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2006年01月24日

涅槃ミュージック

060124.jpg「親父、涅槃(ねはん)で待つ」そう言って昇天したスコッチ刑事がホントに涅槃にたどり着けたのかはさておき、吾輩の中には‘涅槃ミュージック’というカテゴリーがありまして夜な夜な耳を傾けています。涅槃ミュージックはアンビエント・ミュージックとほぼ同じ意味なんですが、ちょっと違うのはその音楽を聴いていてイカ臭い煩悩を忘れてしまう点です。例えばイーノの曲でも聴いている最中に「最近、溜まってるなぁ…」と思ってしまえば、それはもう涅槃ミュージックではありません。
そんな厳しい掟のある涅槃ミュージックの最高峰がギャビン・ブライヤーズの『タイタニック号の沈没』。ウソつけ!と仰る方がいらっしゃるかも知れませんが、このアルバムを聴いている最中は本当にズリセンのことを考えたことがありません。何なら証人喚問してもらっても結構です。
本作はタイタニック号沈没にまつわる資料をもとにブライヤーズが想像を膨らませてつくった一大幻視ミュージックなんですが、これが実に気持ちのいい音なんです。自分もこの巨大客船と一緒に深海へ旅立ちたい気分になってくるくらい。実際に船が沈む時、乗っていた楽団が賛美歌を演奏したというエピソードが残っていますが、ブライヤーズが奏でる音はこの楽団を引き継ぎ、死んだ人の魂が天に辿り着くための道しるべになっているように思えます。
これはBGMとして流すのではなく1時間あまり何もせず、ひたすら音楽に乗っかって想像の世界を旅するのがいちばん。必ずや涅槃に連れていってくれる筈。まぁ吾輩の場合、曲が終わればすぐにズリセン・ワールドへ戻ってきますけどね。

posted by ichio : 00:03 | | trackback (0) |