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2010年10月05日

市川崑のタイポグラフィ

101005.jpgいろいろな雑誌やサイトで取り上げられ話題となっている『市川崑のタイポグラフィ』(小谷充)を遅ればせながら読みました。評判通りおもしろい。どれくらいおもしろいかというと、『北斗の拳』で狂ったトキの正体はアミバで、本物はカサンドラの牢獄に閉じ込められていることが分かった時くらいおもしろいといえば分かっていただけますでしょうか。
おもしろさのポイントは2つ。まず、『犬神家の一族』にはじまる金田一シリーズのオープニングを題材にしたこと。みんなが心の隅っこに引っかかっていたものを、‘これが欲しかったんでしょ’と差し出したところが心憎い。
吾輩があのオープニングに遭遇したのは、小学生の時に親戚のおばちゃんに連れて行かれた『悪魔の手毬唄』が最初。この時‘カッコいい!’と感心することはまったくなく、逆に‘ダサっ!字、ならべてるだけやん!’と、突っ込んでいた記憶があります。ただ、強烈なインパクトがあったことは確か。
話は逸れますが、吾輩は小さい頃、一緒に『悪魔の手毬唄』を観たおばちゃんによく映画に連れて行ってもらっていました。おぼえているだけでも『悪魔の手毬唄』の他に、同じく金田一シリーズの『悪魔が来りて笛を吹く』『ジョーズ2』『ピラニア』『オーメン2〜ダミアン』『オーメン3〜最後の闘争』など。
これ、怖いもんばっかりですやん! どうしてまだ脳が固まっていない子どもをこんなろくでもない映画ばかりに連れて行ったのか? 今なら完全にアウトな行為ですよね。しかも調べてみたら、『オーメン3』以外は全部1978年の作品…。真剣に気味悪くなってきたので、この話はここでやめておきます。
気分を切り替えて本の話に戻ると、おもしろさの2つ目のポイントは読み物としてもよく出来ていることです。内容の大筋はオープニングでどの書体が使われていたのかを探る非常にマニアックなものなのに、そんなことを知らなくても楽しめるようになっています。市川監督本人の証言を疑うところからはじまり、金田一探偵のように真相に迫って行く過程は映画に負けないくらいスリリング。
年に何回かは見ている『犬神家の一族』ですが、この本を読んだせいでまたまた観たくなってきました。市川崑×石坂浩二のゴールデンコンビによる残りの4作品(『犬神家〜』リメイクは除く)を収録したDVDボックスも欲しいんですが、いかんせん値段が…。

posted by ichio : 23:30 | | trackback (0) |