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2006年11月13日

ヴィム・ヴェンダースは…

061113.jpgヴィム・ヴェンダースはむずかしい。彼が撮る映画は本当におもしろいのか?吾輩の答えは、YesでありNo。つまり、はっきりせんのです。確かにいい映画だなぁと思う作品もあるのですが、途中けっこう退屈だったり、中にはジーパンばりに‘何じゃコリャ?!’と目を丸くするくらいつまらないものもある。
でも、映画評なんかを見ると、ほとんどの人が褒めている。いや、褒めているのか褒めていないのか分からない密教的な言葉が綴られている。吾輩は‘おもしろい・おもしろくない’しか映画を判断する基準を持ち合わせていないので、かしこい評論家の先生にフランス文学批評みたいなことを言われても困るんですよねぇ。そろそろ、ヴェンダースも「こっち側」に連れてきてあげてもいいと思うんですが。絶対、本人もその方が嬉しいはず。だって、音楽やロックミュージシャンの使い方からして、相当ミーハーですよ、この人。
何で柄にもなくヴェンダースについてつらつら書いたかというと、『アメリカ、家族のいる風景』を観たから。この作品は、吾輩がおもしろいと思うヴェンダース作品のひとつ、『パリ、テキサス』のコンビ(ヴェンダース×サム・シェパード)による姉妹作。
前が母親さがしで、今度は息子さがし。でも今回は、息子はすぐ見つかってしまう。おまけに娘まで。で、お涙頂戴な方向に話が進むのかというとそうではなく、今まで姿をくらましていた父親が突然現れたことでさまざまな葛藤が出てくる。(この時の母親役のジェシカ・ラングがいい)
これはおもしろい映画だなぁと感心していたら、話は急転直下ハッピーエンドへ。最後の最後でサーッと醒めてしまいました。何でああなのるか、イマイチ分かりません。
ここでふと思ったのが『アメリカ、家族のいる風景』という邦題。作中の世界を‘風景’なんて突き放した言い方をしているタイトルって珍しいですよね。もしかしたらこの作品は、はじめから‘映画’という虚構を意識してつくられたメタフィクションなんじゃなかろうか。そういえば、過剰に演出されたシーンがところどころ出てくる。もし、本当にヴェンダースが狙っていたとしたら、この試みは成功してるんですかね?う〜ん、やっぱりヴェンダースはむずかしい。
吾輩としては、ストーリーはこの作品のもうひとつの主人公である、いかにもアメリカ的な田舎町の風景の味付けとして楽しむのがイチバンだと思います。

余談ですが、この作品のプロデュースをしているジュレミー・トーマス、吾輩は『戦場のメリークリスマス』ではじめて知ったのですが、それ以降もニコラス・ローグ、ベルトルッチ、クローネンバーグ、北野武、テリー・ギリアムの作品を手掛けるなど、本当にいい仕事をしていますね。

posted by ichio : 00:12 | | trackback (0) |