男泣きブルーズ
最近、男泣きが流行っているそうですね。「どんなんかなぁ?」と仁鶴師匠のような顔をしてテレビの紹介VTRを見ていたら、薄い顔した男どもがこれまた薄いことで涙を流している。
違う、違うぞ!男が泣くってことはそんなんじゃない!!男が流す涙ってなもんは、ハイポトニック「H2O」みたいなサラサラなもんじゃなくて、もっと塩っ辛いものであるはず。昨今大ヒットしている‘泣ける映画’なんてものを観る暇があったら、ザ・ザの『ダスク』を聴くべし!
このアルバムは吾輩のオールタイム・ベストの1枚で、発表されて10年以上経つ今でも聴く度に涙腺を刺激します。このディスクに収められている10曲はカテゴリーとしてはロックなんでしょうが、中身は徹頭徹尾‘男のブルーズ’。出だし1曲目からマット・ジョンソンがアコースティックギター1本で現代人の欲深さを嘆き、また他の曲では電話相談員だけにしか悩みをうち明けられない孤独を吐露し、また別の曲では愛よりも死を身近に感じてしまうことに絶望し、それでも最後に「世界を変えられないのなら自分を変えろ、そしてもし自分を変えられないのなら世界を変えろ」というメッセージが発せられた時、塩分たっぷりの涙が吾輩の頬を伝うのであります。何かロッキングオンみたいな物言いになってしまいましたが兎に角いいんです、このアルバム。
歌詞だけでなく楽曲の出来もズバ抜けて素晴らしい。前作『マインド・ボム』からジョニー・マーが加わってハイブリッドなバンド・サウンドを展開し、2作目にして早くもこの『ダスク』に行き着いてしまいました。UKロック・ファンにとってはザ・ザにジョニー・マーが加わったことは事件だったのですが、ブリットポップ(この言葉、未だに意味が分からない)全盛だった当時の本国プレスは彼らを完全無視し、嫌気がさしたマット・ジョンソンは活動の場をアメリカに移すことに。その結果マット・ジョンソン、ジョニー・マー、ジェイムズ・エラー、デビッド・パーマー、DCコラードという最強布陣は自然消滅。もし、このメンバーで活動しつづけていたらと思うと、またまた別の涙が出てきます。
そういえば、今までザ・ザのライブに2回行くチャンスがあったのですが結局どちらも実現せず。1回目は吾輩の事情で行けなくなり、2回目は会場まで行ったのにバンドの事情で急遽キャンセル。マット・ジョンソンは何回吾輩を泣かせば気が済むのでしょう。