KITSCH PAPER

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2007年01月18日

都市三昧

070118.jpg最近、『東京見おさめレクイエム』(横尾忠則)、『溺れる市民』(島田雅彦)と、「街」に関係のある本を続けて読んだので、ついでに何年か前に読んだ『未来都市は今』(若林幹夫)も本棚から引っ張り出す。
そういえば、映画『鉄コン筋クリート』の「宝町」も話題になっているし、廃墟ブームと同じく周期的にやって来る都市ブームが今、来てるんでしょうか?(映画版の宝町のプロダクション、素晴らしいですね)
街は「KITSCH-PAPER」5号でも特集する予定なんですが、その前にまず4号を仕上げないと…。
さて、『東京見おさめレクイエム』は、失われつつある東京を探しに横尾氏が方々を訪ねてまわるというもの。テーマはすごく面白いのですが、いかんせん文章量が少なく、‘さぁ、これから’というところで終わってしまうのが残念。
『溺れる市民』は、「眠りが丘」という住宅街が舞台となった連作もの。眠りが丘に住む普通の人たちが、ちょっとしたきっかけで一線を越えてしまう話が書かれています。そこそこ面白いのですが、引っかかりがないので、すぐに中身を忘れてしまいそう。というか、既に忘れはじめています。
『未来都市は今』は文句なく面白い。コルビュジェやライトの都市計画論、『ブレードランナー』『AKIRA』『ニューロマンサー』など、サブカル好きの琴線に触れる映画や小説を例に出しながら、近代〜現代人が思い描く未来の都市像について述べられています。
自然との共生がテーマとなっている現在、新たな都市づくりはコルビュジェが掲げたビジョンに近づいているような気がしますが、吾輩としてはライトが描いたブロードエーカーシティみたいな形態がいいなぁ。
この本の中で書かれていたのですが、アフリカの伝統文化では、未来という概念がないそうです。せいぜい2年先くらいしか想像できないのだとか。日本も江戸時代までは同じような感覚だった様子。考えてみれば、未来が明るいもので、そこに向かって常に進歩しなければならないという考えも一種の洗脳ですよね。そういえば確か、大江健三郎の『治療塔』でもこの辺のことがテーマになってました。久々に読み直してみることにします。

posted by ichio : 00:28 | | trackback (0) |