KITSCH PAPER

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2009年06月21日

心の余裕

090621.jpg今年の初めに仕事場のiMacが故障(この時は奇蹟的にデータは助かり、修理代も4年間保証でタダ)して絶望の縁に追いやられてから半年、今度は完全にクラッシュ! 画面に細いスジが3本入って不吉だなと思っていた矢先の出来事でした。
高い修理代を払ってまたすぐに壊れるのもアホらしいので、思い切って新しいiMacを購入。ライターという職業柄、高価なソフトは必要ないものの、それでも20万円ほどの出費。ミスターTのパンチ並みにはらわたにズシーンときます。
それにしても、こんな高価なものがわずか4年ちょっとで壊れてしまっていいんでしょうか。しかもお店やメーカーの人が半笑いで‘コンピューターのことだから、こればかりは仕方ないですねぇ’なんてことを平気で言うのも納得いかない。晩メシ抜いて半ベソかいてでも直してほしい。
吾輩のようにマシンの機能の5%も使ってない者からいわせてもらえば、高度な機能は要らないから壊れにくくしてほしい。唄にあるように、昔の時計だって100年動くんだから、それくらいのことをしてもらってもバチはあたらないと思います。
とまぁ、パソコンが壊れてブルーになりましたが、今回はバックアップしてあったので、まだ心に余裕がありました。(といっても半月分くらいのデータとすべてのメールが消滅しましたが…)
どれくらいの余裕だったかというと、家に帰ってウィリアム・バシンスキーの『92982』を聴けるくらい余裕がありました。これは大物だけがまとうことのできる風格じゃないかと思います。
さて、『92982』ですが、すごく良いアンビエントミュージックです。ウィリアム・バシンスキーの音楽はメランコリックで美しいタイプと、ちょっとサイケな感じの2タイプがありますが、このアルバムに収められているのはメランコリック系の曲。自宅の窓を開けたままレコーディングしたらしく、まわりから聞こえてくるヘリコプターやサイレンの音も入っています。まさに環境音楽ですね。夏の夜にかければ、エアコンがなくても2〜3℃下がると思います。が、壊れたiMacのことを思い出すと、体温が3〜4℃上がってしまいます。

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2009年05月14日

いい顔

まずは映像をご覧くださいませ。みうらじゅんさんがサックスをはじめたワケではありません。この人はジョン・ゾーンというサックス奏者で、ジャズ、前衛音楽、映画音楽、ユダヤをはじめとする民族音楽などをミックスしたり、切り刻んだりしている音楽シーンの重要人物です。お気づきだと思いますが、今回は彼が主役ではありません。クローズアップするのは、彼の後ろでドラムを叩いているジョーイ・バロンです。
どうです、カッコ良かったでしょ。このセンスとテクニック、脱帽です。ドラムってリズムを刻むだけじゃなく、メロディ楽器でもあることを強烈に教えてくれます。この演奏を見るだけで、彼が最高のドラマーの一人だということがお分かりいただけると思います。
そして演奏だけでなく、ジョーイ・バロンをはじめメンバー全員の顔がいい。『KITSCH PAPER vol.1』の特集でも書きましたが、音楽は半分顔で演奏するものだと吾輩は思っています。たいしたフレーズを歌ったり演奏したりしているワケでもないのにいい顔されると、何かすごくカッコ良く見える。(彼らは演奏もすごいですが)ジョン・ゾーンなんて完全にジョーイ・バロンのプレイで目がトロ〜ンとなっちゃってますよね。そしてバロンも‘オレ、感じさせてるよ’と悦に入っている。まさに男同士の熱いセックスが繰り広げられているのです。この場合4人だから乱交ってことになりますね。すみません、何をいいたかったのかさっぱり分からなくなってきました。
そうそう、セックスもいい顔すれば盛り上がるってことです。…なんか違うような気がする。

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2009年04月25日

ブレてない ゆらゆら帝国

090425.jpgこの2週間、子どもが入院したり(無事退院しました)、夫婦そろってインフルエンザにかかったり、もう大変。『Mr.Boo!ギャンブル大将』の広川太一郎の言葉を借りると、‘一難去って、これ何なん?!’という心境でした。いやはや、健康ってホンマに素晴らしい。

そんなワケでちょい前の話題になるのですが、久々にイカすロックが聴きたくなって、仕事帰りにタワレコへ。ベックの新しいアルバムを試聴したら良かったのでレジへ持っていこうと思ったのですが、やっぱりやめて、ゆらゆら帝国の『空洞です』に。結構新しいアルバムだと思っていたら、発売されたのはもう2年前。前作の『SWEET SPOT』が出たのが去年くらいに思っていたのでビックリ。40近くになると時間の感覚もだいぶユルくなってきます。
『空洞です』、タイトルからしてすごいです。ミック・ジャガーが大口開けてシャウトしても、ジョニー・ロットンが‘アイ・アム・アンチ・クライスト’と唾を吐いても、野外フェスでラブ&ピースな振りをしても、ひと言‘空洞です’といわれたら、いい返す言葉がありません。
しかもサウンドもハンパない強度を誇っている。日本のロックってほとんど聴かないのですが、吾輩の知る限りそうそうある類の音じゃありません。世界的にみてもピカイチのオリジナリティだと思います。
無駄な音をとことんそぎ落とし、バンド名の通りトレモロを多用したゆらゆら揺らぐサウンドは、聴く者の時間感覚を麻痺させてしまう。
歌詞もひと言ひと言、これしかないという言葉が絞り出されていて、心にズンと響いてきます。2曲目「できない」で‘笑顔で最高っていえるか?’と問われ、‘そんな無邪気な時代は終わったさ’と、オトナな言い訳がポツリとこぼれ出る。でも9曲目「ひとりぼっちの人工衛星」で泣きました。
『空洞です』、傑作です。

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2009年04月11日

インC〜カバーの定番

090411.jpgここ数年、アメリカ・日本の映画界で多くのリメイク作品がつくられています。が、たいていはオリジナルのファンに酷評される結果に。吾輩はリメイクものに甘い方で、世の中的には評判が悪くても好きな作品が結構ある。
音楽の世界ではリメイクはカバーと呼ばれ、昔も今も星の数ほどカバー作品が生まれています。音楽の場合は映画ほどオリジナル信奉が強くなく、オリジナルよりも評価されているカバーが多くあります。
音楽だとオリジナルからかなりカタチを変えてもカバー作品と見なされるのに、映画はオリジナルから脱線するとアイデアを借りた別作品になってしまうのは何ででしょうね。作品をひとつのカタチにしばりつける力って、メロディよりもストーリーの方が強いんでしょうか。
さて、数多くのカバー作品がつくられている音楽シーンでも、カバーの定番(スタンダード)とされる曲があります。例えばジャズなら「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」、ボサノバなら「イパネマの娘」、テクノなら「E2-E4」といった曲もそれにあたると思います。そして現代音楽でいえば、これはもうテリー・ライリーの「インC」が一等賞でしょ。
この曲は‘ド’の音を繰り返して鳴らして曲の土台をつくり、その上にあらかじめ用意された53のフレーズを演奏者が自由に重ねていくという、ミニマルミュージックの代表曲です。こんな面白い素材をミュージシャンが放っておくはずがなく、多くの人たちにカバーされています。吾輩もいろんなバージョンを聴きましたが、いちばん好きなのはオリジナルではなく、上海フィルム・オーケストラによるカバーだったりします。
このバージョンはいろいろな民族楽器によって極彩色に塗り上げられていて、もはやミニマルミュージックとは呼べない派手派手しい感じになっているのですが、アジア特有のゴッタ煮汁が出ていていい。
「インC」にはまだまだ聴いたことのないカバーがあるので、気長に集めたいと思ってます。
この曲、学校の音楽の授業でやっても盛り上がるんじゃないでしょうか。

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2009年03月26日

いちばんファンキーな遺作

090326.jpgたまに、最近はすっかり頑固オヤジを見かけなくなったなんてセリフを聞いたり見たりしますが、この鋭い眼光を見たら、慌ててその言葉を引っ込めてしまうでしょう。少なくとも吾輩はオシッコちびりそうになります。でも、家にこんなジイさんがいたら、子どももグレようがないですよね。学校でビビってる先輩の何倍もワルそうですから。
帝王マイルスがこっちをにらみつけているのは、彼が生前最後にレコーディングしたアルバム『Doo-Bop』のジャケットです。このアルバムはビジュアルだけでなくサウンドも、王道にして常に革新的だった彼のスタイルを物語る尖ったものになっています。60歳過ぎてるのにイージー・モ・ビーを引っぱり出してきて、ジャズとヒップホップを合体させちゃおうとしてるんですから。はっきりしたことは知りませんが、このアルバムがつくられた90年代前半にこういうことをしている人ってそんなにいなかっただろうし、しかも今聴いてもダントツにカッコいい(真っ当なジャズファンにはすこぶる評判悪いそうですが)。マイルス・デイビスが凄いのはプレイだけじゃなく、旬の音楽を嗅ぎわける嗅覚とそれを実践するパワー。普通、キャリアの締めくくりに差し掛かると‘偉い人願望’が出てきて、評価されやすい作風になるもんですが、この人はまったく逆。とても死ぬ寸前につくったとは思えません。この貪欲さ、空恐ろしいです。
何でも、晩年、マイケル・ジャクソンが着ている服を見て、お付きの人に‘イカすじゃねえか。俺様の服もあいつと同じテイラーにつくらせんかいッ’と言ったとか。自分のジイさんなりオトンがそんなことを言いだしたら、間違いなく気が狂ったと思います。マイルス・デイビス、やっぱり常人ではありません。

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2009年02月28日

和ジャズへの道

090228.jpg吾輩は、イカすレコードジャケットを楽しむ「Jacket Watch」のメンバーとして、カッコいいジャケットやおバカなジャケットを見つけるため、日々いろいろなサイトやレコ屋を巡回したりガイドブックを物色しています。
そしてつい最近、金山の鉱脈といいますか、開けてはいけないパンドラの箱を発見してしまいました。
それは昭和の和ジャズです。吾輩の中では「ニッポン」と「ジャズ」という組み合わせが、何となくお箸でハンバーガーを食べるような感じに思えてまったくノンタッチでした。それがひょんなことで検索に引っかかってきて、ビビ〜ンと電流が走ったワケです。
ここでピックアップしたジャケでも分かるように、オシャレなのか、カッコいいのか、クールなのか、粋なのか正直判断がつきません。ただ、ブルーノートなどのジャケットを参考にしようとしたものの日本の土着センスがそれに勝ったことで独自の世界が生まれていることは間違いありません。(あと、白木さんが金本アニキに似過ぎなことも間違いありません)
この世界観は観光地でよく見かける‘ヘンテコさ’に似ているんじゃないでしょうか。‘ザ・観光地’の町なみや土産物って、日本情緒あふれる素材を売り込むために西洋から伝来したポップな感覚でアピールしようとしたところ、日本の土着センスと化学反応を起こして‘カワイイ’‘ファンシー’というカタチに変形し、結果どう考えても素材の魅力をブチ壊すものになってしまっている。
和ジャズのジャケットにもそんな危うい配合が見て取れます。こんなステキなものをビジュアルだけ見て満足するか、音にまで進出するかで吾輩の懐具合は大きく変わってきます。あぁ、知らなければよかった…。

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2009年01月14日

M/Dの聴きはじめ

090114.jpg今年の抱負のひとつ「マイルス・デイビスを中心にじっくりジャズを聴いてみる」を実践するために、最近中年の尿漏れのようにチョロチョロ M/Dのアルバムを聴いています。
もともと吾輩はM/Dの熱心なファンではなく、持っているアルバムも代表作といわれるものばかりで、しかも結構な歯抜け状態。そもそもジャズ自体そう熱心に聴き込んだことがない。
ジャズっていうと今でも小難しくて敷居が高いイメージが抜けなくて、こわいオジサンから‘お前なんかジャズを聴く資格なし!’と怒られそうな気がするんですよね。
よく雑誌なんかで‘ジャズを気軽に聴いてみよう’みたいな切口の特集がありますが、やっぱり身構えてしまう。なので、もう開き直って、身構えたまま聴いてやろうという気持ちになりました。で、誰から聴こうかと考えたところ、帝王ことM/Dのイカつい顔が浮かんだというワケです。

そんなプレッシャーを受けながら聴きはじめたのですが、今回改めて『カインド・オブ・ブルー』の素晴らしさを実感しました。このアルバムの凄さは、1曲目「ソー・ホワット」の出だしに凝縮されているといってもいいでしよう。ビル・エバンスのピアノが静かに鳴りはじめ、絶妙のタイミングでM/Dのトランペットが入ってくる。この瞬間、確実に音の爆発が起こっています。それは、ロックのダイナマイト的な爆発とは違う、カラダの芯を燃やす青白い炎がつく感じです。これは、吾輩が今まで聴いた音楽の中でもっともパワーを感じた瞬間と言ってもいいくらい。
ヴァン・モリソンの『アストラル・ウィークス』も同じような熱を持っていますが、こっちはパチッパチッと燃える焚き火で、爆発はしない。
『カインド・オブ・ブルー』は2曲目以降も薄いガラスのように繊細なんだけれど、うちに秘めたアグレッシブさ溢れる演奏が繰り広げられます。特にビル・エバンスとジョン・コルトレーンのプレイが冴え渡る「ソー・ホワット」と「ブルー・イン・グリーン」は極上モノ。要するにモード奏法を体得した強者が火花を散らせているというワケです。ってエラそうにモード奏法なんて書きましたが、耳で聴いて‘モードっぽい’と思うくらいにしか分かっていません。でも、この2曲が他の収録曲と違う雰囲気を持っているのは間違いありません。
はぁ〜、イキって書くと肩が凝りますね。でも、たまにイキると気持ちに張りがでますね。
実は今、『イン・ア・サイレント・ウェイ』をかけているのですが、今までこんなにカッコいいとは気づきませんでした。どちらかというと『オン・ザ・コーナー』や『ビッチェズ・ブリュー』のかげに隠れがちな作品なのに。これは、また別に機会に取り上げたいと思います。

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2008年12月03日

イカすお坊さん

081203.jpg小さい頃よく‘将来、何になりたい?’と訊かれたものですが、今なら迷わず‘ヤル気のない開き直ったお坊さん’と答えます。
仕事のことで頭を悩ましながら街を歩いていたり電車に乗っていたりすると、すっごく楽しそうに談笑しているお坊さんグループに出くわすのは偶然ではなく、やっぱりそういうお坊さんが多いからなんでしょう。
巨人の二岡選手が山本モナとのイチャイチャシーンをスクープされた時、反省して坊主頭にしましたが、微妙にオシャレ坊主のテイストが入っていて余計に納得のいかない気持ちになった人は多いはず。でもこれは、お坊さんに対するイメージがユルくなっているあらわれなのかもしれません。

そんな吾輩のお坊さんイメージを正してくれそうなのが、23スキドゥの『アーバン・ガムラン』というアルバム。
ジャケット、カッコよ過ぎです!ジャケットのインパクトでバンド名は以前から知っていたのですが、アナログ盤はどれも高い値段がついているため聴いたことはありませんでした。
しかし、このたび‘奇跡のCD化!’(店員さんコメント)。聴く前に裏ジャケを見ると、カンフー着を身につけて蹴りを入れている男の写真が。もうこのセンスだけで合格です。にも関わらず、音までサイコーなので参ってしまいました。
ガムランなどの民族音楽やダブをニューウェイブ・バンド独特のセンスで料理した感じで、個人的には同じ畑のポップ・グループやディス・ヒートよりもこっちの方が断然好き。
実験音楽のフィールドだとデヴィッド・シェイ、テクノ〜エレクトロニカだとルーク・ヴィバートのプラグなんかに通じるものを感じるのですが、つくったのはこっちの方がずっと前。すごいトンガリようです。
やっぱり坊主は頭を丸めるほどソリッドになってもらわなければ。別に23スキドゥのメンバーはお坊さんではありませんが、そう思います。

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2008年11月27日

ロックバンドの美しい在り方

081126.jpg最近、フェイバリットバンドのライヴDVDを2本ゲット。ひとつは、スタイル・カウンシルが『カフェ・ブリュ』を発表した直後に行った日本でのライヴを収めた『Far East & Far Out』。もうひとつはポリス再結成ライヴ『サーティファイアブル』。
熱烈なファンだからということもありますが、どっちもサイコーです!スタカンはとにかくポール・ウェラーがカッコいい!ポロシャツにスリムパンツ&ローファー、とどめにサマーセーターを腰にまくという石田純一真っ青の80'sファッションに身を包み、名曲の数々をプレイ。最近のお腹ポッテリ気味なお姿を見て複雑な気持ちになった吾輩は、ソリッドな当時のアニキを見てまたまた複雑な心境に。むかしスタカンは演奏がヘタだとコキおろされていた記憶がありますが、改めてじっくり見ると上手くはないですが案外イケてます。でも、DVDのパッケージはもうちょっとどうにかならなかったんですかねぇ。しかもミック・タルボットしか写ってないて!

ポリスの『サーティファイアブル』は圧倒的な完成度。アンディ・サマーズのルックスは時の流れを感じさせますが、プレイはまったく衰えを感じさせません。嗚呼、京セラドームでのライヴの感動がよみがえる。冗談ぬきでDVDを観ている間、何回も頬を熱いものが流れました。3人の緊張感あふれる関係も昔のままで、デラックス盤についているドキュメントでは未だにスティングとスチュワート・コープランドがやり合っている姿が拝めます。今のスティングに‘お前にはオレの叩き出すビートが難しすぎたか?’なんて言い方ができるのはこの人しかおらんでしょ。でも3人はそんなやりとりを楽しんでいるようで、楽器を持っていない時はやたらニタニタしている。これが大人の余裕ってやつでしょうか。

自分の持っているスキルを出しきってパフォーマンスをするスタカンと、ありあまるテクニックを抑えてバンドサウンドをつくり出すポリス。アプローチは真逆ですが、どっちもロックバンドとして美しい。

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2008年10月29日

ファナ・モリーナの世界

081029.jpgファナ・モリーナの作品は試聴で流し聴きしたくらいで‘ははぁ〜ん、こんな感じか’と分かったつもりでいたのですが、大きな間違いでした。新作の『ウン・ディア』、えらいことになってますやんか!
まずジャケットからして普通じゃない。今まではオシャレだったりカワイかったり、どこか人の目を意識しているところがありましたが、このジャケは吹っ切れている。完全に弥生から縄文にシフトしましたね。
音にしても、彼女のささやくようなボーカルとアコースティックギターにお上品なエレクトロニカサウンドが乗っかるイメージだったのですが、そんな足し算では説明できないユラユラ、フラフラ、ドロドロな世界が繰り広げられています。強引に例えると、ケイト・ブッシュの夢見少女的なオカルトワールドとビョークの巫女的なパワーを合体させて、さらにその先へいったような感じ。何かダメな音楽ライターみたいな書き方をしてさらに分かりにくくなってしまいました。でも、悲しいかな吾輩もきちんと言いあらわせません。
こんな作品をつくってしまったら、ビョークが『ホモジェニック』を境に巫女パワーを減退させてしまったように、モリーナさんも枯れてしまうんじゃないかと心配でなりません。
まぁ、そんな心配をする暇があったら、自分の将来を心配した方が良いとは分かっているのですが…。

そんなことはさておき、前作『SON』まで聴いていたオシャレディたちはこの作品に食いつくんですかねぇ。興味あります。
そして、こんなヘンテコでディープな音楽がCDショップで普通にイチオシされていて、同じ店で羞恥心がガンガンかかっている日本の音楽シーンってのもなかなかディープです。

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2008年09月26日

プリミティブ・ロック

080926.jpgこのジャケット、イカすにもほどがあります。
ポルシェの横でカッコよくバイクにまたがっていらっしゃるのは、フィリピンのJuan De La CruzというバンドでギタリストをしていらっしゃるWally Gonzalezというお方です。
MEDITATIONSさんにアナログ盤が飾ってあるのを見てからずっと気になっていたのですが、ベリー・エキシペンシブだったので泣く泣く見送っていたら、知らない間にCD出てるじゃないですか!
というワケでゲット。正直ジャケだけでもう十分満足なんですが、うれしいことに中身もスゴいことになってます。
何かうまくいえませんが、欧米諸国のミュージシャンや日本のアーティスト様が失ってしまった(はなっから持っていない?)ロック本来の原始的パワーが満ちあふれているんです。
ジャケを見てお分かりの通り、全編‘オレ様サイコー節’全開なんですが、この人の場合はそのカッケー姿をロックの神様に捧げているんです。
今時、相当アタマが悪くなければ歌えないようなロックチューンも、背筋が寒くなるバラードも100%マジですから。
特にドチープなシンセ音が飛び交う5曲目「Open Fire」では、絶対にアチラ側のお方と交信しています。このバカさ…失礼、純粋さから生まれるパワーは、カッコつけることしか興味のないアーティスト様やインテリバンドには出せません。
現代芸術の巨匠マルセル・デュシャンは小難しい芸術論を彷徨った末に普通の便器を芸術だとおっしゃいましたが、ゴンザレス様は‘この便器、サイコーっす’と涙を流しているようなもの。受け手にとってどちらにパワーを感じるかといえば、それはもう間違いなく後者。いやはや、すごい迫力です。
と、半分おちょくったような書き方をしましたが、素で聴いてもめちゃめちゃカッコいいです。

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2008年09月07日

ヴァーヴ 再生

080907.jpg今年のサマソニで初来日を果たし、圧倒的なパフォーマンスを披露したと評判のザ・ヴァーヴ。(ポール・ウェラーとヴァーヴが来ていたのに何で行かなかったのか、自分自身でも不思議でなりません)
2度目の再結成(最近はリユニオンっていうらしいですね。…再結成でええんとちゃうん!)によってつくられた『フォース』がいよいよ発表されました。
吾輩の感想は‘やっぱりヴァーヴはすごい!’のひと言。リチャード・アシュクロフトのソロ作品とも、世界中で売れまくった前作『アーバン・ヒムズ』とも違う サイケでグルヴィーなヴァーヴにしか出せない音をブチかましてくれました。
かといって初期の『ア・ストーム・イン・ヘブン』や『ノーザン・ソウル』とも違い、そこはかと叙情感もあったりするところが素晴らしい。これはリチャードのソングライティング力のアップとニックのギタープレイの引き出しが飛躍的に増えたためでしょう。
ここ数年いろいろなバンドがリユニオン…再結成していますが、その多くがお金儲けが目的だったり懐メロ化していたりしてガッカリさせられますが、ヴァーヴの場合は現役感覚を失っていないし、こうして新作までつくるという、本当に意味のあるリユ…再結成だと思います。
こうして考えると、再結成ってホントにむずかしい。その点セックス・ビストルズはどんな醜態をさらしても、すべて逆説的に解釈できてしまうからオイシイですよね。
話はもどりまして、『フォース』は『アーバン・ヒムズ』に比べて売上は落ちるでしょうし、内容的にも傑作とまではいえないものです。でも、このアルバムにはヴァーヴの途方もないポテンシャルが刻み込まれています。次、間違いなくとんでもないアルバムをつくりますよ。またまた仲違いをしなければの話ですが。
最後にリチャードのサングラス、いつも上にあがり過ぎているような気がするんですけど。

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2008年08月10日

ヤンでリハビリ

080810.jpg‘暑い’というか‘熱い’といった方がいいくらいの猛暑がつづいています。
京都の夏は昔から蒸し暑いのがお約束ですが、ここ最近の生命維持に関わる暑さはその範疇を超えています。
暑さから逃れるために涼しいところへ旅行に行きたいところですが、お盆も普通に仕事。しかたないので最近はヤン富田の『MUSIC FOR ASTRO AGE』を聴いて体内温度を下げています。
このアルバムが出た時は音遊び的な編集がうるさくて余り好きではなかったのですが、今は心地よく聴くことができる。何かちょっと気の合う友だちの家に遊びに行って、勝手にレコード棚からレコードを取り出して何やかんやとお喋りをしている感覚になるんです。
このアルバムに収録されている音楽はどれも涼しげで気持ちいいんですが、吾輩の中ではアンビエントとはちょっと違う。ちなみに吾輩の個人的なアンビエントの定義は「イメージの世界に連れていってくれる音楽」。『MUSIC FOR ASTRO AGE』の音は現実の世界とつながっていて、ほのかな緊張感があるんです。
さっき‘ちょっと気の合う友だち’と書いたのはこの緊張感のせいです。フィーリングは合うけど学生時代の友だちとは違う微妙な距離感だと夜遅くなって眠くなってきても一応は我慢しますが、気をつかわない友だちの家だと遠慮なしに寝ちゃいますからね。つい先日も大学時代の友だちが職場の人たちとの飲み会に誘ってくれたんですが、終電を逃したことが判明すると急に眠くなってきてしまい、友だちがいることをいいことにほとんど初対面の人たち(しかも全員女性!)の前で一人グーグー寝てしまいました。おまけに途中から酔いがまわって気分が悪くなり、トイレでゲロンパ。
人間、緊張感をなくすとヤバいです。しばらくは俗世から離れたアンビエントではなく、『MUSIC FOR ASTRO AGE』でリハビリしたいと思います。

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2008年07月22日

ライ・クーダーはサイコーだー!

080722.jpg天才ギタリストにして、ルーツミュージック番長でもあるライ・クーダーが新作『アイ, フラットヘッド』をドロップ。
これは『チャベス・ラヴィーン』『マイ・ネーム・イズ・バディ』に続くカリフォルニア3部作の完結編にあたり、同時にライ・クーダー自身が書いた同名小説に登場するミュージシャンの作品集になっているらしい。
まぁそんなコンセプトはどうでもよくて、ライ・クーダーの新作に触れられることが何より肝心。
80年〜90年代はほとんどアルバムを出さなかったのに、21世紀に入ってから既に4枚のアルバムを発表。しかもすべて傑作! この怒濤の快進撃はなんなんでしょうか。日本が誇る音楽王、細野晴臣さんも感心してはります。
今回の『アイ, フラットヘッド』も期待通り、サイコーです。 『チャベス・ラヴィーン』や『マンボ・シヌエンド』をよりポップにした、まさに21世紀型ライ・クーダーの最新バージョンという感じ。

彼の音楽の魅力は、今作のジャケットのように一見古くさいのに実はとってもモダンなところ。「レトロ・フューチャー」なんて言葉がありますが、彼の場合はもっと奥行きと広がりが感じられる内容になっているところが凄い。専門的なことは分かりませんがアレンジひとつとっても、色んなアイデアやセンスがつまっていて、単なるルーツミュージックとは違う仕上がりになっているんですよねぇ。
そして音が抜群にいい。彼の音へのこだわりは相当なようで、ライブをやらなくなったのは自分の頭の中で鳴っている音がライブでは表現できないからとのこと。
そんなこといわずに是非とも来日公演してほしいものです。

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2008年07月09日

アニキの意気込み

080709.jpg阪神タイガースは金本・下柳・矢野が活躍するアニキ祭で盛り上がっていますが、我が心のアニキ ポール・ウェラーも負けずに気合いの新作『22 ドリームス』をドロップ。
まだ移動中にi Podでしか聴いていないのですが、‘えらい とっ散らかってるなぁ’という印象。1曲目からしてドノヴァンみたいな曲だし、大味なロックチューンあり、スタカンを思わす甘い曲あり、怪しいエレクトロニカ風の曲ありと、まさにやりたい放題。アルバム全体としてだけでなく、曲単位でみても ゴッタ煮気味。
雑誌のレビューは良いのか悪いのか分からない曖昧な内容のものがほとんど(もはや批判的なことがいえない存在になっちゃった?)ですが、個人的には好きでない。
せっかく前作『アズ・イズ・ナウ』で焦点がビシッと合ったアルバムづくりに成功し、何度目かの絶頂期を迎えつつあることを感じさせてくれたのに、ちょっと肩すかしをくらった感じです。
本人はウェラー流“ホワイトアルバム”を目指したといっているので、バラエティに富んだ作風を狙っていたことは確か。
でも長年のファンとしては、『カフェ・ブリョ』のB面や『コスト・オブ・ラヴィング』あたりの散漫さとダブってしまうんですよね。ちょっと心配です。
彼には、歳をとって声に深味も出てきたことだし、超甘口なAORアルバムを出してほしい。この企画が成功することは、ちょっと前に出たライブ盤『キャッチ・フレイム』に収録されていた「ロング・ホット・サマー」を聴いて確信しています。

余談ですが、本作のカバーに載っているアニキがフレッドペリーのシャツを着ている写真にシビれ、吾輩もフレッドペリーでイカすTシャツをゲット。ファンになっておよそ20年、まだまだ熱はさめていません。

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2008年06月27日

リチャード・D・ジェイムスの笑顔

080628.jpg大学時代から約15年、住みかは変われど吾輩の部屋にはずっとエイフェックス・ツイン〜リチャード・D・ジェイムスのポスターが貼られていて、お客さまがいらっしゃると彼が素敵な笑顔で迎えてくれます。
エイフェックス・ツインを知らない人がこのポスターを見ると、決まって一瞬不可解な表情を浮かべた後、何もなかったように完全無視を決め込みます。親戚のおばちゃんが来た時は、某カルト宗教団体の首領を思わすルックスのせいで、やけに心配された覚えがあります。
そんな冷遇に堪え忍んだおかげで、このたびついにパネル化して玄関に飾られることになりました!
提案をしたのは吾輩ではなく つれ合い。15年間強制的に見せ続けられたせいで、今ではなくてはならない存在になってしまったのだとか。人のことはいえませんが、つくづく変わったお方です。
このことがきっかけなのかどうかは分かりませんが、吾輩 最近夜中にちょこちょこエイフェックス・ツインを聴いています。『アイ・ケア・ビコーズ・ユー・ドゥ』や『リチャード・D・ジェイムス』のブチぎれ具合も大好きですが、やっぱり『アンビエント・ワークス』『アンビエント・ワークスvol2』という愛想もくそもないタイトルがついた2枚は別格。今聴いても天才を感じます。
この人ってあまりにもドリルンベースのインパクトが強かったせいか、先鋭的でブッとんだ音楽をつくる人だと思われがちですが、実はどの曲も根底にはシンプルで力強いメロディがある。吾輩は彼を優れたメロディーメーカーだと思っています。その特性が最もストレートに現れているのがアンビエント・ワークスというワケです。
そういう意味では目下エイフェックス・ツインの最新作(といっても もう7年前ですが)である『ドラックス』は残念な作品でした。このアルバムでも得意のドリルンベースが多く収録されているのですが、世の中に彼を真似た人たちが氾濫してしまったせいでまったく新鮮味が感じられなくなっていました。チープな言い方をすると、時代がエイフェックス・ツインに追いついたということでしょう。そしてそれは彼がはじめて聴き手の予想範囲内の音楽を出してしまったことも意味しています。
吾輩としては、アグレッシヴな曲の合間に入っているピアノ曲だけでアルバムを埋め尽くしてほしかった。聴き手の予想を裏切るという点でもいけてるし、彼のメロディーメーカーとしての才能をあらためて確認できる機会でもあったのに。

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2008年05月31日

Erik Mongrain

去年からずっとピックアップしようと思いつつ取りこぼしていたネタを今回ようやくご紹介します。おっと、まだ映像は見ないように。

あれは去年の秋、大学時代からの親友が「とにかくすごい!」という情報量ゼロ、でもすべてを言い表しているメールを送ってきて、You Tubeを見たらビックリ!
そこには今まで見たことのない驚愕のギタープレイが繰り広げられていました。(この時は『BRUTUS』〜「ギター愛」で取り上げられる前)
このErik Mongrainというギタリストのプレイっていうのは…一見は百聞にしかず、とにかく映像をご覧ください。それではプレイボタン、クリクリクリック!

どうですが、ビックリしたでしょ。確かにタッピング奏法をしていた人はこれまでにもいましたが、ここまで極めた人はいないんじゃないでしょうか。
しかも聴いてもらえば分かるように、パフォーマンスとしての完成度もさることながら曲が素晴らしいところが彼の凄いところ。才能でしょう。何かルックスもいい。
ジャズ〜フュージョンにも聞こえるし、ジャック・ジョンソンの流れを汲むオーガニックなサウンドにも聞こえるし、聴きようによってはテクノにも聞こえる。
優れた音楽の多くがそうであるように、Erik Mongrainの音楽もひとつのジャンルにおさまらない魅力を持っています。
吾輩も便乗して、家にあるベースを横にして弾いてみます。

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2008年04月25日

妖気に魅せられて

「アイ・ワズ・ゲイ」と告白したのは、「自分を褒めてあげたい」という名言を残した元マラソン選手のダンナさん。彼がデビッド・ボウイのバイセクシャル宣言に感化されたされたのかどうか、また奥方である元マラソン選手が誰からも求められていないのに公の場でカミングアウトするバカ正直な人を伴侶として選んだことに「自分を褒めてあげたい」と言ったかどうかは定かではありません。
しかしボウイの妖しい表情を拝むと、吾輩も思わず「アイ・ウィル・ビ・ゲイ」と言ってしまいそうになります。
時代と共に自身の姿も変化させてきたボウイの長いキャリアの中で、吾輩がいちばん好きなのは『ロウ』や『ヒーローズ』といった傑作を立て続けにつくっていたこの映像の時代。
どこを見ているのか分からない虚ろな眼差し、爬虫類を連想させるエロチックな口もと、クールでいてエモーショナルな声、すべてが人間ばなれしています。
この映像のようにただ突っ立って歌っているだけで、これほどの存在感を発散する人って、キワ者・クセ者ばかりが集まるロック・シーンでもそうそういないでしょう。
有名な話ですが、この時期のボウイは重度のドラッグ中毒だったようで、もしかしたらあっちの世界におられたのかもしれません。
この後彼はドラッグ中毒から抜け出し、きれいな女性と結婚なんかしたりして、今ではすっかり妖気が消えて陽気なオジサンになっています。
そんな現在のボウイももしかしたら七変化のひとつで、70過ぎたあたりでまたアブない人になるなんてこともあるかもしれません。

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2008年03月30日

ルーツ・ミュージック

080330.jpgここ数年、まったりしたアダルトな音楽やアンビエントばかり聴いていたのですが、どうも心身共にチカラがわいてこないことに最近気づきました。
これではいかん!ということで、我がルーツ・ミュージックというべきパンク〜ニューウェイヴの円盤に針を落とす。
う〜ん、やっぱりいいですね。身体も心も熱くなってきます!
今回吾輩をチューンナップしてくれたアルバムは次の通り。

◎『メタル・ボックス』(PiL)
ジョニー・ロットン改めジョン・ライドンとなって結成したPiLの傑作セカンド。中学か高校の時、レンタルレコード屋でアルミ缶に入ったいかついルックスを見て釘づけに。当時は何やワケの分からん音楽で、そんなゲテモノを聴いている自分が怖くなりしましたが、今ではフェイバリットのひとつです。
ドラムが少々パタパタもたつくのがキズですが、エキセントリックなキース・レヴィンのギターと地を這うようなジャー・ウーブルの重低音ベースにジョン・ライドンのヴォーカルが絡みつくサウンドはまさに唯一無二。
聴いているうちに頭のネジが飛んでしまい、気がついたら誰もいない部屋でタコ踊りをしていました。

◎『サンディニスタ』(クラッシュ)
クラッシュは男の心を熱くします。このアルバムにはダブ〜レゲエ色の強い曲やかなりポップな曲もあるんですが、不思議と男臭いんですよね。それはジョー・ストラマーの声に拠るところが大きいような気がします。彼の声には彼自身の生き様といいますか、男の負けの美学が滲んでいる。(クラッシュはパンクバンドとして最も成功したバンドなんですが)
吾輩も拳を突き上げているうちに、どうしてだか涙が出てきました。改めていっておきますが、これは自宅の部屋でのことです。

◎ 『ハウ・マッチ・ロンガー』(ポップ・グループ)
これも頭のネジがはずれる系です。メタル・ボックスの時と同じようにタオルをくわえてタコ踊りしていたらチャイムが鳴り一時中断。‘どなだです?’といくら訊いても返事がないので再びタコ踊り会場に戻ろうとしたら、‘○×新聞です’という声が。思わず‘バカヤロー、最初からそう名乗らんかい!’といいそうになる。いい感じに攻撃性も出てきました。

◎『セッティング・サンズ』(ジャム)
締めはジャムの4作目『セッティング・サンズ』。ファンによって意見は分かれるところですが、吾輩は本作か『ギフト』がベスト。勢いまかせの初期に比べポール・ウェラーのソングライティングが格段にスキルアップしていて燃えます。特に1曲目から4曲目までのたたみかけは圧巻。
この人の書くメロディと声は吾輩のツボど真ん中。完全にヒートアップして、頭ブンブン振ってエアギターしまくり。もう一度いいますが、これは自宅の部屋でのことです。

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2008年03月17日

ここ最近の音楽

080318.jpg‘最近、どんな音楽聴いてます?’と訊かれることがありますが、いつもどう答えていいのか困ってしまいます。(まぁ、こちらも同じ質問をして困った顔をされることがあるので お互いさまですが)人によっていろんな聴き方があると思いますが、吾輩の場合とっ散らかっているうえに説明ベタなので頭の中ではいろいろなミュージシャンが浮かぶものの、それをコンパクトにアウトプットすることができません。
ここ2年ほどじっくり音楽を聴く時間がなく、もっぱらiPodでの‘ながら聴き’。そんな中で最近よく聴いているのが次の3枚。
1枚目はジェリー・マリガンの『ナイト・ライツ』。これはアナログ盤しか持っていないので自宅でのリスニング。久々にレコード棚から引っぱり出してきたんですけど、今まででいちばん心に響いてきました。前はムーディーな雰囲気がイラッときたのですが、どうやらそれはこっちの蒼さだったようで、今では聴いているうちに自分のまわりだけ時間が止まったような感じがして心地いい。
2枚目はノンサッチから出ている『ショナ族のムビラ』。これはタイトル通り、アフリカ〜ジンバブエで暮らすショナ族によるムビラ(親指ピアノ)の音楽を収録したものです。本当はOcoraから出ているグバヤ族のアルバムが欲しかったんですけど、あいにく売り切れ(再発の予定もなし)でこっちをゲット。それでもさすがはノンサッチ、内容はグッドです。しかも安い!
3枚目はキャット・パワーの『ジュークボックス』です。ここでようやく同時代の作品が出てきました。えっ、音楽は全然新しくないって? そんなことはありません。たしかに昔の曲をカバーしたアルバムなんですけど、作り手の感性がフレッシュで、今でしかつくることのできない内容になっています。ショーン・マーシャルの天性の声が素晴らしいのはもちろんのこと、バックの演奏もすごくいい。特にドラムが前に出て、そこに今にも消えていきそうなギターの音色とショーン・マーシャルのボーカルが乗ってくるナンバーは、白昼夢といいますか どこにも存在しない懐かしいアメリカを描いているようで引きつけられます。この辺のテイストはビル・フリーゼルに通じるところがあります。
と、まぁ 吾輩の最近の音楽生活はこんなところです。こうやって振り返ると、テンションの上がる音楽がひとつもない。もともとテンション低いのに、これ以上下げてどうすんのって感じです。これは歳のせいか、疲れのせいかどっちなんでしょう。

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