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2017.06.15

やってはいけないことをして成功した『銀界』

170614自分の中で「これだけはやったらあかん」と思っていることが世の中的にはOKだったりして、首を傾げることが多々あります。最近だと、会話の中で芸人さんみたいに「〜からの」とか「イヤイヤイヤイヤ」というフレーズを大声で発する人を見ると、コイツの背後に毒ヨダレ垂らしたエイリアン現れへんかなと真剣に思います。
もうひとつ「やったらあかん」と思っているのが、伝統的な楽器とモダンミュージックとの融合。たまにテレビで見る、ロックバンドをバックに三味線を弾いたり、雅楽で用いられる笛でヒット曲を吹いたりするやつです。楽器の良いところを根こそぎ台無しにしているし、音楽的なチャレンジも刺激も皆無。それに、単純に聴いていてダサい。やるなら広告代理店的なアプローチではない、プラスの要素を生み出すためのビジョンや戦略、批評精神をもって臨んでほしいものです。
まぁ、世界にはそんな面倒くさいことを考えずに、インド音楽とジャズ、トルコ音楽など、さまざまなミックスしている人たちがいますが、能天気故、内容がはっちゃけていてキュートなんですよね。日本でこういうことをする人の大半はカッコ良さげなイメージでやってるので、かわいげもありません。

そんなハードルの高いチャレンジに遥か45年以上前に挑み、先に述べたイチャモンをそそくさと引っ込めたくなるような、圧倒的な世界観と演奏を突きつけてくるのが『銀界』というアルバムです。内容は、山本邦山という、味つけ海苔のような名前の尺八奏者(人間国宝!)と、日本のジャズを牽引してきたピアニスト、菊地雅章が競演する所謂“ジャズmeets邦楽”。しかし、その演奏はどちらかの音楽的フォーマットをなぞってお茶を濁す安易なものではなく、お互いがもつテクニック、ボキャブラリーを駆使し、丁々発止で今までにない音楽をつくり出そうというヒリヒリ感が伝わってきて、しかも音楽としてカッコいいのだから凄い。ベースのゲイリー・ピーコックもいい仕事している。彼はこの時期、禅とマクロビオテックにハマっていて、京都に住んでいたとか。
昔の新日プロレスは大物同士の試合になると、お互いが見せ場をつくったところで両者リングアウトになるのがお決まりでした。中にはワケもなく急にリングを下りて、「オラ〜、ここで勝負しろ!」と叫びだす珍妙なレスラーもいました。『銀界』はそうではなく、「マジで勝負つけるの?!」というワクワク感が存在しています。

posted by ichio