『見仏記4〜親孝行編』

最近、まわりで仏像ファンが増えている気がする。しかもその多くの人は観光モードでお寺に行くのではなく、積極的に仏像を楽しんでいらっしゃる。このちょっとした仏像ブームの立て役者は間違いなく みうらじゅん&いとうせいこうの2人でしょう。かく言う吾輩もみうらさんの仏像へのアプローチに感動し、仏像好きになった1人です。といいますか、みうらさん的な仏像鑑賞法をなぞって楽しんでいるだけのような気がしないでもないですが、そこはひとつ大目にみてください。
そんな仏像ファンにとってのバイブル「見仏記」の4作目となる親孝行編が文庫本になっていたので購入。今回の見仏記はwebサイト『HotWired Japan』に連載されていたもので、当時はみうらさんのイラストが更新日に間に合わず、代わりにいとうさんが撮影した写真を載せるなど、いつもに増してユルい展開に。内容の方も仏像からどんどん離れ、お寺に行くまでの話が大半を占めています。
そのメインになっているのがお互いの両親を連れて行く親孝行ツアー。最初はいとうさん一家&みうらさんで奈良へ、その後にみうらさん一家&いとうさんで新潟へ旅するという何とも気恥ずかしい企画なんですが、これがほのぼのしていて尚かつ感動してしまう話なんです。
正直今までのいとうさんの文章は、吾輩が思い描く「見仏記」と微妙に違っていて時々アレッ？と思うことがあったのですが、今回は文章とこちらのイメージがピタッと合って面白く読むことができました。
このシリーズは絶対に2人が歳をとり、くたびれていくほど面白くなるような気がする。現役引退した奇妙なオッサン2人が、ああでもないこうでもないと旅してまわる姿ってキュートだと思いませんか。そういう意味で「見仏記」はこれからが旬です。