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2014年10月01日

何回目かのマイルス・ブーム

141001.jpg数年おきにやって来る、自分の中での「マイルス・デイビス ブーム」。
この人、音楽がスゴいのはもちろん、キャリアメイクやキャラクターも唯一無二で、おもしろ過ぎるんです。ジャズは苦手という人も、ぜひ『マイルス・デイビス自叙伝』は読んでいただきたい。この本を読むと、「31」でバニラのダブルを頼む冒険できない僕などは、つくづく小心者の凡人に生まれ育って良かったと思う次第です。今、何かと取りざたされている某元野球選手が読んだら、‘あかん、こんななるのはイヤや’となるのか、「俺も負けんと無茶するで!」となるのか、どっちでしょう。(ていうか、読まへんか…)

前回のブームでは遺作であり、ヒップホップにすり寄った『Doo-Bop』にグッときて、今回はエレクトロ期の後半に出した『ライヴ・イブル』にズブズブ状態。
エレクトロ期というのは、マイルス自身が提唱したモード・ジャズを極めた後、当時注目を集めていたジェイムズ・ブラウン、スライ・ストーンといったファンクに感化され、‘俺様の方がもっとイカす音楽をブチかませる’と奮起し、エレキ楽器を大々的に導入して自己流ファンクミュージックを展開した時期のことを意味します。この時、マイルスはすでに50歳近く。いろんな病気を患っているばかりか、ドラッグ漬けの生活で肉体も精神もボロボロ。でも、音楽に対する姿勢は若くて元気だったのはさすがです。(後に音楽への情熱をも失い、暗黒期を迎えるのですが、その様子は先述の本を読んでください)

『ライヴ・イブル』というアルバムは、マイルスの作品の中では地味な存在で今まで聴いたことがなかったのですが、そのことを後悔するくらい良い! 『ビッチェズ・ブリュー』や『オン・ザ・コーナー』でやりたかったことをカタチにして、次に何をすればいいのか分からなくなり、さらに乱れた生活による危うい精神状態のせいで、頭が爆発しそうになっている状態が刻み込まれているんです。
彼の突き抜けたキャラのせいでシリアスにはならず、尚かつギャグ寸前のギリギリの音に踏みとどまっているのは、天賦の才以外の何ものでもありません。いわゆる王道のジャズでもなく、当時大流行りだったフュージョンでもなく、ましてやロックでもない異形の音楽。これをジャズのメインストリームで時代をつくってきた人物がやっていることに脱帽です。

posted by ichio : 22:21 | | trackback (0) |