モーダルな今日この頃

年末年始はけっこう時間に余裕があったので、頑張って奥泉光の『モーダルな事象』を読む。いろいろなところで面白いという評判は目にしていましたが、いやいやホント、皆さんが仰る通りでした。乱暴な言い方をすれば『文学部唯野教授』（筒井康隆） meets 『10 1/2章で書かれた世界の歴史』（シュリアン・バーンズ） × 松本清張のような内容で、出だしからラストまで起伏に富んだストーリーと軽妙な語り口でまったく退屈させない。
随所に語り部が登場人物にツッコミを入れるスタイルの語り口なんですが、この手の文章を書く場合、書き手の笑いのセンスが重要になってくる訳です。しかしそこは『「吾輩は猫である」殺人事件』の著者、流石！と唸らされる前にクスクス笑ってしまうホントに楽しい作品でした。
以前、体験レポートみたいな文章を自由に書かせてくれる仕事があったので、これはチャンスとばかりに吾輩も暴走する体験者（吾輩A）を地の文（語り部である吾輩B）が冷静に突っ込むカタチにして独り楽しんでおりました。しかも自分で自分を突っ込んでいると気分が晴れるといいますか、何だか気持ち良くなってくるのです。これ、絶対にセラピー効果ありますよ。
さてさて話は変わり、携帯電話と同じくずっと‘やらず嫌い’だったmixiに登録。高まる好奇心と仕事でSNSとやらを知っておいた方が良い感じになってきたので、アンチmixiを撤回して覗いてみることに。……何や何や「足あと」って？！これって誰が自分のページに来たのか、自分がいつ人のページを訪れたのか丸分かりじゃないの！
本気で寒気がしてきた。気色の悪い、誰が喜ぶんですかこんな機能。携帯電話のCMでやっている、ラーメン食いに行くのにもいちいち友達を呼び出すような輩には嬉しいかも知れないが、その対極にいるような人間には嫌悪の対象でしかありません。という訳で登録して10分で退会。（はりきってプロフィールに写真まで貼り付けたのに）