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2017.08.08

同じなのに違うこと

170808同じ時、同じ場所で、同じことを体験しても、立場や感覚の違いで異なる出来事になることはよくあること。例えば、哀しいまでに生産性のない会議があったとしましょう。発注サイドは受注サイドに対して「ちゃんと準備しとけよ」と腹を立てる一方、受注サイドも「方向性くらいは出してくれんと提案のしようがないわ」とキレている。そして、すべてのしわ寄せがくる下請け業者は、焦りを通り越してトリップしていることがままあります(ちなみに僕はトリップする側の人です)。また、ある者にとってはタイプの女性担当者に会える至福の時かもしれないし、傍観者にとってはそんなこと全部をひっくるめてバカ会議となるワケです。
このようなことは、小説や映画などフィクションでより際立ちます。作者がどんな切り口で、誰の視点で、どのようなタッチで描くかによって、同じような素材を扱っていてもまったく別物になってしまいます。

そのことを映画『ムーンライト』を観た時に改めて強く感じました。(※以下、公式サイトに紹介されている範囲でネタバレあり)
主人公のシャロンはクラスメイトにいじめられていて、友だちは同級生のケヴィンだけという内気な少年。しかしシャロンが高校生の時、“ある事件”が起きてケヴィンとの関係も壊れてしまいます。それから数年の時が流れ、突然シャロンのもとにケヴィンから連絡が。しかし事件後すぐに退学したシャロンは高校時代とはうって変わり、ゴリゴリのマッチョになり、ドラッグのディーラーとして生きていた……というお話。
本作はヘビーなテーマを扱いながら、透明感のある映像と品の良い語り口で、アカデミー作品賞を獲得しました。

観賞後、この話どっかで観たことあるなと思っていたら、思い出しました。『行け! 稲中卓球部』10巻に収録されている「ゴメンね」という話です。井沢が小学生の時に辛くあたった増田君に謝るため隣り町まで行ったところ、増田君は見事なヤンキーになっていて、何もなかったようにすごすごと退散するという内容。
『ムーンライト』と似た話なのに一方は切なくなり、一方は笑ってしまう。フィクションの力ってすごいですね。

余談ですが、僕にも小学生の時、似たような友だちがいました。その友だち〜A君は外国で生まれ育ち、小学4年生の時に転校してきました。文化や学校教育の違いでお互いに戸惑うことが多く、そんな時A君は近所だった僕のところに相談に来ました。最初の頃は彼の話を聞き、アドバイスをすることもあったのですが、だんだん面倒くさくなり、ひょうきん族を見ている時に来た時などは「土曜の8時がどんな時間か分かるやろ〜」と、あからさまにうっとしそうな顔をしたこともあります。また、そんな僕の態度をA君から「冷たい」とダメ出しされ、口ゲンカにもなりました。そんな感じで距離ができてしまった頃、A君は学習内容の都合で1つ下の学年に移り、その後しばらくして転校しました。
あれから約40年、今でも時々A君のことを思い出し、「あの時もっと親身になって相談にのってあげればよかった」と謝りたい気持ちなります。でも、実際に会ってみるとキツいオッサンになっていて、微妙な気持ちになりそうです。

posted by ichio