「潤 沢」〜たかっしにリスペクト
TBSで放送中のドラマ『俺の家の話』がおもしろい。
キャストは長瀬智也、戸田恵梨香、西田敏行といった面々で、脚本は宮藤官九郎。
あらすじはスッ飛ばし、今回は第6話に登場した阿部サダヲ演じるムード歌謡グループ「潤 沢」のリーダー、たかっしが素晴らし過ぎる話をしたいと思います。
たかっし率いる潤 沢は、全国のスーパー銭湯やリゾート施設でおばさま(姫)を相手にした歌謡ショーを行うグループ。まぁ、純烈のパロディというか、そのまんまです。設定では、“純烈が行かない銭湯を狙ってステージを行うグループ”とのこと。
ショーでたかっしはハッピー&ブルーのヒット曲「星降る街角」のカバー「星降る街角2021」をイカした腰つきで歌うのですが、曲の合間に入れる合いの手がアホらし過ぎてサイコーなんです。ドラマの中でも、最初は余りのくだらなさに失笑していた主人公家族が、次第にたかっしが放つ摩訶不思議なグルーヴに巻き込まれトランス状態に。
つづいて繰り出されるのが、たかっしが“なかにし札(礼ではなく札)”というペンネームで作詞した新曲「秘すれば花」。作曲は筒美洋平。ちなみにモデルとなっている、なかにし礼&筒美京平のタッグはTOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」をつくっています
「秘すれば花」は詞もメロディも使い古されたフレーズだけで出来ているのですが、たかっしにとってそんなことは承知の上。従来のムード歌謡を解体・再構築し、相対化しているのです。
音楽番組を見ると、ダルそうな雰囲気を醸し出すロックグループのメンバーが、自分たちのオリジナル性についてドヤ顔で語りながら、「走りつづけろ真夜中のハイウェイ、踊りつづけろオールナイトロング」的な歌詞を歌いだしてコケそうになることありますよね。それに比べればたかっしの方がはるかにクールです。まぁ、こうしたロックグループも、たかっし的なアプローチをとっているととれなくもありませんが。
さらにソウルクエリアンズのようにメンバーを固定せずフレキシブルに活動する姿勢や、メンバーの顔をプリントしたフェイスガードの販売などマーチャンダイズに力を入れているところも極めて今日的。
そして何より、C調なキャラとプロフェッショナルな顔を絶妙な塩梅でブレンドするバランス感覚に感服です。たかっしさん、リスペクトです!