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2011年12月08日

絶望を楽しむ

111208.jpg歴史に名を残す偉人たち、自分の目指す道で成功する人たちは、「絶対にあきらめない」というネバーギブアップ精神を持っていると同時に、常識という物差しではかれない執着心の持ち主でもあります。普通の人間はそんな境地に行き着く前にあきらめたり逃げたり知らんぷりをして、安住の地へ引き返します。
メディアや交通が発展し、すぐれたものに出会う機会が多い今の時代、刺激を受けることが増えた反面、“もう出つくした感”によるトンズラ傾向も強くなっているんじゃないでしょうか。
話はズレますが、吾輩はFacebookでいろんな人がアップする出来事を鼻をほじりながら眺めていると、みんなとんでもなく楽しくて充実した毎日を送ってるような気がして言いしれぬ不安を感じてしまう有様です。自分も負けずに‘今日食べた○○のチーズケーキ、超ウマい!しあわせ〜’とアップしようかなと思ったりもするのですが、‘それがどうした’という脳内ツッコミが入ってスゴスゴ引き下げてしまいます。
何が言いたいのかというと、圧倒的なものに出会うと大きな感動と一緒に絶望も味わうということです。
『電子音楽 in JAPAN』(田中雄二)という本を読んだ後も甘くて苦い思いがカラダ中をかけめぐりました。この本は日本の電子音楽の歴史、いや世界の電子音楽の歴史について語り尽くした圧倒的な名著です。べつに吾輩には電子音楽の分野で何かを成し遂げてやろうといった野望はこれっぽっちもありませんが、どの世界にもこれくらい突き抜けた人がいるんだなぁと思うと、何もヤル気がしなくなってしまうのです。
この本の著者はYMOのメンバー3人それぞれにインタビューを行った『イエロー・マジック・オーケストラ』という本も手掛けているのですが、こっちもカルピスの原液よりも濃い内容になっています。実際このインタビュー本を読んでから、他のインタビューを読んでもちっともおもしろく感じなくなってしまいました。よっぽど新しい切り口がない限り、このインタビューを超えることはできないでしよう。
そんな絶望を感じたいMな人はぜひ読んでください。

田中氏にはぜひとも90年代以降の電子音楽や、パフュームなど歌謡曲・アイドル界における電子音楽の影響について語ってほしいものです。

posted by ichio : 23:47 | | trackback (0) |