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2007年06月23日

『ゾディアック』

070623.jpg久々に骨のある映画でした。傑作でしょう。自慢ではないですが、デヴィッド・フィンチャーの新作が凄い出来になることは観る前から分かっていました。なぜならこの人、『セブン』(本気モード)→『ゲーム』(お仕事モード)→『ファイト・クラブ』(本気モード)→『パニック・ルーム』(お仕事モード)と、本気モードとお仕事モードを繰り返すパターンになっていて、この法則に従うと今回は本気モードだったからです。(デビュー作の『エイリアン3』は判別できず)
タイトルになっているゾディアックとは、60年代後半から70年代にかけてアメリカで実際に起きた連続殺人事件の犯人の名前。自らゾディアックと名乗る男は、暗号文をマスコミに送りつけたり、テレビに電話出演するなど、アメリカ犯罪史上初めて劇場型殺人を実践した人物といわれています。そして事件は今も未解決のまま。
この作品は、ゾディアック事件に関わった刑事・記者・漫画家が謎解きの魔力に取り憑かれ、人生を狂わせていく様が描かれています。
吾輩はゾディアックという名前は見聞きしたことはあったものの、『ダーティハリー』の犯人のモデルになった人物ということくらいしか知らなかったので、観ていてチンプンカンプンになるのではと不安だったのですが、大丈夫でした。後半、漫画家が真犯人に迫っていくところでややこしくなりましたが、それもたいして問題にならず。なぜならこの作品は犯人捜しのミステリーではなく、事件に巻き込まれ壊れていく人たちの物語だから。
フィンチャーはあくまで事実をベースにしながら、娯楽映画としてもおもしろい作品に仕上げている。確実に次のステージに上がりましたね。
それとハリス・サヴィデスの撮影が素晴らしい。この人は『エレファント』で‘透明感のある狂気’と呼びたくなる映像美を描き出し、今作では一転70年代の作品のような ささくれ立ったテイストを表現しています。フィンチャーと共に彼も今後の活動が楽しみです。
あっ、でもフィンチャーは次はお仕事モードだわ…。

もう1本期待していたクリストファー・ノーランの『プレステージ』は大ハズレ。ラストは絶対に言わないでください、なんて言う割には早い段階でバレバレ。しかもあの展開じゃミステリーとは呼べない!単にノーランの認識不足なのか、それとも客を呼ぶための売り文句なのか。どっちにしてもガッカリです。

posted by ichio : 00:09 | | trackback (0) |