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2006年09月03日

ヨコからタテへ

060903.jpg今更、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの『ステイディアム・アーケイディアム』です。この微妙なズレ具合、いいでしょ。
メディア的には前作の『バイ・ザ・ウェイ』が最高傑作になっているようですが、吾輩の中でレッチリといえば『ブラッド・シュガー、セックス・マジック』。『バイ・ザ・ウェイ』を聴いた時は正直、このバンドに対して興味を失ってしまいました。曲が悪いというわけでもないんでしょうが、とにかく聴いていて面白くない。彼らの魅力は‘何をしでかすんだ?!’というワクワク・ドキドキ感だと思っているので、左脳ロックになった『バイ・ザ・ウェイ』には反応のしようがありませんでした。
そういう訳で『ステイディアム・アーケイディアム』もあまり期待していなかったのですが、聴いてみてビックリ。いいじゃないですか、コレ。雑誌なんかでは彼らの集大成と書かれていますが、吾輩には新基軸を打ち出した転換作に思える。何が新機軸かというと、「ヨコからタテ」に変わったということです。
今までのレッチリは、ハードロック、ヒップホップ、ファンクなど、同時代の音楽を絶妙の塩梅でミックスしていましたが、今作ではルーツ・ミュージックのエッセンスを取り入れるなど、過去へのリンクを深めている。つまり、ミックスの座標が空間的なヨコの視点から、時間的なタテの視点に変わったということです。
考えてみたら、プロデューサーのリック・ルービンはジョニー・キャッシュの作品なんかも手掛けてるし、ルーツ・ミュージックへの接近は無縁でないのかも知れません。(ジョン・フルシャンテも「アメリカン」シリーズに参加してましたよね)
それと、これは本人達が意識してやっているのかは疑問ですが、このアルバムを聴いていると「アメリカ」の斜陽を強く感じる。廃墟に漂うメランコリックに似たような感じといえば伝わるでしょうか。たぶんレッチリはこの先、どんどんダークになっていくでしょう。
確かに昔のハッチャケ感は薄れましたが、『ステイディアム・アーケイディアム』は、すごくワクワクするアルバムです。

posted by ichio : 18:46 | | trackback (0) |