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2005年06月05日

街の闇

050605.jpggraf mediaで『都市と娯楽』(加藤秀俊)という何とも魅力的なタイトルの古本を発見。目次を見ると、「喫茶店」「社寺と娯楽」「遊園地の思想」「スナック」「サーカス」など、これまた琴線にギンギン触れるキーワードが並んでいる。周りから「セコビッチ」と呼ばれるほど財布の紐がかたい吾輩ですが、さすがにこれは即買い。
この本が出版されたのは1969年。大阪万博開催前夜で、まさにニッポンが絶好調だった時。にも関わらず、喫茶店やスナックなどちょっと薄暗いスポットに焦点を当てているところが何ともニクい。さらに遊園地、サーカスなどの章も健康的で明るく楽しい側面を取り上げるのではなく、その奥に潜む人の暗部に迫っているので実に読み応えがあります。本書はこのスタンスが一貫されていて、最後は「妖怪文化論」という章で締めくくられています。吾輩は常々、文化人気取りで「都市には闇が必要だ!」と考えているのですが、この本を読んで改めてそのことを確信いたしました。
ところで、「闇の街」というと吾輩は真っ先に『バットマン』の舞台であるゴッサムシティを連想します。この街、ホントにカッコいいですよね。東京も昭和初期まではゴッサムシティのようなあやしい雰囲気があったのですが、戦後「洗練」とか「かわいい」という言葉に汚染され、けったいな感じになってしまいました。第二次世界大戦後、もう一度駄々こねて鎖国していたら東京は絶対にゴッサムシティになっていたはず。何とも残念です。

posted by ichio : 11:10 | | trackback (0) |