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2021.09.14

ひと味ちがうスタローン〜『ナイトホークス』

210914 シルベスター・スタローン。
 この字面を見て、すでに半笑いになっている人はいませんかッ?!
 まさか、彼のことをやたら筋肉を見せたがる単細胞マッチョ俳優なんて思ってないでしょうね。まぁ間違ってはいませんが、彼の魅力はそれだけではありません。

 いや、もしかしたら、若い方々の中にはスタローン作品を観たことがない人や、「誰それ?」という人がいたりするかもしれない。
 知らないのは、時代の流れということで仕方ありません。問題は、半笑いになってしまうことです。そういう人の大半は、迷作『刑事ジョー ママにお手上げ』が原因ではなく、単細胞マッチョというイメージや、「エイドリア〜ン!!」と絶叫するロッキーのモノマネに引っ張られているんじゃないでしょうか。
 まず、はっきりさせておきたいのは、「エイドリア〜ン!!」と叫ぶシーンは、観ているこっちもヒックヒック嗚咽するくらいの胸熱シーンであることです。人付き合いが苦手で、どん詰まりの人生を送っていたロッキーとエイドリアン。そんな二人が出会い、自分らしくいられる場所を見つけ、ロッキーの人生を賭けた挑戦が終わった時、ボクシングの夢よりも世界でたった一人の理解者の方が大切だと実感して出てきたのが「エイドリア〜ン!!」です。そんな姿を見て泣かずにいられるわけがありません。

 スタローン自身も『ロッキー』の成功をきっかけにスターとなり、1980年代後半からながい迷走期はあったものの、素晴らしい作品を多く世に送り出してきた俳優であり、映画作家だということをご理解いただきたい。今ではロッキー・バルボアとジョン・ランボーという映画史に残る2大キャラクターを看板にしている彼ですが、『ロッキー2』の頃まではロッキーのイメージが付くことを避けるためか、いろいろな役にチャレンジしていました。
 そのひとつが『ナイトホークス』。

 取り上げられる機会が少なく地味な印象ですが、スタローンファンや犯罪モノが好きな人の間では根強い人気がある作品です。何といっても、ストーリーがあるのが素晴らしい。迷走期には、ただ腕相撲をとりつづける作品や、叫びながらマシンガンをぶっ放すだけの映画を連発していましたが、『ナイトホークス』にはしっかりとした筋があり、しかも伏線と回収、どんでん返しが効果的に使われていて、ピリッと引き締まったサスペンスアクションに仕上がっています。

 ところで最近やたら「伏線と回収」というフレーズを見るんですけど、何か僕の中での意味合いと違うんですよね。今って、何かしらの謎が振られて、その答えを明らかにすることを意味しているように感じます。だから、後半に登場人物がセリフでダラダラ喋っても回収成立となる。これじゃ、伏線が全然伏せてないし、単なる説明やん!
 事前にさり気なく後につながるネタが映し出されていたり、会話の中に潜んでいたりして、結果に至った時に「そういえばあの時!」と膝を打つのが本来の「伏線と回収」だと思うのですが。

 話は戻り、スタローンも『ナイトホークス』では、腕は立つけれど人としては癖が強い刑事を好演。癖が強いキャラというと「そんなヤツおらんやろ」というくらいデフォルメしがちですが、抑えた演技で汚れ感と不器用感を良いバランスで演じています。

 そして、この作品最大の見所は、一匹狼のテロリストを演じるオランダ出身のルトガー・ハウアー。非道なテロ行為を平然と行う狂いっぷりと、組織から見放されて追い詰められていく焦燥感を圧倒的な存在感で表しています。子どもの頃に見た時、「世の中にはこんな恐ろしい人間がいるんや」と、震え上がったものです。
 ルトガー・ハウアーはこの後、『ブレードランナー』や『ヒッチャー』でも唯一無二の悪役を演じ、アメリカでスターに。ただ彼もスター街道を走るようになって、スタローンと同じくステレオタイプなニヒルヒーローを演じる時期がつづき、再び渋い演技をみせてくれるようになるまで随分待たなければなりませんでした。

 スタローンは近年、ランボー・シリーズを超ヘヴィな作風で復活させたり、ロッキーのスピリットを次の世代へつなぐクリード・シリーズを始動させたりするなど、現在進行系で素晴らしい仕事をしています。
が・・・・、同時に迷走期の名残が濃ゆい大脱出シリーズもコンスタントにつづけているあたりが、スタローンらしくてステキです。

posted by ichio
2021.08.26

山下達郎、恐るべし

210826 ローリング・ストーンズのドラマーであり、ロック史に名を刻むドラマー、チャーリー・ワッツが亡くなりました。スネアとハイハットを同時に叩かない独特のドラムスタイルは一聴するとスカスカに聴こえますが、キースのギターを引き立たせ、ストーンズならではのノリをつくっているのは、そんな彼のドラムあってこそと言っても言い過ぎではないでしょう。またメンバー間の関係においても、バンドのマーチャンダイズの監督としても、バンドになくてはならない存在でした。心よりご冥福をお祈りします。

 前回この夏いちばんYouTubeで見たのは御陣乗太鼓と申しましたが、この夏いちばん我が家のターンテーブルに乗ったアルバムはというと、ダントツで山下達郎の『フォー・ユー』です。
 これまで山下達郎はテレビから流れてくるのをつまみ聴きするくらいで、ほとんどスルー状態でした。ところが、カーティス・メイフィールドの「キープ・オン・トリッピン」や「トリッピング・アウト」「ネバー・ストップ・ラビング・ミー」といったクール系ソウルの名曲にカラダを揺らしていたところ、「ひょっとしたら山下達郎にもこんな感じの曲あるんとちゃうやろか」とひらめき、早速購入。

 「サブスクで聴いた方が手っ取り早いやん」というご意見があるのは重々承知しておりますが、僕の場合好きになるためには身銭を切らないとダメ派なので、今回も一切視聴せずに購入した次第です。こうした当てモノ感覚で買うと失敗した時のダメージは大きい反面、期待以上だった場合のうれしさは格別です。ちなみに2000円オーバーのアルバムだと、どんなにトホホな代物でも、死にもの狂いで好きなところを探さなければなりません。

 で、『フォー・ユー』は・・・・これ、世界レベルの名作ですやん!
 ソングライター、シンガーとしてのクオリティの高さはもちろんのこと、特に驚いたのがギタリストとしての素晴らしさ。シンプルでフックのあるフレーズをつくるセンスと、グルーヴを生みだす演奏力はただ者じゃありません。そして彼のギターが映えるのは、ボトムを支えるリズムユニット、A・I(ベース:伊藤広規、ドラム:青山純)の鉄壁なバックがあってこそ。

 どの曲もイカすのですが、なかでもワンフレーズで曲をグイグイ引っぱる「スパークル」や「ラブ・トーキン」の気持ち良さは、カーティス・メイフィールドとタメを張ります。
 ただし、さっき挙げたカーティスの曲が蒸し暑い夜を連想させるのに対して、達郎(馴れ馴れしいですが、そう呼ばせていただきます)の曲はピーカンの空に風が吹く、カラッと乾いたイメージ。もひとつ言うと、カーティスの曲からは人や街のニオイを感じるのに対して、達郎が歌う世界は無味無臭なところがおもしろい。もちろんどっちが良いという話ではなく、単に個人的なイメージです。

 その他に「ラブランド、アイランド」のような夏御用達のキラーチューンもあれば、じっくりと盛り上げる「ふたり」のようなバラードもある、さらに後半にはヘビーなファンクナンバー「ヘイ、リポーター」まで取り揃えた、天ぷら 屋さんの“まきの定食”状態。
 もともと僕は大仰な「ふたり」タイプのバラードは苦手で、達郎のボーカルもある意味ねばり気が強めなので胸焼けするところなんですが、不思議とサクッと聴けるんですよね。これは曲の良さに加えて、音楽の神様から授かった声によるところが大きいと思います。
 こんな名盤を今まで聴かずにいたのは、ずいぶん夏を損した気分にならないこともないですが、その分これから聴きまくってもとを取りたいと思います。

 余談ですが、僕と同じような達郎弱者の方も、このアルバムのカバーイラストは見たことあるんじゃないでしょうか。描いたのは80年代を代表するイラストレーター、鈴木英人。僕も小学生か中学生の頃、彼のイラストがプリントされた缶ペンを持ってました。同じくこの時代を象徴する永井博のイラストもあわせて、何周かまわって今すごく新鮮に見えます。

posted by ichio
2021.08.16

御陣乗太鼓

210816 YouTubeの画面の横っちょに表示される“暇してるあんたへのオススメ動画”に、日々まんまと釣られています。ほとんどはこれまだ見た動画と関連したものがピックアップされますが、時々「何でこんなんすすめてくるの?」という代物にお目にかかることがあります。
 今回取り上げる御陣乗太鼓もそのひとつ。何気に見たところ、これがとんでもなくイカしていて、関連動画を見てまわるように。おかげで僕のYouTube画面の右横は、御陣乗太鼓だらけになっています。

 オフィシャルサイトによると、御陣乗太鼓の由来は約450年前に遡るとのこと。天下統一を目指す上杉謙信が能登に攻め入り、その軍勢は名舟村という小さな村落にも押し寄せてきました。迎え討つといっても名舟村の村人たちは武器らしい武器を持っておらず、映画『300』以上に勝ち目のない状態。そこでやけくそ気味に、樹の皮と海藻でつくったお面を被って太鼓を打ち鳴らしながら夜襲をかけたところ、上杉軍は驚き、慌てふためき、戦わずして退散したそうです。
 確かに僕もこんな集団に出くわしたらビビリますが(大人になってからお化け屋敷で腰を抜かしそうになった経験あり)、それにしても上杉軍、浮足立ち過ぎでしょ。天下統一できなかったのも納得です。
 一方村人たちはこの出来事を奥津姫神の御神徳によるものとし、毎年、奥津姫神の大祭で太鼓を打って氏神に感謝を捧げるようになったといいます。

 パフォーマンスは、夜叉や幽霊、達磨、爺などが入れ代わり立ち代わり、ひとつの太鼓を打ち鳴らすのが基本スタイル。伝統的な和太鼓というと敷居が高いイメージがありますが、御陣乗太鼓はある意味すごくポップで、すんなり入ってきます。特にロックリスナーは好きなんじゃないでしょうか。
 まず、グラムロックのようにビジュアルにケレン味があり、いきなり心を鷲掴みにされます。そしてサウンドは、ベース部分を担当する打ち手がポリリズム的なリズムを刻み、その上に他の打ち手がさまざまなフレーズをブチ込んでいきます。打ち手によって多少テイストは異なるものの、すべてパワープレイ。それを大人数編成ではなく、マックス5、6人の少人数で演奏するところもロック的。
 また、太鼓の演奏中によくある「セイヤッ!」という勇ましい合いの手ではなく、「ぐわぁ〜」という雄叫びや、「ぐへぇ〜ぐへぇ〜」という唸り声をあげるところも、異形感があってカッコいい。
 個人的には、ノイバウテンの『Kollaps』や、ナイン・インチ・ネイルズ『Fixed』に通じるトンデモ感をおぼえました。

 御陣乗太鼓は石川県指定無形文化財、輪島市指定無形文化財に指定されており、保存会の方々も精力的に活動されているようですが、保護育成の助成がほとんどなく、活動は縮小傾向にあるとのこと。自治体だけの支援となるときびしいと思うので、何とか国がこういう伝統芸能の保存に取り組んでほしいと思うのですが、むずかしいのでしょうか。日本文化の素晴らしさを謳った・・・・のに、パフォーマーの方々は誰一人得しなかった、“あの”オリンピック開閉会式に驚愕の予算を投入できるのですから、どうぞよろしくお願いいたします。

posted by ichio
2021.07.06

一生モノ級の傑作、『アメリカン・ユートピア』

210706 サイコーやないですかッ!! デヴィッド・バーンの『アメリカン・ユートピア』。
 カッコ良すぎて涙腺が崩壊し、ヒックヒックするくらい泣いてしまいました。

 ざっくり内容を説明しますと、かつて彼がフロントマンを務めていたバンド、トーキング・ヘッズとソロになってからの代表曲をメインに構成されたブロードウェイのショーを、映画監督のスパイク・リーが映像化した作品です。
 といっても、単なるライヴやミュージカル仕立てにならないところが、デヴィッド・バーンのデヴィッド・バーンたる所以。何と、裸足でお揃いのスーツを着た11人のミュージシャンが、舞台狭しと日本体育大学の集団行動のように複雑なフォーメーションをとって行進したり踊ったりしながら、演奏するんです。
 しかも演奏はシンプルかつグルーヴィーで、グイグイ腰にくる完成度。デヴィッド・バーンのボーカルも年齢を重ねて滋味が滲み出てきて、若い頃とはまた違った魅力があります。

 あまりにスゴ過ぎて、「こんなクオリティの高い演奏と複雑な動きを同時にするのは無理。絶対に口パク」と邪推する人がいても、僕は怒りません。生演奏だと知っていても、途中から「そうはいっても、ちょっとくらい口パクしてるんじゃないの?」と疑ってしまうくらいですから。
 しかし、こうした疑問に対して、デヴィッド・バーンはメンバー紹介を交えながら本当の本当に生演奏であることを証明し、観客を改めて唸らせます。

 『アメリカン・ユートピア』が素晴らしいのは、技術的にすぐれているからだけではありません。むしろ、デヴィッド・バーンのセンスと知性、そしてひょうひょうとした佇まいがあってこそといえるでしょう。
 実際に踊り自体は高度な技を披露しているわけではないのですが、ユルいところとバシッとキメるところのメリハリをつけることで、カッコ良さが際立っているんですよね。
 余談ですが、ピーター・ガブリエルのライヴにも同じような魅力を感じます。
 こういうスタンスは、肉体的な経年劣化が加速している中年として、是非ともお手本にさせていただきたいところです。

 また、このショーではデヴィッド・バーンの語りや舞台演出によって、さまざまなメッセージが発信されているのも特徴。でも、それが頭デッカチになっていないのが粋。近年顕著になっている世界の断絶に対しても、特定の個人や国を糾弾するのではなく、その原因は一人ひとりの心にあるとしている点にも共感。しかも、それをあんなモノ、こんなモノで表現するなんて、イカして過ぎてますやん。

 あともう一つ、おそらく複雑・高度であろう撮影や構成をそうとは見せず、没入体験させてくれるスパイク・リーの手腕も素晴らしい。そして、パフォーマーが全集中している緊張感と、音楽が楽しくてしかたないと感じている姿がとらえられていて、胸が熱くなります。音楽が好きでないと、こういう映像は絶対に撮れません。

 もうベタ褒めを通り越してネチョ褒め状態ですが、ブロードウェイ公演されたのを知った時は、昔のヒット曲を焼き直ししているように思えて、「デヴィッド・バーンも年をとったなぁ」と残念な気持ちになったことを白状します。
 いやもう、完全な間違い。菓子折りを持ってニューヨークまで謝りに行かなければなりません。

 彼は「これはいつ書いた曲なのか」といったみみっちいことにはこだわらず、「“いま” 意味のある曲は何か」という視点でとらえているんです。
 また、ラテンやアフリカの音楽を積極的に取り入れてきた彼は、かつて「人様の文化を搾取している」、「植民地主義だ」など、批判されることもありました。当時から評論家のこじつけ感がハンパありませんでしたが、今振り返るとさらに、そういった物言いの方がはるかに傲慢なエリート主義であることが分かります。
 デヴィッド・バーンは、異文化の音楽を奪ったのではなく、異文化の音楽に心を奪われたんです。そして、音楽の素晴らしさと力を心から信じているんです。
 そんな彼に魅了されないわけがありません。

posted by ichio
2021.06.17

祝 『三体』 完結!

210617 ついに完結!! いやぁ、長かった・・・・。
 こんなことを言ったら、登場人物の方々から「そっちはたかが2年。こっちは何百年、いや何億年もしんどい思いしてるんや」と叱られるでしょう。

 中国(中華圏)SF小説の傑作であり、空前のヒットシリーズ「三体」の最終作『三体Ⅲ 死神永生』上下巻の日本語版がこの度発売され、壮大なスケールの物語の結末を拝むことができました!
 まずはこんなおもしろい小説を書いてくださった劉慈欣さん、翻訳者の方々をはじめとする関係各位にお礼を述べたいと思います。ありがとうございましたッ!

 ネタバレしないようにアマゾンの紹介文レベルであらすじを書くと、物語は文化大革命時代の中国からはじまります。目の前で父親を殺された少女、葉文潔は、エリート天文物理学者になってからも苦難の人生を歩み、人類に絶望します。
 ここまでは虚構の世界ではよくある話ですが、その後の彼女の行動がブッ飛んでいます。何と、「私は地球人と申します。自分で言うのもなんですが、私たちはどうしようもないクソなので、ヤキを入れてやってください」というメッセージを宇宙に送ったのです。
 昨今SNSでこうしたことをのたまう人がいるのは存じていますが、宇宙に配信する人はなかなかいないのではないでしょうか。

 そして、さらに驚いたことに葉文潔が送ったメッセージは、宇宙の彼方にいる、地球よりも遥かに進んだ文明をもつ三体人に届いたのです。
 洗練された高度な知性で地球人を良き方向へ導いてくれると思ったら、三体人は地球人以上にクソだった・・・・。
 地球の存在を知った三体人は、すぐさま乗っ取り作戦を開始。彼らの艦隊が地球に到着するのは400年後。それまでに人類は三体人に打ち勝つ術を見つけることができるのか?!というのが話の大筋。

 とにかく序盤からスピード感がハンパなく、読みだしたら止まらないのが「三体」シリーズの魅力。門外漢からすると、今のSF小説って細かいことをむずかしくチネチネ書いているイメージがあったのですが、「三体」シリーズは小さいことはお構いなしに、勢いで話を進めていくところが爽快です。
 実は「三体」シリーズは、第二部『三体Ⅱ 暗黒森林』で一応の決着はついていまして、そこからどう展開するのかいろいろ想像をめぐらせていたのですが、『三体Ⅲ 死神永生』は僕のセコい想像力を遥かに上回るスケールだったのはもちろん、予想外の角度から攻めてきました。スピード感もさらにアップ。特に上巻の地球人と三体人が巻き起こす事態の描写は、僕の大好きな小説『ゼウスガーデン衰亡史』とダブるところがあり、楽しさ倍増。
 下巻になると作者のイマジネーションがますます加速して、振り落とされないようにしがみつくことで精一杯でした。

 レビューを見ると、第三部の主人公である美人科学者が不評のようですが(「三体」シリーズは部ごとに主人公が変わるんです)、僕的には彼女のすっとこどっこい感は映画『プロメテウス』と『エイリアン コヴェナント』で抗体ができていたので、拒否反応は起きませんでした。

 ボリューミーではありますが、むずかしいところはこれっぽっちもなく、エンターテインメントのど真ん中を行く作品なので、時間をつくってでも読んでください。
 幸い僕はこの半月、YouTubeで金村義明さんの野球漫談を見まくるほどヒマだったので、サクサク読むことができました。・・・・って、全然うれしないわ!

posted by ichio
2021.05.27

FANTASTICO FANIA!

210527 新型コロナウイルスの影響が長引き、自粛疲れが出てきている方もいらっしゃるかと存じます。いろいろな制限がある中で張り合いのある生活を送るためには、まずカラダとこころの健康が大切。
 僕もカラダの健康に関しては、ずっとしている超ライトな筋トレに加えて、ランニングをはじめました(正確には幾度の挫折からの再挑戦です)。しかし体力の衰えは隠しようがなく、いちびって若い人をオーバーテイクしてしまったら最期。すぐにしんどくなってペースが落ちてくるのですが、一度抜かした人に抜き返されるのは恥ずかしいので、死にもの狂いで走る羽目になってしまいます。限界が来た場合は、さも走り終わった素振りを見せつけて歩きに切り替えます。

 メンタルケアの方は、もっぱら音楽鑑賞。僕の場合、とことんダークなものと、ご陽気なものをセットで聴いくことで相乗効果を高めます。
 ダークサイドで愛聴しているのが、デヴィッド・シルヴィアン+ホルガー・チューカイ『ブライト&プレモニション』、ウィリアム・バシンスキー+リチャード・シャルティエイ『無題』、トム・ヨーク『サスペリア』といったところでしょうか。これ、本当に奈落の底に引きずり込まれそうな音楽なので、ホラー映画を観て爆笑するような人でないと聴かない方が良いと思います。くれぐれもご注意ください。

 一方ご陽気サイドで愛聴しているのが、ラテン音楽。中でもFANIAというラテン音楽専門レーベルの作品がお気に入り。針を落として音が鳴りはじめた瞬間からウキウキ♪ 元気になります。
 男性のみなさん、「FANZA」ではありません。「FANIA」です。お間違いのないよう。まぁ、FANZAもある意味、元気にはなりますが・・・・。

 FANIAは1964年にニューヨークで設立されたレーベルで、1970年代に盛り上がったラテン音楽シーンを支えた存在。ウィキペディアによると、ジャズにおけるブルーノート、ソウルにおけるモータウンのような感じだったとのこと。
 現在は他のレコード会社に買収されたものの、レーベル自体は存続しているので、比較的簡単に作品を手に入れることができます。

 僕はここ何年かチビチビと買い集めているのですが、とにかく「FANIAにハズレなし」といえるくらい、どれも素晴らしい。特にオススメしたいのがラリー・ハーロウというピアニスト。
 今回ピックアップしたジャケットは胃もたれしそうなビジュアルですが、グッとこらえて聴いてみてください。艶のある歌声、高らかに鳴り響くホーン、自然と腰が動きだすリズムを刻むパーカッション、そして転がるようなドライブ感を生みだすハーロウのピアノ。きっと、こころの空模様は曇りから快晴に変わるはず。
 個人的にラリー・ハーロウのアルバムでは代表作とされることの多い『エル・エキシジェンテ』(写真)よりも『ヘビー・スモーキング』が好きです。

 いきなり聴き慣れないラテン音楽を聴くのはハードルが高いという方は、まずFANIAのサイトにアクセスしてみてください。ピックアップした写真に勝るとも劣らない濃ゆい面子がズラリと並んでいて、見るだけで楽しい。これがきっかけとなり、新しい扉が開くかもしれません。
 男性のみなさん、しつこいようですが、FANZAのサイトではありませんよ!

posted by ichio
2021.05.02

ゲームボーイ・ブーム到来

210502 いま我が家ではゲームボーイの一大ブームが到来。連れ合いと子どもはスーパーマリオ、僕はドンキーコングに熱くなっています。(この2作品はゲーム内容だけでなく、音楽も最高だと改めて実感している次第)
 よく「1周まわって〜」なんて言いますが、我が家の場合は他のゲーム機は持っておらず、携帯ゲームも一切しないので、同一周回でハマっています。
 自分にはこれくらいシンプルなゲームが丁度いい湯加減。今のゲームはしたことありませんが、おそらく体も脳もついていかないと予測されます。
 大体携帯電話にしてもオーバースペックで、0.01%の機能も使っていない自信があります。ワケのわからない便利機能をつけるなら、バッテリーの減りを少なくすることに力を注いでほしいものです。

 IT関連のサービスに関して、メディアやまわりの人から「これが流行っている」「あれが熱い」といったことを見聞きしますが、どうもピンと来ないんですよね。「それ、ホンマに要る?」と思ってしまう。
 例えるなら、奥さんの誕生日のお祝いに「アレクサ、ハッピーバースデー歌って」と言っている感じといえば分かっていただけるでしょうか。
 ちなみにあのCM、まあまあ恐怖映像です。
 世の中には次から次に新しいサービスが出ていて、時流を追いかけるのは大切なことなのかもしれませんが、個人的にはトイレットペーパーがシングルからダブルに変わることよりどうでもいいです。(僕はシングル派)

 今のITの進歩って、もはや個人の暮らしのレベルを超えていて、得しているのは雲の上にいる人たちだけのようなモヤモヤ感が拭えません。とはいっても技術の進歩によって社会が良くなっているのも事実なワケで。ただ、もう人間の手には収まらなくなっていて、『ターミネーター』や『マトリックス』の世界にどんどん近づいているような不気味さを感じます。
 僕が世の中に憂いてもどうにもならないので、とりあえずゲームボーイで楽しい時間を過ごしたいと思います。

posted by ichio
2021.03.23

評伝・自伝・作家論が豊作

210323  去年の後半から今年にかけて、ミュージシャンの評伝・自伝・作家論の力作が相次いで発売されていて、どれから読むか、いや、その前にどう小遣いをやりくりして本を買うか悩み、悶えています。
 パッと思いつくだけでも、『細野晴臣と彼らの時代』(門間雄介)、『YMO1978-2043』(吉村栄一)、『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(近田春夫、下井草秀)、『デヴィッド・ボウイ 無を歌った男』(田中純)などなど。

 もう少し前に出た本ですが、モリッシー、ジョニー・マー、トレイシー・ソーン、ダニエル・ラノワの自伝も長い間読みたいリストに載ったままの状態。
 ミュージシャンではないけれど、2年ほど前に出た『ブルース・リー伝』(マシュー・ポリー)も読みたい読みたいと思いながら未だに読めていません。

 そういえば、今は絶版になっている『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』、『ジョン・コルトレーン 私は聖者になりたい』も読めていなかったことを思い出しました。
 これ以上リストアップすると物欲で頭がおかしくなりそうなのでやめておきます。

 どうしてこんなに未読の本が溜まってしまったのかと申しますと、まずこうした類の本はお値段が結構するため、気軽にホイホイ買えない懐事情がございます。著者の方々の労力を考えるとこんなことを言うのは大変心苦しいのですが、小市民の嘆きということでどうぞお許しください。

 もうひとつの問題は時間。お値段だけでなくページ数もボリューミーなものが多く、読みきるためにはそれなりの時間を要します。単純に時間に余裕がないというのもあるのですが、近頃は本を開くと自動的に導睡スイッチが入り、なかなか前に進まないのです。老眼でショボつく眼をこすりながら読むのも哀しいので、最近は自然に身を委ねることにしています。

 僕はこれまであまり評伝・自伝を読まなかったのですが、最近気になりだしたのは、自分が敬愛する人たちがキャリアの総括期を迎えていたり、デヴィッド・ボウイのように惜しくも天に召される人が増えたりしているからのように思います。
 若かった頃、親が自分の好きな有名人を懐かしむ番組を見ていると「退屈なことしてるな」と思ったものですが、今ではすっかり同じことをしています。月並みですが、自分が好きな人のキャリアや人生を辿りながら、自分自身の歩みを振り返り、何かしらの意味づけをしたいと感じはじめるお年頃なのでしょう。
 それはそれで楽しいことなので、我慢せずにガンガン振り返りたいと思っています。

 さて、何から読むかという最初の問題に戻ると、YMOに関しては以前にこのブログでも取り上げたメンバーのインタビュー本『Yellow Magic Orchestra』(田中雄二)が決定版だと思っているので、ひとまずスルーして、『デヴィッド・ボウイ 無を歌った男』から読みはじめようかなぁと・・・・。いや、『細野晴臣と彼らの時代』もおもしろそうだし、やっぱりこっちから読むべきかも・・・・。

 しばらくはこの贅沢な気分を楽しむのが正解な気がします。

posted by ichio
2021.03.13

「潤 沢」〜たかっしにリスペクト

210313  TBSで放送中のドラマ『俺の家の話』がおもしろい。
 キャストは長瀬智也、戸田恵梨香、西田敏行といった面々で、脚本は宮藤官九郎。

 あらすじはスッ飛ばし、今回は第6話に登場した阿部サダヲ演じるムード歌謡グループ「潤 沢」のリーダー、たかっしが素晴らし過ぎる話をしたいと思います。

 たかっし率いる潤 沢は、全国のスーパー銭湯やリゾート施設でおばさま(姫)を相手にした歌謡ショーを行うグループ。まぁ、純烈のパロディというか、そのまんまです。設定では、“純烈が行かない銭湯を狙ってステージを行うグループ”とのこと。

 ショーでたかっしはハッピー&ブルーのヒット曲「星降る街角」のカバー「星降る街角2021」をイカした腰つきで歌うのですが、曲の合間に入れる合いの手がアホらし過ぎてサイコーなんです。ドラマの中でも、最初は余りのくだらなさに失笑していた主人公家族が、次第にたかっしが放つ摩訶不思議なグルーヴに巻き込まれトランス状態に。

 つづいて繰り出されるのが、たかっしが“なかにし札(礼ではなく札)”というペンネームで作詞した新曲「秘すれば花」。作曲は筒美洋平。ちなみにモデルとなっている、なかにし礼&筒美京平のタッグはTOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」をつくっています
 「秘すれば花」は詞もメロディも使い古されたフレーズだけで出来ているのですが、たかっしにとってそんなことは承知の上。従来のムード歌謡を解体・再構築し、相対化しているのです。
 音楽番組を見ると、ダルそうな雰囲気を醸し出すロックグループのメンバーが、自分たちのオリジナル性についてドヤ顔で語りながら、「走りつづけろ真夜中のハイウェイ、踊りつづけろオールナイトロング」的な歌詞を歌いだしてコケそうになることありますよね。それに比べればたかっしの方がはるかにクールです。まぁ、こうしたロックグループも、たかっし的なアプローチをとっているととれなくもありませんが。

 さらにソウルクエリアンズのようにメンバーを固定せずフレキシブルに活動する姿勢や、メンバーの顔をプリントしたフェイスガードの販売などマーチャンダイズに力を入れているところも極めて今日的。
 そして何より、C調なキャラとプロフェッショナルな顔を絶妙な塩梅でブレンドするバランス感覚に感服です。たかっしさん、リスペクトです!

posted by ichio
2021.02.02

前時代の遺物に・・・・

210202 随分前から時代の流れに乗りそこなっていることは分かっていましたが、改めて自分が前時代の遺物になりつつあることを痛感しました。
 年始早々、長年使っていたCDJがまったく動かなくなり昇天されたため、新しいCDプレーヤーを購入せねばとそこそこ大きい家電量販店に足を運んだところ、オーディオ製品はほぼ店舗に置いていないと言われ、クラッときました。
 自分的にCDは生活必需品として毎日使っていますが、一般的にはほとんど需要ないんですね。確かに子どもも特定の音楽を聴くためにお金を払うという発想はない様子だし、アルバムを通して聴くなんて行為もないようです。

 ちなみにこれまで使っていたCDJは、愛着はあったもののDJもしないのにイキって買ったため、僕にとっては無駄にスペースを取り、無駄な機能満載のCDプレーヤーでした。おそらく相手も「こんな使われ方ちがう!」と思っていたでしょう。

 一応僕もSpotifyは利用しているのですが、どんな感じの音楽なのかを確認する程度にとどまっています。
 音楽にしても本にしても身銭を切らないと身が入らないといいますか、たとえ気に入らない内容だったとしても無理やり“好きになりにいく”情熱が湧かないんですよね。
 それに好きなモノに囲まれて生きたいと思っている人間としては、データだけのスッキリしたお部屋というのがどうにも落ち着きません。
 こうした趣向がいろいろな面で不効率なのことは重々承知しており、本・雑誌に関しては一部電子書籍に切り替えようかなと思っております。

 映画もコロナウイルスの影響で、一気にサブスクでの配信に重きを置く方向に進んでいる模様。日本は映画会社と映画館がつながっているのでまだ流れは緩やかですが、アメリカの映画会社は完全に舵をきりました。
 現に最近は、マーティン・スコセッシの『アイリッシュマン』やデヴィッド・フィンチャーの『Mank マンク』など、大御所でも配信ありきの作品が少なくありません。
 またプラットフォームの変化によって、話の構成や画面のレイアウトも変わっていくでしょう。
 こうしたことは時代の流れなので文句をいっても仕方ありません。ただ、加齢によって順応性が鈍り、「自分の好きなものだけあればいい」と開き直りかけている身として、こうした変化に適応する自信がありません。

 僕はいまF1と映画、音楽、動物ドキュメンタリーを観るためにCSに入っていて、そろそろNetflixとDAZNに乗り換えようかなと思案しているのですが、まだCSの方が微妙に安いため踏み切れないでいます。
 こうして二の足を踏んでいる間に時代はどんどん進んでいき、ますます敷居が高くなるばかり。このままではズルズルとドロ沼にはまり挽回できなるので、誰かそっとやさしく導いていただけないでしょうか。

 個人的にはSiriに期待しています。最近インターネットのバナー広告が、どう考えてもアクセスや検索ワードの履歴だけでなく、マイクでこっちの話を盗み聞きしているとしか思えないシンクロ具合なんです。
 この前もテレビを見ながら墓石の話をしていたら、次の日にお葬式の広告が表示されました。家族一同元気なので、墓石関連のサイトにアクセスしたり検索したりする必要は微塵もなく、実際していません。
 当然Siri はNetflixやDAZNの話も聞いているので、サクッと登録のナビをしてほしいものです。

posted by ichio