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2008年02月16日

白昼悪夢

080216.jpg舞城王太郎の『スクールアタック・シンドローム』に収録されている短編「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を読んで、小学生の時に体験した不思議な出来事を思い出しました。

あれは、うだるような熱さが立ちこめる夏の日のこと。吾輩と友達数人はカブト虫をつかまえようと京都市内の山へ出かけました。場所ははっきりおぼえていないのですが、小学生が自転車で行ける範囲なので、そう遠くはないでしょう。しかし、その山は草木が覆い茂っていて、子どもの感覚では深い森に来たなぁという感じでした。
山には着いたもののちゃんと道を知っている者なんていない。ただカブト虫がいそうな場所を求めて適当に歩くだけ。しかし、歩いても歩いてもカブトの気配なんてこれっぽっちもない。そのうち歩くことが目的になってきて、みんな無言で歩くだけという状態になりました。
1〜2時間歩き、そろそろ帰ろうかということになったのですが、帰り道が分からない。来た道を逆行しているはずなのに、さっきとまるで景色がちがう。完璧にプチ遭難です。
半ベソをかきながら走っていると、パッと視界がひらける空間に出ました。そこの真ん中にはドンヨリ濁った沼があり、脇に小屋がポツリとたっていました。吾輩たちは吸い込まれるように小屋に近づき、ガラス窓から中を覗いてみると、何とそこには仮面ライダーの人形や動物のぬいぐるみがズラーッと並べられているではありませんか。
約30年前のこと、今ほどキャラクターグッズが充実している筈もなく、またそのような‘おもちゃ’を大人が持つ風潮もありません。でも、その小屋は子どもの秘密基地ではなく、明らかに大人の気配が漂っていたのです。
吾輩たちは得体の知れない恐怖を感じ、グワァ〜と悲鳴を上げながら一目散に山を下りました。
普通ならあの小屋が何だったのかという話で盛り上がるのですが、あまりの怖さのため吾輩たちはうまい棒を食べて忘れることにしました。

もしかしたら、まだ小屋は存在しているかもしれません。そして、小屋の主も。

posted by ichio : 02:40 | | trackback (0) |