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2012年07月04日

勝手にリバイバル〜ブック編

120703.JPG毎度 私事で恐縮ですが、ここ何年かの間で音楽、映画、小説などの新作にふれる割合がめっきり減ってきています。新しいものを追うことだけが新しさじゃないだろう!という、尖った想いは微塵もなく、単に追いきれないというか、頭に入ってこないんです。まぁ、平たくいうと「老い」です。
もともと物おぼえが良い方ではないのですが(とにかく数字がダメで、自宅や仕事場の電話番号もおぼえられません)、21世紀に入ってからは壊滅的。バンド名や俳優の名前なんて“ほらほら、アレに出ていた、アノ人”といった状態で、毎年1〜2人デビューするF1ドライバーをおぼえるのが精一杯です。と言いつつ去年トロ・ロッソにいたハイメ・アルグエルスアリは、とうとう最後までおぼえられませんでした…。
そんな感じなので近頃は、長年ラックの奥にしまい込んでいたものを引っ張り出してきて、スルメのようにしがみ直しています。

その筆頭が、雑誌『Cut』。実家から創刊当初のバックナンバーを持ち帰り読み直してみると、キース・リチャーズやデビッド・ボウイ、マイク・タイソン、ビートニク関連の人たちなど、バラエティに富んだロングインタビューが満載で、かなり読み応えがある。特にタイソンのインタビューは、言ってることのほとんどが真っ当で、時々チラつく“?”な発言が、この人の複雑なキャラクターを表していておもしろいです。
それに、エンターテイメントやカルチャーの世界、そしてメディアにも、今の“身の丈文化”とはちがう、派手派手しさや胡散くささが残っていてすごく楽しい。時代の空気感を伝える雑誌って、後から読む方がおもしろかったりしますね。

もうひとつの「勝手にリバイバル」は、村上春樹のエッセイ。この人のエッセイは何年かおきに読みたくなるのですが、何度読んでもおもしろい。題材との距離感や、それを読者に伝える距離のとり方が絶妙で、スラスラ読めるけれど後に残る軽妙洒脱な名文です。こういう文章を30代半ばで書いていたのだから、やっぱりスゴいですね。

posted by ichio : 00:00 | | trackback (0) |