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2015.09.25

どこか変、確かに変

150925 最近、知り合いの方々から“気色悪い”といわれることが多くなってきました。自分では年を重ねて“味が出てきた”と解釈しているのですが、単に“気色悪い”そうです。
 そういえば出会って20年以上になる、つれ合いにも引かれることがちょいちょいあります。まぁ、それはお互いさまなのでいいとして、この前『サザエさん』の花沢さんのマネをしていたら、子どもから「楽しそうにしているところ悪いけど、ちょっとエグい」といわれた時は、さすがにショックでした。
 どうして必要以上に“エグみ”が出てしまうのか考えたところ、出さなくてもよい暗部や恥部をさらけ出していることに気づきました。
 花沢さんのマネにしても、表層をトレースしているのではなく、彼女の奥底に潜むダークサイドを抽出しているみたいです。要するに、誰も喜ばないイタコ状態。

 そのことを『ナイトクローラー』という映画を観て確信しました。
 ジェイク・ギレンホール演じる主人公の報道パパラッチが、とにかくエグくて、気色悪いんです。まず外見。特に身だしなみがだらしないということはなく、ちょっと見は言動が変というワケでもないのに(ホントはチョー変なんですが)、瞳孔が開いたギョロ目から“普通じゃない”ことがヒシヒシと伝わってくるんです。
 完全にバランスを崩しているこの感じ、笑いごとではありません。自分もいつこうなるか分からない。というか、すでにバランスが崩れてきているような気がしないでもない……。現に声のボリュームの調節がユルくなっていて、「何で急にそんな大きな声で喋るんですか」といわれることがあります。

 『ナイトクローラー』は基本サスペンスですが、現代人の歪みをあぶり出すスリラーとして捉えることもできます。とにかくルイス・プルームという報道パパラッチがイカれている。特ダネを求めるテレビ局にあおられて行動をエスカレートさせていくのですが、間違った使命感に駆られたとか、プレッシャーに耐えかねて人の道を踏み外したとか、そういうことは一切なく、単に性根が腐っているだけの話。
 だから、自分にだけ都合が良い話を押し通す時も、恥ずかしげもなく、まるで賢人が教えを説くようにまくしたてる。こういう人、います。いや、自分がそうなっているかもしれない。そう考えると、男前豆腐を持つ手がプルプル震えます。
 それにしても、『バッファロー’66』のビリーブラウンと『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のジョーダン・ベルフォートを足して2で割ったようなルイス・プルームのカス具合、最高です! ジェイク・ギレンホールの快(怪)演、お見事。いま俳優で映画を観るなら、彼はハズせません。

 さて、ただでさえ変なオーラが滲み出てきている僕ですが、半ズボンにキャップを被って仕事に出たりしているので、近所の人たちにとってはかなり怪しい人間であることは間違いありません。なので不安を解消するよう、道で顔を合わした際は必要以上の笑顔で元気よく挨拶するようにしています。つれ合いにいわせると、これが板についておらず、気色悪いそうです。

posted by ichio