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2014.09.13

掘り下げるおもしろさ

140913.jpgなかなかに凄い本が出ました。タイトルは『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』。著者は、木村カエラや椎名林檎などを手掛ける音楽プロデューサー、冨田恵一。
僕が携わっている広告の仕事では、商品の特徴や魅力をターゲットに理解してもらうために腐心しますが、必ずしもそうしなくて良いことをこの本は教えてくれます。
内容が分からなくても、発信する人がおもしろがっていること、好きなことが伝われば、受け手も興味を持つんですよね。マニアやフェチの話を聞くと、内容は理解不能でも、いや、不能であればあるほど嬉々として話す人がおもしろくなってきて、だんだんその人が好きなことにも興味が湧いてくる、あのパターン。
この本では、まさにその現象が起こっています。長いロックの歴史の中でも異才を誇るドナルド・フェイゲン。彼が1982年に発表した初ソロアルバム『ナイトフライ』について、1冊丸ごと語り尽くしているのです。曲構成からはじまり、録音方法、セッションに参加したスタジオミュージシャンのテクニック、エンジニアが果たした役割などを、豊富な知識と経験を武器に、本のタイトルと同じ“何か、かたいなぁ”という、ある意味初々しい語り口で、どんどこ掘り下げていきます。正直なところ、半分くらいは分かったのがどうかも分かりません。そして多分、ほぼすべてどうでもいいことです。でも、無性におもしろいんです、これが。
抜群にクオリティの高い音楽が、どのように作られたのか解き明かされることがおもしろいのではなく、一心不乱に語る著者の熱量の半端なさがおもしろいんです。ドナルド・フェイゲンは周りが引くほどのこだわりの持ち主ですが、冨田氏も負けてません。
名盤といわれる『ナイトフライ』ですが、個人的にはピンとこなくて、20年以上レコードラックの肥やしになっていました。せっかくなので、何年かぶりに引っ張り出して聴いてみたら、素晴らしいアルバムじゃないですか!

posted by ichio