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2012年04月13日

Jディーでまったり

120413.jpg何年か前から「まったり」や「ほっこり」という言葉をよく見かけますが、吾輩に言わせればそれらのほとんどは、ちっとも「まったり」も「ほっこり」もしていません。
なぜなら吾輩にとって「まったり」や「ほっこり」は、他人の目を気にせず過ごすことを意味するからです。しかし世に出回る「まったり」「ほっこり」は、他人に認識してほしい「キャラ」を発信するジェスチャーに感じます。このことは「キャラ」という言葉がフィクションの登場人物から現実にいる人の人物像を指すようになったことにも関係しているのですが、その辺のところを話しだすと長くなるので置いておくことにして、うっとうしいことをゴタゴタぬかして何が言いたいのかと申しますと、「まったり」「ほっこり」とは鼻をほじることだということです。
人の目を気にせず黄金の右小指を鼻の穴に入れ、爪先にヤツが引っかかった時の精神のたかぶりといったら、松方アニキが巨大カジキマグロを釣り上げた興奮にも劣りません。さらにこんな時ナイスな音楽が流れていたら、それはもうパラダイスといってよいでしょう。
そんな吾輩の「まったりタイム」に流れているのはもっぱらメロウなヒップホップ。ロックやテクノだと落ち着いてほじれないし、ジャズだと鼻ほじりをやめて煙草の一本でも吸わなければという気分になってしまう。アンビエントはどうかというと、指を突っ込んだまま寝てしまいそう。やっぱりメロウなヒップホップがベストです。
その中でも特にハマるのがJディー/Jディラが手がけた曲。Jディー/Jディラは、安物のカセットMTRでつくったデモが認められ、プロデュースチーム、ウマーやソウルクウェリアンズのメンバーとして活躍した00年代のヒップホップを代表するクリエーターで、綿密につくり込まれた気持ちいいサウンドが魅力なんですが、彼の遺作となった『ドーナッツ』は一転ラフな作風になっているんです。ネタをそのまま使ったり、ループが気持ち良くなってきたなぁと思う頃にブツリと切れて次の曲に進む展開はみようによってはかなり雑。しかし本人はそんなことは百も承知。おそらく今まで自分がつくってきたサウンドを期待する人たちの目を気にせず、次に自分がやりたいことを模索していたのでしょう。だからサウンドの表面はデコボコでざらついていても「まったり」と鼻ほじりができるのです。

posted by ichio : 00:44 | | trackback (0) |