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2009年04月05日

死にかた

090405.jpgテレビで、死が目前に迫った時に勇気ある行動をする人のドキュメンタリーをやっていることがあります。ああいうのを見るたびに‘何て立派な人なんだろう’と、心底感心します。そしてこうも思います。‘吾輩には、ぜぇぇっ〜たいっ出来ない!’と。パニック映画なんかだと、仲間を裏切って一人で逃げ出す「情けなキャラ」がお約束としていらっしゃいますが、自分にはそんなことすらできないような気がします。
筒井康隆の小説に『死にかた』という短編があります。これは、突然会社にオニが現れて、一人ずつ社員をぶっ殺していくというスプラッタで、タイトル通り‘死にかた’のサンプル集になっています。ただし、ここで描かれている死にかたはどれも情けなく、人間くさいものばかり。
目の前の現実と恐怖から逃げるためにちゃらけてピエロを演じる者、オニが現れたという非現実的な現実を認めるのを人に見られるのがイヤで適当な言い訳をつくってその場から逃げ出そうとする者、自分以外の人間を先に殺せと言う者、意味もなく部下を叱責する者、狂信的ともいえる慈悲の笑みを浮かべる者、命乞いをする者など、キュートな人たちがぞくぞく現れます。
自分はどれに当てはまるかなと考えたところ、さっきも書きましたが、吾輩には恐怖とさまざまな煩悩のせいで素直に命乞いする自信すらありません。吾輩にできることは、目一杯臭い糞を垂れてオニに一矢報いることくらいです。

posted by ichio : 20:26 | | trackback (0) |