JLG体験
JLG。‘じゃこ・レタス・後藤さんちのお芋の煮っころがし’ではなく、ジャン・リュック・ゴダールのことです。言わずと知れた生きながらにして伝説と化した映画監督、名前を見るだけでなぜか脳みそが締めつけられるような気分にさせるカリスマです。
が、吾輩は代表的な作品4〜5本しか観たことがない うつけ者です。それも学生時代に‘ゴダールくらいは観とかなカッコつかんのかなぁ’といった見栄だけで観ただけ。そして当然のごとくどの作品も意味が分からず、逃げ出したというありさまです。
それからというもの「ゴダール」という文字がチラつくたびに見て見ないふりをしてきたのですが、最近読んだ本にやたらとこの巨匠が登場して、もはや逃げ通せない状況に。
不惑の四十代も目前だし、そろそろゴダルってもいいかなと思い、はるか昔にテレビ録画した『映画史』をクローゼットの奥から引っ張り出してくる。同じビデオテープに録画した『燃えよドラゴン』と『ダウン・バイ・ロー』は何度も観ましたが、『映画史』はおそらくはじめて。ゴダールを観るという行為自体に大人な雰囲気を感じ、無駄にテンションが上がる。そしていよいよ再生。
ところが、モニターに映し出されたのは砂嵐。ようやく難しい顔をしたゴダールが映ったと思ったら、強烈なノイズが入って強制終了。
どうも時間の経過と前の家でしまっていた押入れの湿気のせいで劣化した模様。というワケで吾輩のゴダール再チャレンジは延期に。ガッカリしたようなホッとしたような複雑な気分です。こんな気分にさせてくれるのも、ある意味ゴダール体験なのかもしれません。もちろんこの後リフレッシュとして『ゾンビ』を鑑賞したことはいうまでもありません。
ところでクローゼットにしまってある同じようなビデオテープ数百本、もしかしたら捨てていいかも。
えほんにまつわるおはなし
テレビを見ていたら もののけと子どもがたわむれている映画の宣伝が流れ、おチビからそれが『かいじゅうたちのいるところ』だと教えられる。‘へぇ〜そうなんや、メッチャおもしろそうやん’とリアクションしながら、心の中では‘また動物(ミュータント)と子どもを利用した商売をしおってからに!’と腹を立てていました。
その後またまたおチビに原作の絵本があることをレクチャーされ、ヤフってみたら世界中で知られている名作とのこと。しかも映画はスパイク・ジョーンズが監督しているじゃありませんか! さっそくサイトで予告編を見たら、もうそれだけで泣きそうになりました。たぶんスパイク・ジョーンズが監督と知らなかったら、‘どうなんこれ?’と、顔を歪めたままだったでしょう。我ながらミーハーだと思います。
そんなワケで(どんなワケか分かりませんが)、ウチは小さな子どもがいるので絵本にふれる機会が多い環境であります。今までも『もこもこもこ』や『こっぷ』など(どちらも谷川俊太郎 作)、子どもから借りパクしたいナイスな絵本と出会いましたが、借りパクリストに新たな作品が加わりました。タイトルは『よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし』(及川賢治・竹内繭子)。もう、このタイトルだけでグッと胸元をえぐられます。
最初この本を見つけた時、タイトルと絵面に惹かれたので、おチビに読ませて(つれ合いに)買ってもらう戦法をとったのですがあえなく失敗。おチビも気に入ったようで、後日一緒に本屋に行った時も同じようにアプローチしたもののまた失敗。つれ合いのあまりのスルーっぷりに‘吾輩のセンス、イケてない?’と不安になってくる始末。
そんな静かな神経戦がつづいたある日、つれ合いが‘コレ、かわいいやん!’と声をあげるので手元を見たら、何と『よしおくんが〜』を持っているではありませんか。こっちの涙ぐましいアピールはまったく届いていませんでした。
そんなこんなでめでたくゲット。話は夢を見ているような飛躍ぐあいで、ほどよいワケの分からなさが心地いい。文章も緩急があって楽しい。(絵本の文って‘コレ、どんなんですか?’というものが多くありませんか?)
吾輩も商売柄、我が子にオリジナルの絵本を描いてやろうと思ったりもするのですが、なんかスプラッターな方向にいきそうで心配です。
予想外の事態
‘まさかこんなことに?!’と、自分自身にビックリすることって人生の中で何度かあるもの。自分では確かだと思っていることなんて、簡単に覆ってしまいます。
発売当初あれほど食わず嫌いだったカロリーメイトが今や好物になっているのだから驚きです。カロリーメイトのCMを見た時はホントに衝撃的でした。というか得体が知れず不気味だったという方が正しいかも知れません。
まず、バランス栄養食という概念が理解不能。今でこそ当たり前になっていますが、当時は栄養は自然からとれた食べ物で摂るという考えしかありませんでしたから。また、チーズ味というのがとことんマズそうなバイヴを発散していました。子どもにとってお菓子とはチョコかクッキーのこと。生臭いチーズを味わう感性は待っていません。そして、さらにマズかろうバイヴを増長させていたのがCMに出演していた世界の王さん。苦虫を噛み潰すような顔でモグモグされて食欲がそそるワケがありません。マズかったのは味ではなく人選だったことが今ではハッキリ分かります。
ということでカロリーメイト、すっかり好物です。新作のメープル味もおいしくて、小腹が空いたら頬張っています。ホントに‘まさかこんなことに?!’です。
‘まさかこんなことに?!’は自分以外の人にもいえること。吾輩はついこの前から、付き合って20年近くになるつれ合いにこの驚きを感じています。といいますのは、突如KAT-TUNにハマるという予想外の事態が起こったからです。家に帰ると新曲「THE D-MOTION 」(けっこうナイスです)のCD&DVDが流れているだけでなく、赤西クンのバスローブ姿をヒロミックスが激写したフォトマガジンみたいなものまで置いてある。彼女曰く‘イキりようが可愛い’のだとか。これってやっぱり仮面ライダーやウルトラマンの主人公に萌えるママさんと同じなんでしょうか?
しかも環境というものはこわいもので、今までまったくアイドルに興味を示さなかった娘までもが亀梨クンをどこかウットリした表情で見ているのです。ホントのホントに‘まさかこんなことに?!’です。
土着ポップ
先日、家族で木下大サーカスに行ってきました。サーカスというと楽しさの裏側に哀愁やちょっと怖い雰囲気が漂っている感じがして、個人的には真夜中にピエロが獲物を求めてうごめくといったB級ホラーなイメージが染みついています。
木下大サーカスは世界3大サーカスのひとつというだけあってそういう妖しさはなく、健全で完成されたエンターテイメントショーでした。名前が木下だけに、同じ顔をした木下さん一族がウンパ・ルンパみたいにゾロゾロ出てくることを期待していたのですが、実際は外国人も多くコスモポリタンな世界がくり広げられていました。
しかし中盤、ジャパニーズ感あふれる演目が強引にはさみ込まれ、土着臭がプゥ〜ンとしてきた時は別の意味でワクワクしました。頭では洗練を目指しているのにカラダの内側から湧き出る土着テイスト。この混ざり具合というか混ざらなさ具合が刺激的でした。
ジャンルは異なりますが、そんなストレンジ&キッチュな魅力を発散する決定版といえるのが、60年代後半から70年代前半にシンガポールでヒットした歌謡曲を集めた『シンガポール・ゴー・ゴー』というアルバム。ジャケットを見れば分かる通り、アジアンモンドがフルスロットルで炸裂しています。一応、欧米のポップミュージックを手本にしてつくられた最新流行歌だったのでしょが、ビリビリ感電しそうなファズギターと東南アジア独特の節で歌われるボーカルが合わさった結果、哀しいかな目指したものと真逆の代物になってしまっています。
ですが、この湧き立つ土着臭がすばらしく、1曲目から深いサイケデリックな世界につれていかれます。最近のポップスはカタにはまっていておもしろくないと嘆いている方は、ぜひこのアルバムを体験してください。きっとクセになるはず。
しかしよく考えたら、日本の歌謡曲も外国の人にしてみたらかなりけったいに聞こえるんでしょうね。日本の自意識過剰なアーティストたちの曲も現代の民族音楽としてとらえたら、新たな魅力を発見できるのかも知れません。
真にすごいのはどっち?
‘セナとシューマッハ、速いのはどっち?’‘ライオンとトラ、強いのはどっち?’‘梅宮辰夫と松方弘樹、抱かれるならどっち?’‘淡谷センセと美輪センセ、声のレロレロ度が激しいのはどっち?’
人には相まみえることのない強者を比べ、頂点に立つものを決めたがるサガがあります。それは聖者と崇められる吾輩でさえ例外ではありません。
クラッシュの『カット・ザ・クラップ』とデビッド・ボウイの『ネヴァー・レット・ミー・ダウン』、真にしょうもないアルバムはどちらか? 吾輩はそこんところがどうしても知りたい。おそらくほとんどの人がそう思っているのではないでしょうか。
どちらのアルバムについても以前このブログで書いているので詳しいことは申しませんが、どちらもどんなに性格がいい人でも‘聴いた時間を返せ!’と怒鳴りたくなる突き抜けた出来栄えです。クオリティ自体もさることながら、このアルバムがロックを代表するアーティストによって作られたというのが驚きです。
パンクの良心ジョー・ストラマーは、パンクのエナジーとペナペナの打ち込みの融合に取り組んだ『カット〜』を、どうかオレのディスコグラフィに入れないでくれと嘆願していたとか。
一方『ネヴァー〜』は、ボウイがかつて放っていたカリスマ性をポピュラリティに変え、その燃えカスで作った作品。‘とつふぜんおとふずれてへぇ〜’と、霊に取り憑かれたような声で日本語の歌詞を歌う「ガールズ」は、涙なしには聴けません。
音楽的にはどちらも聴かれることを拒否する、ある意味アナーキーさを備えている。その昔、クソアルバムとこき下ろされたルー・リードの『メタル・マシーン・ミュージック』なんて甘っちょろい。このアルバム、今では傑作なんていわれていますもんね。おそらく先の2作は間違ってもそんなことにはならないパワーを持っています。
次はビジュアル面。アップした画像は『ネヴァー〜』のジャケ。見ての通り徹頭徹尾ダサいです。『カット〜』のジャケはモヒカン頭のパンクロッカーがストリート感あふれるイラストで描かれていて、ちょっとカッコいい。
ということで『ネヴァー〜』が真の駄作ということにしたいところなんですが、世の中そう単純ではありません。
よく『ネヴァー〜』のジャケを見てください。あまりのダサさに愛着をおぼえませんか。そう、人は本能的にあか抜けないものに惹かれるのです。『ネヴァー〜』に比べると『カット〜』はそういうかわいげがない。よって真の駄作はクラッシュの『カット・ザ・クラップ』に決定です。