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2008年07月05日

カオスな人

080705.jpg吾輩がいつも利用しているレンタルDVD店はヒット作・話題作しかないお店なんですが、この前行ったらどういうワケかヴェルナー・ヘルツォークの『キンスキー、我が最愛の敵』が置いてあるのを発見。あまりの唐突さに笑ってしまいました。(お店の人に何でこの作品を仕入れたのか訊きたい)
前から観たいと思っていたので夏目ナナの『ド淫乱高級痴女』とカップリングでレンタル。
『ド淫乱〜』の内容は大方お分かりだと思いますので『キンスキー〜』の方だけご説明しますと、ニュー・ジャーマン・シネマを代表する映画監督のヴェルナー・ヘルツォークが、数多くの作品でコンビを組んだ怪優クラウス・キンスキーについての思い出をボソボソ語るだけの極めて地味なドキュメントです。
クラウス・キンスキーがかなり変わったお人であることは本か雑誌かを見て知っていましたが、予想をはるかに上回るブッ飛び&ひん曲がりように驚きました。それはもう、お医者さんに診てもらうことをおすすめするくらい。
アイロンのあて方が気に入らなかっただけで48時間休みなくわめきつづけたり、自分からジャングルで撮影しようと言いながら蚊が1匹いただけで‘ごらぁ! 何でこんなところに蚊がいるんじぁ〜!’と怒り狂ったり、スタッフが撮影後 お酒を飲んで盛り上がっているのにヤキモチを焼いてショットガンをブチかましたり(しかも命中)といった変人エピソードのオンパレード。こんな人が身近にいなくて良かったと言いたいところなんですが、機嫌の悪い時のオカンとちょっとダブってしまいます。
時折当時の撮影風景が挿入されるのですが、その怒りようが尋常でなく、別の意味でこわくなってきます。そしてさらに、当時真剣にキンスキー殺害を目論んだというとんでもないことを表情ひとつ変えずに語るヘルツォークも猛烈にこわい。
映画はキンスキーが蝶々と戯れるシーンで終わるのですが、その屈託のない表情を見ると一瞬‘何てピュアな人なんだ’と思ってしまいそうになりますが、やっぱりどう考えてもおかしい人です。

この作品や『地獄の黙示録』のドキュメント『ハート・オブ・ダークネス』を観ると、映画づくりの現場は超クセ者の集まりで巨大なカオスが渦巻いていることが伝わってきます。トラブルなく終わることを念じる吾輩の姿勢とは大違いです。(と言いつつ思っていることを口あるいは顔に出して うっとうしがられるタイプです)

posted by ichio : 00:26 | | trackback (0) |