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2014年02月18日

実はU2のファンです

140218.jpgあまり親しくない人に「U2のファンです」って言うの、ちょっと恥ずかしくありませんか? 
僕は恥ずかしいです。「趣味は何ですか?」と訊かれて「仕事です」と答える、「そうなんですね」としか言い返せないクソ回答のような気がして。
相手に内心「趣味ってカッコつけるほど仕事できませんやん」とツッコまれていたり、「確かに趣味レベルやわ」と逆の意味で納得されていたりするかもと思うと心臓がゾワゾワしてくるし、そんなことを思われるという想像すらできない“ボーン・トゥ・天然”だと思われるのも何か腹立たしい。
要するにルーザー思考が染みついているワケです。だからド直球に「U2のファンです」とはなかなか言えない。でも、困ったことに中学の時からずっと好きなんですよね。
初期のスタイルを完成させた『ヨシュア・トゥリー』の後、アメリカ色を深めた『魂の叫び』はキツくて離脱しそうになりましたが、次の『アクトン・ベイビー』の1曲目「ズー・ステーション」のイントロを聴いた瞬間、「すみませんでした!」と頭を床にこすりつけました。
耳に飛び込んできたのはこれまでのU2とはまったく異なるサウンド。曲は抑揚のある構成からミニマムに、エッジのギターはハードに、アダムとラリーのリズム隊は重くうねるダンスビートを導入、ボノの歌詞は直接的なメッセージからイメージ的なものに変わり、ボーカリストとしての引き出しも大幅にアップ。そして、極彩色あふれるエレクトロサウンドがトッピングされるという徹底ぶり。
おそらくこの変化は『魂の叫び』路線では限界が見えたというメンバーの危機感から生まれたのでしょう。ただ、ここで焦って新しいスタイル一辺倒にならないところが彼らのすごいところ。ぱっと見は大きく変わったものの、曲の骨格はU2節なので説得力があるし、今聴いてもまったく色褪せていない。この劇的な転換はメンバーの力だけでなく、イーノ、ダニエル・ラノア、フラッドといったブレーンによるところも大きいでしよう。
今でこそ『アクトン・ベイビー』は名盤とされていますが、ブリットポップ全盛だった当時は若手のバンドにクソミソにコキおろされていたし、音楽雑誌もそれに乗っかっていました。こういうことをリアルタイムで見ると、アーティストやメディアの言うことは必ずしもあてにならないこと、そしてたまに見聞きするアーティストの「できもせんのにゴチャゴチャ言うな」的な発言(姿勢)のトンチンカン具合がわかります。

今年ニューアルバムを発表する予定のU2。メンバーは「自分たちの影響力がなくなってきている」「文化遺産的なバンドにはなりたくない」など、近年のバンドを取り巻く状況を感じ取った自虐的なコメントをしているようで、その危機感がどう音に影響するのか楽しみです。
最後にU2の隠れファンの方、いらっしゃいましたら、お会いした時にファイトクラブのメンバーのようにアイコンタクトしてくださるとうれしいです。

posted by ichio : 00:12 | | trackback (0) |