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2007年12月08日

『パンク侍、斬られて候』

071208.jpg布袋にボコられた町田康の『パンク侍、斬られて候』を読む。
やっぱり この人の小説はおもしろい。よくタレントやミュージシャンが小説を書いたりしますが、全然モノが違う。こっちは本物。
何がそんなにすごいのかというと、まず町田節というべき独特の語り口がおもしろい。
すこぶる調子良く読むことができ、随所で声を出して笑ってしまう。これは、リズム感や言語感覚といった天賦の才能にとことん磨きをかけた賜物でしょう。
内容も、普段見て見ぬふりをして心の奥底に隠している考えや感情をチクリチクリと突いてくるので、気軽に流し読むことができない。
初期作品は実体験をベースにした話を絶妙の語り口に乗せて語るスタイルでしたが、最近の作品はその語り口を利用して虚構の世界を作り上げるスタイルに変わってきたように感じます。
初期のスタイルだと読む方はどうしても町田康という人間を頭に置いて読むため、ストレンジワールドに行く三途の川で現実に引き戻されたのですが、近頃の作品ではその足枷がないため作品の世界にズブズフ入っていける。
『パンク侍、斬られて候』もメタフィクション的なところが少しうるさいものの、摩訶不思議な世界の住人になって楽しむことができました。
次の『告白』になると本作よりさらに洗練されていて、ホント すごい小説になっています。
布袋のパンチが町田の創作にどのような影響を及ぼしたのか、はやく新作で確認したいものです。

posted by ichio : 22:26 | | trackback (0) |