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2012年05月15日

ギャスパー・ノエが描く都市

120515.jpg天国と地獄。それは一見、両極端なものに見えますが、案外表裏一体なのかもしれません。『そうべい ごくらくへゆく』(田島征彦)という絵本では、地獄にいる閻魔さまや鬼たちが天国にやって来て、神さまと一緒にお酒を飲んで踊り狂い、天国がレイヴ状態になると同時に地獄に蓮の花が咲いてしまいます。
ダンゴムシにとっては南国のビーチよりジメッとした石の下の方が天国に感じるでしょうし、美人料理研究家の園山真希絵さんが作った料理をご馳走に感じる人もいるのです。(この人の手作り料理、しょうこ画伯の絵レベルにスゴいことになってます)吾輩だって天国といって思い浮かべるのは、押入れにお菓子やマンガやゲームを持ち込んで、懐中電灯の明かりで楽しむさまだったりします。つまり天国も地獄も人のイメージで決まるということ。
そういう意味では、ギャスパー・ノエの目下最新作『エンター・ザ・ボイド』も、トーキョーをモチーフにして天国と地獄を描いた作品といえるでしょう。時間が逆行するという前作『アレックス』の焼き直し的な構成は置いておくとして、どこにも存在しない架空のトーキョーのビジュアルはなかなかのインパクト。『ブレードランナー』や『殻機動隊』、ウィリアム・ギブソンが描く都市空間の影響がモロに出ていますが、そこに『ベルリン 天使の詩』の天使(神)の視点が加わった途端、今まで見たことのないトーキョーが現れます。
それが天国なのか、地獄なのかは、観る人によって異なるはず。

新しい都市像というと、カナダの写真家、エドワード・バーティンスキーが『CHINA』で捉えた空間には、ひさびさにハッとさせられました。機会があれば、こちらもチェックしてみてください。

posted by ichio : 23:33 | | trackback (0) |