています。どうしてガーターフェチが市民権を得ているのにパンストフェチは変態扱いされるのかと。えっ、どっちも変態? いや、そんなことはない。本や雑誌なんかで‘ガーターが好き’という殿方にはどこか骨董品を愛するような粋というかダンディズムが感じられるよう演出されているのに、パンストラヴァー(吾輩はあえてそう呼びたい)にはそういうものは皆無。なんとも嘆かわしいことです。
ガーター好きの人は大概‘パンストほど見た目が洗練されておらず醜いものはない’と仰います。吾輩に『戦場のメリークリスマス』の内田裕也風にいわせれば、‘何をいっとるかぁ〜’である。彼らがいう洗練されていないことこそが魅力的なんである。ヒップを丸ごと包むライン、内股に張り付く密着感、そして太股から一気にのびるつま先の何とエロく美しいこと。さらにパンストを履く時のカッコもセクシーじゃありませんか。いやいや‘パンスト’という呼び名自体がすでにエロい。
パンストの魅力を一言でいうと「密封感」です。ヒップからつま先までを覆う薄いナイロン繊維の中に、女性からわき出るあらゆるもの(それを男のロマンといい替えてもらっても結構)が充満しているように感じるんです。それに対してガーターは隙間から大切なエッセンスが漏れ出てしまっているんですよね。吾輩にしてみれば栓をせずにお風呂を沸かしているようなもの。もったいないッ!エロもエコであってほしいものです。
パンストの魅力について大吉で熱く語り合ってくれる同士、募集中です!
あぁ、こんなことを書くとまた女性からのアクセスが減るわ。
F1〜2010年シーズン開幕
先週末、F1の2010年シーズンが開幕。毎年のことなんですが、やっぱり開幕戦はワクワクします。去年は政治的なゴタゴタや八百長スキャンダル、自動車メーカーの撤退などテンションの下がる出来事が多かったのですが、今シーズンは見所がたくさんあり楽しめそうです。
まず、トップ争いをするであろう4チームの力が接近していて、どのレースも8人のドライバー(1チームに2人のドライバーがいることがミソなんです)に優勝するチャンスがあるというのが珍しい。
次に、F1史上ぶっちぎりの優勝数を誇るシューマッハが復活。輝かしいキャリアに自ら泥を塗るリスクを恐れず、41歳という年齢で再チャレンジ。男前です。
そして、天才セバスチャン・ベッテルが才能を開花させるところを目撃するのも大きな見所のひとつでしょう。(もしかしたら、それだけのシーズンになる可能性も…)個人的には今のベッテルとシーズンを通してガチンコで戦えるドライバーは2人だけだと思っています。
そしてもうひとつ日本人として要チェックなのが、フル参戦デビューを果たした小林可夢偉。日本のF1ドライバーって何で変わった名前ばかりなのかという問題は置いといて、とにかくこの元気な若手でドライバー、何かしでかしてくれそうな雰囲気を持っているんです。実際、昨シーズン2レースに出場して世界中を唸らす走りを見せてくれました。(しかし、彼をサポートしてきたトヨタがF1から身を引いたことで突如行き場を失い、あわや実家の寿司屋を継ぎそうになるまで追いつめられたというジェットコースター的な人生を歩んでいらっしゃいます)
片山右京や佐藤琢磨も同じような期待を抱かせてくれましたが、結果は力み過ぎて自滅。まだまだ世界の壁は厚いなぁと思い知らされました。可夢偉の場合も強者が集まるF1で成功するのはハンパなく難しいと思いますが、吾輩はいろんな意味で期待しています。今年からアメリカのインディカーに参戦している佐藤先輩は、可夢偉に「ドライバーたるもの目立ってなんぼ、無茶してなんぼ」という自らのレース哲学を教えるためか、開幕戦でいきなり他のクルマに突っ込み多重クラッシュを巻き起こしてました。相変わらずおもしろい人です。
話は少々脱線しましたが、皆さんも「松山ケンイチ=カムイ外伝=可夢偉」と、マジカルバナナ的に彼の名前をおぼえておいて損はないと思います。いや、このさい積極的に応援して冷えきったモータースポーツ、自動車メーカー、社会全体を盛り上げましょう。
念のためいっときますが、今のF1、特にレギュレーションが変わった今年のF1は追い越しがほとんどなく、最初から最後までグルグル回ってるだけです。
F1話はこちらでもやってますので、良かったらどうぞ。
posted by ichio : 12:28PM | | trackback (0) | 2010年01月19日デザインのチカラ
日曜日、仕事場帰りに雑貨屋さんの「アンジェ」に寄ったところ、ビビーンとくるパッケージを発見。手に取って見たら、「アンジェ」と雑誌「Re:S」と富士フィルムがコラボした「写ルンです」と判明。年齢とキャラに反して胸キュンテイストに目がない吾輩は、ターンテーブル(中古のSL-1200)を買ったところにも関わらず、ズバッとレジへ。自分でも惚れ惚れする男らしさです。(ちなみに今まで使っていたターンテーブルは小学生の時に買ってもらったもので30年近く使いたおしました)
今となっては「写ルンです」を買うことはまずないのに、パッケージがいいと必要ないのに買ってしまう。あらためてデザインのチカラを感じました。
そういえば「Re:S」って、KITSCH PAPERでリンクさせてもらっているUNDERSONさんがデザインを担当されていたと記憶しております。この雑誌、デザインはもちろんのこと写真もすごく良くて、本屋さんに行くとよくバックナンバーを眺めています。写真を撮っておられるのは、「天然生活」などでも活躍している伊東俊介さんという方。プロフィールに載っている写真を拝見すると、実にいい味を出していらっしゃる。さぞ年季が入っている方なのだろうと思っていたら、どうしたことか吾輩より歳下じゃないの。つくづく自分の顔にコクというものが欠落していることを実感。
伊東さんの写真は、一見どこにでもある風景を独特の色合いと被写体にしっくりくるジャストなアングルで特別なものに変えてしまう。ちょっとノスタルジックで、それでいてホッとする不思議な魅力があるように感じます。
上の写真も吾輩が撮影したら、何のために撮ったのか分からない意味不明の風景写真になることは間違いありません。
イケズなので‘それはカメラマンと人柄’とかいって和むのはイヤなのですが、彼の写真を見ていると‘どんな人なんだろ?’という興味がわいてきます。
DROPサイト 開帳
山動く。‘不世出’ではなく単なる‘不出世’と言われる吾輩が営んでおります事務所DROPのWEBサイトがめでたくオープンいたしました。制作してくれたのはいろいろなお仕事でご一緒させてもらい、KITSCH PAPERのサイトデザインも担当してくれているsubtonicさん。
吾輩のザックリとしたリクエスト(イメージはちょいポップなヨセフ・ミュラー・ブロックマン)を見事にカタチにしてくれて大満足。グッジョブ!
今までは仕事とKITSCH PAPERを切り離していたのですが、ひょんなことで新しい出会いやつながりが生まれるかも知れないということで、サイトオープンをきっかけに両方をリンクさせることに。
お仕事でお付き合いさせてもらっている方々の中には、こんなことしてるんやと意外に思われる方もいらっしゃるでしょうし、逆に日頃 KITSCH PAPERを見てもらっている皆さんの中にはこんな仕事しとったんかいと驚かれる方もいらっしゃるでしょう。(どちらの場合もいい意味で意外に感じてくださることを願います)
今回のサイトでは使っていないのですが、DROPをはじめた時に大学時代からの友だちにロゴをつくってもらい、これまたすごく気にいっていて、これからもずっと使っていきたいと思っています。
ということで、これからもKITSCH PAPERとDROPをよろしくお願いします。
ついでといっては何ですが、最近登録した流行りのTwitterとやらのアドレスも載せておきます。ちなみに、どうつぶやいていいのか分からず放置状態です…。
http://twitter.com/OKUMURAX
意図と効果の関係
仕事の帰り、暗い夜道をとぼとぼ歩いていると、電柱の陰で一人たばこを吸っている男性が目に入りました。何か違和感を感じるなと思ってもう一度見直したら、何とその人はタイガーマスクのマスクをかぶっていました。
辺りを見回しても誰もいない。居るのはぼんやりとした外灯の光に照らされたタイガーマスクだけ。ははぁ〜ん、亡き三沢社長を追悼しているんだなと思うワケはなく、ただひたすら怪しいタイガーマスクを見つめていると、その男は吾輩が近くにいることを知らなかったようで、‘わっ、ビックリした’と声を出して驚きました。お前がビックリしてどうすんねん!
一瞬笑いそうになりましたが、同時に笑わしてやろうという男の意図が見えて、シュルシュルシュル〜とテンションが下がってしまいました。でもまぁ、よくいる学生ノリの輩ならマスクをかぶって終わりですが、この男はその先にもうひとつ‘すかし’を仕込んでいたので良しとすることにしました。(帰ってから、この男、もしかして強盗したてで一服していたところだったかもと思いゾッとしました)
この出来事は、一般の人の笑いは笑わす側の意図の隠し加減が重要だと分かるよい例でしよう。あまり笑わしてやろうという気持ちが前に出ると、受け手はかえって冷めるものです。
次の例は、笑わす側の意図と受け手の感情がもう少し複雑に絡み合ったケースです。
以前勤めていた会社に、かなりの天然キャラというか愛すべきゲテモノといった感じのアラフォー男子Fさんがいました。ある日、社員全員が集まってのボウリング大会があったのですが、そこでFさんは上から下まで真っ赤っかの衣装で登場したのです。しかもボトムは今どきどこを探してもないようなパンタロン。一瞬ほったらかしにしようかという悪意が芽生えたのですが、吾輩も一応社会人なので‘赤レンジャーの活躍、期待してます’といったら、Fさんは一瞬キョトンとした顔をした後自分の服を見て、‘わっ、僕、真っ赤かじゃないですか’と驚きました。
いくら奇天烈なキャラだといっても、自分が全身真っ赤なことに気づかない人はいません。Fさんは、みんなが自分のことを天然キャラだと思っていることを知りつつギャグをかましたのです。しかし吾輩を含めみんながおもしろいと感じたのは、彼のギャグ自体ではなく、彼がいわばハレの日に笑わそうと企んでいたこと、そして四苦八苦考えて出た答えが赤レンジャーだったということです。
なので、Fさんの笑わそうとする意図は一旦消されて、別の笑いのベクトルが生まれたことになります。
次の例は、先のふたつの例とまたちょっと違うケースです。その出来事は、ラーメン屋で起こりました。となりに座っていた大学生くらいのお兄さんのところに注文していたラーメンが来て、彼はラーメンをすすりはじめました。しかし、しばらくすると手を止めて漫画を読みはじめました。かなりおもしろいらしく、いっこうにラーメンを食べようとしない。そろそろ食べないと延びてしまうぞと思っていると、お兄さんはハッと顔を上げ、ザルを振っている大将めがけて‘すみません、僕、ネギ大盛りなんですけど’といったのです。
吾輩は笑いをこらえるので必死でした。おそらく彼はラーメンを見た瞬間、ネギの量が少ないことに気づいたはずなのに言い出せなかったのです。一度はあきらめて口にしたもののやはり納得がいかない。漫画を読んでいるフリをしている時も、‘これはこの店では大盛りなのか?’‘今頃言い出して、うっとうしがられないか’‘ネギくらいでクドクド悩む俺って人間としてどうなのか’という葛藤が渦巻いたに違いありません。‘ラーメンを食いに来ただけなのに、何でこんなことを考えさせるねん’という大将への怒りもあったでしょう。
そんなことを考えに考えた末に出てきた言葉が‘すみません、僕、ネギ大盛りなんですけど’だったと思うと、笑わずにはいられません。
この笑いは、笑わしている側に笑わす意図がないからこそ生まれるものです。万が一、笑わそうとしていたのなら、それはこちらの考えを分かったうえでのことなので見事というほかありません。
いやはや、笑いっていうのは難しい。
3のパワー〜三つ巴
「3」という数字には、不思議な魅力があるように感じませんか?
別に『ムー』的なオカルトチックな話をはじめるワケではありません。
三角というカタチを見ても分かるように、崩れかかる寸前の絶妙のバランスで成り立っている気がするんです。バンドでもトリオというと、他の人数よりも緊張感が張りつめているイメージがある。それに「三大ギタリスト」とか「お笑いビッグ3」みたいに、トップ中のトップをあらわす数字としてもよく使われます。
これらの要素を合体させたのが‘三つ巴’という言葉じゃないでしょうか。
そういえば、時代・場所などが異なり交わることのない強者3人が、もし一戦交えたら誰がイチバン強いかと想像する遊びって楽しいですよね。
例えば、ライオンとトラとクマ…ではなくクマ殺しのウィリー・ウイリアムズが戦ったらどれが勝つかとか。
吾輩が見たいドリームマッチは、まずF1の「ジム・クラーク vs アイルトン・セナ vs ミハエル・シューマッハ」対決。このメンツで10戦くらい同じマシンで戦ってほしい。ジム・クラークに関しては昔の人なので数字でしか凄さを知ることはできませんが、セナにも劣らない神がかったスピードを持っていたことは確か。1戦のみのスピード対決ならシューマッハがちょっと厳しそうですが、5戦目あたりから持ち前の総合力を活かして追い上げてきそう。
あと、テニスの「ジョン・マッケンロー vs ピート・サンプラス vs ロジャー・フェデラー」、プロレスの「スタン・ハナセン vs ブルーザー・ブロディ vs ハルク・ホーガン」対決なんかも見てみたい。
でも、いちばん見たいのは、「マイルズ・デイビス vs ジェイムス・ブラウン vs 北島三郎」による音楽シーン親分対決。うむむ、字面を見るだけでソワソワするくらい魅力的なカードだわ。日本人としてはやっぱりサブちゃんに頑張ってほしいところですが、他の2人が2人だけに苦戦を強いられそう。でも、コマ劇場なら威力を発揮してくれると思います。レフリーはもちろん、ミスター高橋で。
ハッキヨイ!せきトリくん
‘相撲は重心が低い方が良い’なんていいますが、日本相撲協会が新規ファン & 新弟子獲得のために重い腰を上げました。
近頃の角界はホントに問題のオンパレードで、お世辞にもいいイメージはありません。そんなゴタゴタ・イザコザの影響や時代の移り変わりのせいで、かつて連日満員御礼だった会場も今では空席が目立つありさま。
やっとこさ‘このままではマジ、ヤバいッス’と、自分たちが土俵際に追いつめられていることに気づき、何とかしなければと目をつけたのが、次の時代を担う子どもたち(広告代理店の入れ知恵でしょうが)。で、彼らの関心を高めるにはキャラクターがイチバン!ということで生まれたのが、『ハッキヨイ!せきトリくん』です。
このキャラをご覧になった多くの人は恐らくこう思ったんじゃないでしょうか。‘子どもの落書きじゃねえの?!’と。確かにそう見えますが、違います。一見完成度の低い造形に見えても、この中にはヒットさせるための方程式、言い換えると大人のワル知恵がつまっているのです。
まず、完成度の低そうな造形。これはいうまでもなく昨今の「ゆるキャラ」ブームにリンクしています。ゆるキャラとは、主に完成度が低くて妙な違和感を発散しているPRキャラクターのことをさします。ゆるキャラとして認められるためには、多くの人から(ここが重要)突っ込まれるスキがなければいけません。せきトリくんの場合、子どもが描いたような危なっかしいドローイングでこの条件をクリアしています。こうして吾輩が取り上げているのも、この効果といえるでしょう。さらに造形を簡素化することで、子どもたちも簡単に描けるというメリットが生まれます。いくら可愛かっても『北斗の拳』のようなキャラだったら気軽に描くことができず、自ずと親近感もわかず、結果定着しません。
次のポイントは駄洒落。ご覧の通り、せきトリくんにはクチバシがあり、鳥がモチーフになっていることは誰でもすぐに分かります。腹が立つほどくだらない駄洒落ですが、これがキャラをおぼえる重要なフックとなるのです。最近だと「地デジカ」もこのパターンに入ります。
他にもキャラクターのチカラをあらわすバラメーター設定、キャラクター間の相関関係の設定、細かいところでの遊びなど、ゲームやトレーディングカードに慣れ親しんだ子どもが食いつく要素がビッシリ詰め込まれています。
そんな計算し尽くされた せきトリくんですから、間違いなくそこそこヒットするでしょう。しかし、吾輩が見る限りこのキャラには爆発的なヒットを巻き起こす魅力はありません。要するにすべてがヒットするデータベースから引き出した記号の組み合わせに過ぎないのです。
本物の「ゆるキャラ」には日本人が忘れたくても忘れられない土着文化がこびりついていて、それが多くの人を魅了するのです。このことは、平城遷都1300年記念のキャラ「せんとくん」のフィーバーぶりでもお分かりかと思います。
せきトリくんが多くの人の心に刻まれるようになるためには、完膚なきまでにズッコケて、相撲史の珍事として伝説になるしかないでしょう。