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2007年03月10日

『グエムル 漢江の怪物』

070310.jpg※ 今回のエントリー、ネタばれの箇所がありますのでご用心※

久々の会心作でした、『グエムル 漢江の怪物』。
テレビCMを観た時からただならぬ熱波を感じていましたが、期待以上のおもしろさでした。
珍作『ディープ・ブルー』のようにモンスターパニックのお約束事をスカすことに全力を注いでいるのですが、断然こっちの方が素晴らしい。『ディープ・ブルー』はあまりにもストレートな茶化具合でしらけてしまうところがあったのに対し、グエムルは安易なパロディーになる一歩手前の絶妙のさじ加減。寸止め状態だから余計にアホらしさが引き立つんですよね。いいセンスしてます、この監督。
娘の葬式中に家族が取っ組み合いのケンカをはじめるところや、その後父親が股間をかきながら寝るところ、祖父のあまりにも情けない死に方など、サイコーです。しかもトンマのシーンにもっていく前のスローモーションの使い方なども、分かってらっしゃる!と拍手をおくりたくなる。
この作品がすごいところは、スカしだけでなく日常に潜む恐怖が描かれている点。冒頭の河原に怪物が現れ、パニックに陥るシーンがまさにそれ。身近な場所が一瞬にして恐怖の場となる展開は『宇宙戦争』でもありましたが、あれはどこからどう観ても映画の中の出来事にしか思えませんでした。でもこの作品は、‘何、あれ?’‘何か動いてるぞ’‘岸に上がって……人が大声で騒いでる…’‘これはヤバいんじゃないの?!’‘おいおい、こっちに来たぞ’‘ヤバ!!逃げろ!!!’というように自分がその場にいる気分になるんです。(これ、野良犬に追いかけられる時の感じに似ています)吾輩はこのシーンを観て、金八先生の河原を歩くオープニングに怪物が現れて、金ぱっつぁん&3年B組一同を喰いまくるところを想像してしまいました。
この映画、ハリウッドがリメイクしそうですが、きっとキモのところがすべて抜け落ちた、ただのモンスターパニックものになるんでしょうね。

posted by ichio : 01:47 | | trackback (0) |