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2020.08.19

イカす男たち

200820 どうですか、この三人衆。
 こんな出で立ちの人を近所で見かけたら、絶対にその日一日は「あの人は何物だ?」、「ていうか、限りなく宣教師に見えるけど、今の時代に宣教師っているの?」、「何でうちの近くを歩いている?」、「ヤバくないですか?」と、仕事が手につかなくなります。

 でも、ご安心ください。本物の人間ではありません。人形です。
 これは、大阪の堺で土産物として作られていた、「南蛮人形」といわれる土人形。名前と見た目のまんま、ポルトガル人の宣教師や船乗りなどを模しています。
 
 とにかく、お三方の佇まいがイカし過ぎる。まず、おしゃれ。コントラストの利いた色合わせなのに、がんばってる感がない。絶妙な着くずしも板についている。そして、こんなにクセのある帽子をさり気なくかぶれるのは、おしゃれ上級者というだけでなく、かなりの曲者です。
 そんな普通じゃない男がパイプをくわえて、何やら考え事をしている。世界の行く末を憂えているのか、それとも晩ごはんのおかずを野菜炒めにするか、レバニラ炒めにするか悩んでいるのか。そんなことを想像しながら、何時間でも眺めていられます。

 以前、雑誌で南蛮人形を知って以来、欲しくてたまらなくなり、探しているのですが、なかなか出会いがありません。さっき“作られていた”と書いた通り、現在は作られていないんです。一時、地元にある『かん袋』という甘味処のご主人が趣味で復刻されていたそうですが、それも今はやめられたとのこと。
 こうしたモノとの出会いはタイミング。気長に待ちます。

 そういえば、仕事場までの道中にある古い喫茶店のショーウインドに、ポンチョとソンブレロを身につけ、膝を抱えている少年の人形が飾られていて、何年もの間イカすなぁと思いながら前を通っていました。お店の人に譲ってもらえないか、尋ねてみようかと考えたこともあるのですが、何だか失礼なような気がして我慢していたら、ある日忽然と姿を消したんです。

 代わりに他の置物を置くわけでもなく、メキシコ少年がいた場所は空席のまま。何年もの間置いていたものを、いきなり強制撤去するとは考えにくいし、誰かにプレゼントしたと考えるのがいちばん自然。

 たまたま前を通りかかった観光客が「カワイイ〜、これって売り物ですか?」と、白々しい&図々しい質問したところ、店の人は「人からもらったもんを置いてるだけですわ。なんやよう知らんけど、気に入ったんやったら持って帰らはったらよろしいわ」と、腰がくだけるような回答。
 こんな会話が交わされたのかと思うと、横山たかし師匠のようにハンケチを噛みたくなります。

posted by ichio