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2004年11月12日

ニコイチなギタリスト

041112.jpgマーク・リボーとビル・フリーゼル。共に80年代後半に頭角をあらわし、今やミュージック・シーンの先端にいるギタリストなんですがこの二人、対照的な音を奏でながら何故かニコイチに思えてしまうんですよね。
マーク・リボーはアート・リンゼイの後釜としてラウンジ・リザーズに参加して以来、ずっと「異化」をテーマにした音づくりに取り組んでいます。それは「ハズしの音」と言いかえてもいいかもしれません。コステロ、ウェイツ、デヴィシル、トリッキー、リンゼイとの共演では、一音一音は違和感のある音を出しながら、不思議とその人の音楽にとけ込んでいる絶妙のプレイを展開。このスタンスがよりハッキリあらわれているのが、ソロワークの似非キューバ・ミュージック。ホンモノのようでニセモノで、ニセモノのようでホンモノで…と悩んでいるうちにそんなことどうでもよくなってしまう。それがマーク・リボーの個性ということなんでしょう。実際、ちょっと聴いただけで彼のギターって分かりますもんね。
ビル・フリーゼルは当初、ジョン・ゾーン〜ネイキッド・シティのギタリストとして参加するなどハイブリッドな活動をしていたのですが、『ハヴ・ア・リトル・フェイス』あたりから古き良きアメリカを追い求める音の旅に出発。でも、彼が描くアメリカって、一見ありふれたアメリカのように見えて実はどこにも存在しない夢の国なんですよね。彼のやっていることって、オレ流アメリカ史をつくることに取り憑かれた作家スティーヴ・エリクソンや映画監督ロバート・ゼメキスと似ているような気がしてなりません。
そして、既存のフォーマットを借りつつ、その中で強烈な個性を発揮する(それは同時に世に蔓延るダメ音楽への批判にもなっています)スタイルがリボーと近い存在にしているのかもしれません。
『北斗の拳』に例えるなら(例えんでいい?)、マーク・リボーのギターは一目見たときからトリックスターとしての魅力を振りまくジュウザの我流拳法、ビル・フリーゼルのギターは敵の中に入り込み内部から破壊するトキの北斗神拳といった感じでしょうか。
そんな二人がジョン・ゾーンの曲をギターで再現するアルバムで共演。吾輩は未聴なのですが、友人が言うにはかなり凄い内容だとか。

posted by ichio : 16:20 | | trackback (0) |