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2012年05月08日

アメリカ映画をふり返る

120528.jpg中学の修学旅行でおこなわれたキャンプファイヤーでサングラス。
それが後々これほど恥ずかしいことになるとは思ってもみませんでした。
確かに当時も炎しか明かりがない真っ暗闇でサングラスをかけるのは、ちょっと不自然かなと思わないわけではありませんでした。マーシー仕様のサングラスでキメている割にはフォークダンスで好きな女の子と手をつないで必要以上に緊張し、童貞であることがバレバレになってしまうこともある程度予想できました。
しかし、脳内ではそんなことを吹き飛ばすくらいカッコいい自分の姿がクッキリと映し出されていたのです。
結果は、それから約30年経つ今でも、当時の写真を見るとワキ汗をかかなくてはいけないことになりました。
このように世の中には、後から距離をおいて捉えると、それまで見えなかったことが見えてくることがままあります。そのことを2年前から年に1冊ずつ出版された『80年代、90年代、ゼロ年代 アメリカ映画100』を読んで改めて感じました。タイトル通り10年単位で、今注目に値する作品を100作ずつ紹介する内容なんですが、この本がおもしろいのは作品の紹介ではなく、間にはさみ込まれているコラム。執筆陣は、町山智浩、柳下毅一郎、黒沢清、滝本誠などなど、かなりの充実ぶり。中でも町山智浩氏によるアメリカ映画のBサイド・ストーリー的なコラムは本当に勉強になりました。

テンションが上がり、頼まれもしないのに夜中にひとり黙々と30年分〜300作の映画を監督別に振り分けてみたところ、いちばん多く取り上げられていたのが、クリント・イーストウッドの10作。そのあとにマーティン・スコセッシ、ブライアン・デ・バルマ、スティーブン・スピルバーグの8作がつづく結果に。スコセッシ、デ・バルマ、スピルバーグはどの年代からもコンスタントに取り上げられているのに対して、イーストウッドはゼロ年代に入ってから6作もの作品が選ばれています。70歳を超えてからこれだけクオリティの高い作品を多くつくりつづけていることは圧巻のひと言。
他におもしろかったのは、300作の中では80年代にわずか2本しか選ばれていないのに、次点の150作を加えると、ジョン・カーペンターが一気にトップ集団に飛び込んでくること。これは、彼がB級作品にこだわりつづけていることをよく表しています。
また、80年代は1作だけ選ばれて、それっきり姿を消した、いわゆる一発屋が多いことが浮き彫りになってきました。これって、吾輩がキャンプファイヤーでサングラスをかけたような80年代的な恥ずかしさがを取り入れてしまったことも大きな原因になっていると思われ、これらの監督が「あのときはみんな、オシャレやいうてましたやん!」と嘆く姿が目に浮かびます。
その反動なのか80代後半から90年代前半は、90年代・ゼロ年代に活躍する逸材が多く現れることになりました。
こんな感じでこのシリーズは、過去30年の映画の流れを2012年から見て自分なりに編むことができてすごく楽しい。このシリーズと『ロスト・イン・アメリカ』を読めば、アメリカ映画がさらにおもしろくなること間違いナシ! ただし、自分のはずかしい過去がよみがえってくるかもしれないので気をつけてください。

posted by ichio : 01:41 | | trackback (0) |