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2011年10月02日

ナンバーワンorオンリーワン

20111002.jpg「ナンバーワンではなくオンリーワン」。よく見聞きするフレーズで、なるほどと思わないこともありませんが、ニヤけた顔で自分からそう言われると居心地の悪さを感じます。
オンリーワンになるためには、まわりと比較して他にはない存在にならなければならないワケですから、ある意味ナンバーワンよりも険しいイバラの道が待ち受けていると思うのですが。少なくとも「オンリーワン=自分にとって楽な場所」ではないはず。
このことを教えてくれるのがプロスポーツの世界。‘オレは打率2割4分5厘、ホームラン2本、でもオンリーワンの選手なのさ’と言ったところで相手にされないどころか、襟首をつかまれることになるのは間違いありません。‘いやいや、角界のロボコップ、高見盛がいるじゃないか’という声が聞こえてきそうですが、最初からあのポジションを狙うって人はまずいないでしょう。「ナンバーワンこそオンリーワン」、それがプロスポーツ選手の在り方なのです。
この原理をもっとも過激に、そしてもっともドラマチックに体現したのがアイルトン・セナとアラン・プロスト。80年代半ば、F1で頂点を極めていたプロストに新鋭セナが挑んだ、俗にいうセナプロ対決が繰り広げられました。ひとつ間違えば命をおとす状況の中で、相手よりも速く走るためだけに、自分の才能だけでなく、つかえるものはすべて利用して挑んだ2人。そこには「ナンバーワンではなくオンリーワンでいい」なんて曖昧な言葉が入り込む余地はありません。
『セナvsプロスト 史上最速の“悪魔”は誰を愛したのか!?』(マルコム・フォリー)は、タイトルはちょっと恥ずかしいですが、2人の死闘を垣間みることのできるおもしろ本です。プロストのインタビューをメインに構成されているため、プロスト寄りの内容になっているかもしれませんが、「セナ=正義の味方」という日本のメディアの煽りしか触れたことのない人にとっては新鮮なはず。
プロストに勝つだけでなく、破壊しようとしたセナ。それに必死に抵抗するプロスト。プロストが引退した途端、セナが‘カムバックしてほしい’と直々に電話をかけるという2人の関係。この凄まじさを見ると、「ナンバーワンではなくオンリーワン」と、ニヤけた顔して言えなくなります。

posted by ichio : 08:12 | | trackback (0) |