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2004年12月10日

『香水〜ある人殺しの物語』

041210.jpg何回も読み返す小説ってそんなにないのですが、『香水〜ある人殺しの物語』(パトリック・ジュースキント)は何回読んでもおもしろい。話の筋は、人並みはずれた嗅覚を持つ男が究極の香りを求め、次第に狂気に取り憑かれていくという単純なものなのですが、とにかくストーリー展開・語り口が巧妙でグイグイ読ませます。そして、この作品をより特別なものにしているのが訳の素晴らしさ。海外文学の訳って、もうちょっとどうにかならないものかと思うものがほとんどですが、これはひと味もふた味も違います。池内紀さん、素晴らしいッス。この作品以外あまり小説の訳はされていないようですが、もっともっと手掛けてほしい。
作者のパトリック・ジュースキントはゴシック・サスペンス作家なのかなと思っていたら特にそういう訳でもなく、他の作品は『香水』とはまったく異なるテイスト。吾輩としては彼のストーリーテイラーとしての持ち味をいかした作品を期待しているのですが…。
『香水』は世界的なベストセラーとなり、日本でも文庫本になっているので手軽に手に入ります。お正月休みの夜にでも是非読んでみてはどうでしょう。多分寝不足になります。

posted by ichio : 11:59 | | trackback (0) |