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2014年07月03日

お気に入りのアンビエント

140703.jpg「褒めて育てる」といいますが、褒められ慣れていない人間がいきなりそんなことをされると、逆に戸惑ってしまいますし、僕なんかは「この人、腹にイチモツ持っているんじゃないかと」と、黒い感情が渦巻いてしまいます。
もう10年くらい前、仕事のスポンサーさんで、僕のことを「先生」と呼ぶ人がいました。飲み屋のノリで言う「センセ」とは違う、ド直球の「先生」です。しかし、僕には外見、中身ともに、「先生」的な要素は1%もありません。しかも当時は30代前半の青二才。今でいう某ユニットリーダーのように、とことん上げておいてたたき落とされるんじゃないかと、ビクビクしたものです。

またつい先日、代理店の営業とんと一緒にスポンサーさんのところに行ったところ、どういうワケか、僕を褒めるアゲアゲ祭がはじまりました。強烈に居心地が悪くてモジモジしていると(ちょっと嬉しくて赤面していたのが恥ずかしい)、営業さんがダメ押しにかかりました。

営業さん: この人は仕事がはやくて!
僕: (それはスポンサーさんには関係ないから、褒め言葉になってないんじゃないの?)
営業さん: 値段もリーズナブルで!
僕: (あなたがリーズナブルにしてるだけですッ!)
営業さん: クオリティーも、そこそこ素晴しいんです!
僕: (えーッ!! “そこそこ”っている!? 例えホンマやったとしても、このシチュエーションで言うことはないでしょ。で、“そこそこ素晴しい”って、良いの? 良くないの? どってちにしてもヘコむわ)

贅沢な望みかもしれませんが、褒めるなら褒めきってください。

そういうワケで、近頃よく聴いているアンビエントを、純粋な気持ちで褒めたいと思います。

『It is, it isn’t』(畠山地平、Hakobune)
今や世界を股にかけて活躍する二人のコラボ作。まず、ゆらぎがにじみ出ているタイトルがいい。基本路線は、ノスタルジーが入った桃源郷系の音。
収録されている3曲とも、エレキギターによるアルペジオのバックに透明感のあるドローンが響く構成なんですが、その音のせめぎ合いというか、混ざり様が心地よく、じっくり聴くとなかなかにスリリング。これは、彼らの数ある作品の中でベストといえる出来映えです。

『Faint』(Taylor Deupree)
ここ10年のアンビエントを引っ張ってきたキーパーソンが、自身のレーベル「12K」から出した2012年のアルバム。この作品を出すまではディープな作品が続き、好みと違ってきたなぁと思っていたところ、待ち味であるメロウな響きが戻ってきました。
ドローンを基調にしながら、浮かんでは消える音を重ねるなど、イーノ的な手法を取り入れているのが特徴。シンセがヴァンゲリスみたいに聴こえるところがあるのも、手作り感があっていいんじゃないでしょうか。

『Below Sea Level』(Simon Scott)
サイモン・スコットって知らないなぁと思っていたら、スローダイヴのドラムやってた人なんですね。何もしらず、「12K」から出ているということで買ったところ、これが良い。基本は先に紹介した作品と同じように、つま弾くギターにドローンが重なる構成なんですが、曲調がかなり個性的なんです。特に1曲目は秀逸。神秘的な出だしから、メランコリックなギターのフレーズが浮かび上がってくる瞬間はかなり気持ちいい。こんな感じで続くのかなと思っていたら、だんだん雰囲気が変わって来て、気がついたら結構ディープなドローンの世界に。気持ちのもっていきようがない曲が新鮮です。これからが楽しみな人ですね。

posted by ichio : 23:45 | | trackback (0) |