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2012年02月29日

フィンチャーの法則〜『ドラゴン・タトゥーの女』

120229.jpgいくつか並んでいる数字を見て、その法則を見つけるという脳トレの問題にトライしたところ予想以上にできなくて、落ち込むのを通り越して心配になるという事態に。小学生の時にも学校で同じようなテストがあったのですが、まったくできませんでした。こういうテストって数学の問題が解けないのとは違って、もともとのポテンシャルが低いような気にさせますよね。この時ばかりはオカンがよく言っていた“あんたはやったらできる子や”というフレーズを頭の中でリフレインさせました。

そんな吾輩でも、数字の法則は分からなくても「フィンチャーの法則」は分かります。「フィンチャーの法則」とは、映画監督であるデヴィッド・フィンチャーの作品はデビュー作から数えて偶数の作品がおもしろいというジンクスです。ちなみにデビュー作から順に挙げると、『エイリアン3』『セブン』『ゲーム』『ファイト・クラブ』『パニック・ルーム』『ゾディアック』『ベンジャミン・バトン数奇な人生』『ソーシャル・ネットワーク』、そして最新作の『ドラゴン・タトゥーの女』。奇数の作品の中にも好きなものはありますが、やはりどこかお仕事モードな感じが漂っています。
今話題の『ドラゴン・タトゥーの女』も法則の範囲内というのが正直な感想。原作に拠るところも大きいんでしょうけど、まずミステリーとしての筋立てにいまいち奥行きがない。それに登場人物の顔を見ただけで犯人が分かってしまう土曜ワイド劇場チックなキャスティングもいかがなものでしょう。(いつも気合いが入っているオープニングも今回は上滑り気味)主役の一人、リスベットのエキセントリックな人物像が魅力的だっただけに惜しい。
それでもフィンチャーの語り部としてのスキルは高く、舞台がいろんなところに移り、金田一耕助作品のようにややこしい名前の容疑者がいっぱい出てくるのにスムーズに進んでいくさまは、ノツコツしていた『エイリアン3』とは大違い。この人、『ゾディアック』から物語を語る監督に変わった気がします。凡打がなくなりアベレージは高くなるかもしれませんが、やっぱりフィンチャーには『セブン』や『ファイト・クラブ』のようなランニングホームランを狙ってほしい。個人的にはオリバー・ストーン版ではなく、フィンチャー版の『ウォール街』の続編が観たかったなぁ。

posted by ichio : 00:31 | | trackback (0) |