チベタン・パワー

ここ最近ずっと仕事ばかりで絶好の見仏シーズンだというのにどこへも行けず。その憂さ晴らしに『チベット・デプン寺院の声明』を購入し、秋の夜長ブッダ気分に浸る。内容はタイトルのまんまデプン寺の僧侶による声明で、超低音ボイスが鳴り響くというもの。ちなみにデプン寺はチベットとインドにあり、チベットの方はもともとあったお寺で、インドの方は中国政府によるチベット仏教弾圧のために亡命した僧侶によって建てられたお寺らしい。このディスクに収録されているのはインドの僧侶によるアッパー系の声明。
吾輩はよしもとのベテラントリオを思わせるこのジャケットに騙され、ナメた態度で聴いていたのですがとんでもない代物でした。つれ合いがテレビを見るということでヘッドフォンを装着して聴いたのがそもそもの間違い。最初は低音パートによる落ち着いた声明で気持ち良く聴いていたのですが、外界と遮断された状況の中ハードコアなお経を聴くうち、段々変な気分になってくる。変な気分といっても無性に人を殴りたくなるとか、火を見てメラメラくるとか、曽我さんにウットリするといった類のものではなく、何かヘッドフォンから脳味噌を吸い取られるような感じになるのです。
声明はさらにヒートアップし、低音・超低音・超超低音すべてのパートが合わさった凄まじい展開に。この時はホントに気が狂いそうになり、ガバッとヘッドフォンをはずしてしまいました。冗談ぬきで凄いパワーです。同じ声明でも日本産のものは洗練されている分、ここまでの威力はないような気がする。恐るべしチベタン・パワー。
さて、これは吾輩から全国密教系のお寺さんへの提案なんですが、近頃ボウリング場でもDJタイムと称してガンガン音楽を流す時間があるようですので、貴院でも声明タイムなるものを設けはいかがでしょうか。ご検討お願い致します。