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2013年07月28日

ジャンルから逃走する闘争

130728.jpg日本ハムの大谷選手、素晴らしいですね。プロ野球でピッチャーとバッターを両立するという、誰もが冗談としか考えなかったことに本気で取り組み、高いレベルで成功させているのですから。
人並みはずれた技術と体力は当然のことながら、不安や外野の声に打ち勝つメンタルも持っていなければ、こんなことはできません。僕なんて、何の関係もない外野中の外野なのに、“やりたい気持ちは分かるけど、カラダ壊したら元も子もないよぉ”、“超一流の素質があるピッチャーに専念した方がいいんじゃない?”と、心の中で消極的なアドバイスをしてしまっています。
多分、「史上最強のライダー」 バレンティーノ・ロッシがF1ドライバーを目指したように、マイケル・ジョーダンがメジャーリーガーを目指したように、そして谷亮子が国会議員を目指してホントになってしまったように、既成概念をブッ壊すパイオニアは見ている世界が違うんでしょう。

そんなパイオニアの一人が、ギタリストのマーク・リボー。間違いなく、現役ギタリスの中でベストの一人。
彼が最初に注目されたのは、ラウンジ・リザーズの2代目ギタリストになった時。前任のアート・リンゼイが超個性派プレイヤーだったことで期待が集まる中、「ちゃんと弾けるけど、ちょっと変」という独自のスタイルを打ち出すことに成功。そして、トム・ウェイツの『レイン・ドッグ』に参加してブレイク。その後、エルビス・コステロ、アート・リンゼイ、デヴィッド・シルヴィアン、カエタノ・ヴェローゾ、ジョン・ゾーン、マッコイ・タイナー、矢野顕子など数多くの作品やライブに参加し、ちょっと聴いただけでこの人だと分かる個性を出しながら、それぞれの曲にマッチしているという、素晴らしいプレイを披露。さらにソロ活動も精力的に行っていて、ラウンジ・リザーズ風のものからキューバ音楽のフェイクまで、いろいろなスタイルに挑戦しています。
彼の一貫した活動テーマは「クロスボーダー」。ジャズ、フリーミュージック、ロック、キューバ音楽、クレツマーなど、さまざまなジャンルの音楽を取り上げ、微妙なサジ加減でズラすことでオンリーワンのオリジナリティを出すスタイルといえばいいでしょうか。
こういうスタイル自体は新しくも珍しくもありません。ただ、それを一人のミュージシャンがやり続けるのは至難の業。ネタが尽きたり、目新しいネタを取り上げること自体が目的になったりして、次第に新鮮味がなくなり、シーンから消えていく。きっと一人や二人、そんな人が頭に浮かんだことでしょう。
そんな中、彼が第一線で活躍しつづけているのは、才能だけじゃなく、日々の鍛錬にほかなりません。彼にとって自分磨きの場はライブ。常に新旧問わずさまざまなメンツと新しい試みをしている。その姿はどことなく、宮本武蔵とだぶります。
この姿勢、僕も仕事をする上で見習いたい。くれぐれも若い人は、「このオッサン無理してる。イタい」とか思わないように。百歩譲って、思っても態度に出さないように。

今年、マーク・リボーの新しいユニット、セラミック・ドッグ初のアルバム『ユア・ターン』が出たのですが、これがスゴいことになってます! 全体のコンセプトは、ジャズやクレツマーなど、彼が今までプレイしてきた音楽をロック視点で再構築するというもの。
こういうと頭でっかちに聞こえますが、実際の音楽はド迫力のひと言。
これだけリアルでパワーのある音楽を鳴らせる人って、世界中みてもそんなにいないでしょう。しかも、デビュー30年のベテランがこんなことをしでかすのだから驚くばかりです。この人、一体どこまでいくんでしょうか。ライブも体験しなければ。
脳天が刺激されて元気が出るので、全方向的にオススメです。

posted by ichio : 16:55 | | trackback (0) |