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2009年03月26日

いちばんファンキーな遺作

090326.jpgたまに、最近はすっかり頑固オヤジを見かけなくなったなんてセリフを聞いたり見たりしますが、この鋭い眼光を見たら、慌ててその言葉を引っ込めてしまうでしょう。少なくとも吾輩はオシッコちびりそうになります。でも、家にこんなジイさんがいたら、子どももグレようがないですよね。学校でビビってる先輩の何倍もワルそうですから。
帝王マイルスがこっちをにらみつけているのは、彼が生前最後にレコーディングしたアルバム『Doo-Bop』のジャケットです。このアルバムはビジュアルだけでなくサウンドも、王道にして常に革新的だった彼のスタイルを物語る尖ったものになっています。60歳過ぎてるのにイージー・モ・ビーを引っぱり出してきて、ジャズとヒップホップを合体させちゃおうとしてるんですから。はっきりしたことは知りませんが、このアルバムがつくられた90年代前半にこういうことをしている人ってそんなにいなかっただろうし、しかも今聴いてもダントツにカッコいい(真っ当なジャズファンにはすこぶる評判悪いそうですが)。マイルス・デイビスが凄いのはプレイだけじゃなく、旬の音楽を嗅ぎわける嗅覚とそれを実践するパワー。普通、キャリアの締めくくりに差し掛かると‘偉い人願望’が出てきて、評価されやすい作風になるもんですが、この人はまったく逆。とても死ぬ寸前につくったとは思えません。この貪欲さ、空恐ろしいです。
何でも、晩年、マイケル・ジャクソンが着ている服を見て、お付きの人に‘イカすじゃねえか。俺様の服もあいつと同じテイラーにつくらせんかいッ’と言ったとか。自分のジイさんなりオトンがそんなことを言いだしたら、間違いなく気が狂ったと思います。マイルス・デイビス、やっぱり常人ではありません。

posted by ichio : 23:31 | | trackback (0) |