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2007年05月10日

奥深い1枚

070509.jpg先日、久々にメディテーションズさんに行く。CD棚をカタカタ物色していると店長さんが「これ、聴かはったことありますか?」と、差し出されたのが『PSYCHODELIC SOUNDS』(Jr.and His Soulettes)というアルバム。
先日ピックアップした はいだ画伯につづき、‘アートとは何なのか’を考えさせられる、深〜い作品でした。
収録曲はすべて6〜10歳までのムーア4兄妹による自作自演で、オリジナル盤は肉屋を営むオヤっさんが肉用のラッピングマッシィーンで包装した完全なるインディーズ仕様。クオリティもジャクソン5を180°ひっくり返したようなユルさ。
長男のハロルド君がつくる曲はどれも同じような曲調で、吾輩なんかでは違いが分からない。演奏もテンポがズレているのはもちろんのこと、最初から最後まで手癖のみ。でもこれが素晴らしいんです!
ギターは妙に粘っこくてファンキーだし、ハモンドオルガンなんてジャッキー・ミトゥのような質感。似たような曲がつづくことだって、コンセプトアルバムを聴いているような気分になってくる。
吾輩がチョコチョコっと楽器の練習して録音しても、絶対にこんな風にはなりません。それは作り手の意図が透けて見えるからなのか、単に仕上がり具合によるものなのか、この辺はストレンジなところです。

さて、このアルバムを手にして思い出したのが、10年ほど前に友人から聞いた大阪にある うどん屋さん。友人が真夜中のドライブ中に立ち寄ったところ、「いらったいまて」という声を聞いてビックリ!何と小学校低学年と思われる兄妹が、せっせとお店を手伝っているではありませんか。しかも、何かに怯えているように一心不乱に働いている。そして、お兄ちゃんが手をすべらせてお皿を割った瞬間、オヤジの「誰が割ったぁぁぁ?!」という怒号が響き渡る…。確か、こんな感じだったと思います。吾輩は実際にこの光景を見た訳ではありませんが、心がキュッと痛みます。
ムーア兄妹はアットホームな雰囲気の中で演奏していたことを祈るばかり。ちなみにアルバムが制作されたのは'71年のオクラホマ。アメリカの闇が漂っていて、何かちょっと怖い…。

posted by ichio : 00:44 | | trackback (0) |