KITSCH PAPER

HOME BOOK DAIRY MOVIE MUSIC ETC
Oh my Buddha!It is such a wonderful site that it's unbelievable.
2012年08月22日

ご近所愛

120822.jpgお盆はほとんど休まずMacのキーボードを叩いておりました。しかも今年は町内会の組長で、地蔵盆や日帰りバスツアーの準備なんかもあって、なかなかヘビーでした。7月のうちに家族旅行に行っておいてよかった。
「ご町内」という関係は、年齢・職業・趣味などはてんでバラバラ(というか知りもしない)、共通点といえば近くに住んでいるだけなんだけれど、楽しく暮らすためにはおざなりにはできない、「微妙」を絵に描いたようなつながり。特にいま住んでいるところは京都の下町なので、その辺のところはいろいろあるワケです。
世帯主として京都で暮らして感じるのは、「女系のまち」だということ。表向きは「家」という男軸で受け継がれていますが、そんなものは飾りです。男は産卵のときだけ重宝がられて、骨格まで変えて必死に川を上るシャケのオスのようなもの。長くなるので書きませんが、京都は男の血ではなく、女のスピリットが脈々を受け継がれているパワースポットといっても過言ではありません。
こんなふうに書くと怖そうなところに思えるかもしれませんが、吾輩が住んでいるエリアはほんわかしていて住みやすく、最近は新しいお店もちょこちょこできていて、いい感じです。

とまぁ、自分の中でご近所愛がブームになっていることもあって、「まち」を切り口に本や映画を鑑賞してみることに。ターゲットはブルックリン。昔はおっかないイメージがありましたが、いろいろなお店ができたり、クリエイターが住みついたりして、随分様変わりしている模様。そんなブルックリンの“いま”を紹介してくれるのが『ブルックリン・ネイバーフッド NYローカル・ガイド』(赤木真弓、藤田康平)。オサレな新しい店と頑固オヤジがいる古い店がゴチャ混ぜになっていて、どこもDIY感がある佇まいで居心地がよさそう。写真を見るだけでもワクワクしてきます。

続いて読んだのがポール・オースターの新作『ブルックリン・フォリーズ』。この人はブルックリン在住で、“ブルックリンLOVE”なことでも有名。ホームタウンが舞台になっているせいか作品の雰囲気はいつもより軽く、話の展開もアクティブ。そして、相変わらず上手い。「私は静かに死ねる場所を探していた。」という最初のセンテンスで、グイッと物語の世界に引き込んでしまうところが凄い。(柴田元幸さんの訳が絶品なのはいうまでもありません)

オースターは映画でもブルックリンを舞台にした『スモーク』と『ブルー・イン・ザ・フェイス』という、嫌みのないハートウォーミングな作品を手がけていますが、今回はスルーして、もう一人、ブルックリンを舞台にした作品を多く撮っているスパク・リーの作品を観直す。それぞれ作風や時代が違っていて、いろいろなまちの表情を見ることができてとても楽しめました。

吾輩のご近所とブルックリンに共通しているのは、いろんな要素が入り交じっていて、まとまりがないところ。隅から隅までオサレにデザインされたお店が落ち着かないように、まちもランダムな方が心地よくて、勢いがありますね。

posted by ichio : 21:06 | | trackback (0) |