今こそアンビエント
ホントにはやいもので、2006年ももうすぐ終わり。今年もいろいろな音楽を聴きました。(流行りものが決定的に分からなくなった1年でもありましたが)
そんな中で、今の自分にいちばんシックリきたのが、細野晴臣の『omni Sight Seeing』と『メディスン・コンピレーション』の2枚。
この2枚は発売当時から好きな作品でしたが、最近になって今までとは違った聴き方をしていることに気づきました。それは、アルバムの中に散りばめられた「異文化」「観光」「宗教」「アニミズム」「癒し」といったテーマを自分なりの感覚で取り入れて聴いていること。20代の頃は単に細野さんがつくった変わった音楽という感じで接していたのですが、だんだん心に響く音楽に変わってきました。
「宗教」「アニミズム」云々というと、ちょっと重いニュアンスになってしまいますが、要は‘自分の心地よい場所(時間)探し’ということです。それは、「スローライフ」でもなく、「ロハス」でもなく、ましてや一時期使われまくった意味での「癒し」でもない、まさに「アンビエント」という言葉がシックリくる感覚です。
じゃあ、吾輩にとってのアンビエントとは何だろうと考えてみたところ、それは自分の中にリズムをつくることだという気がしてきました。
こんなことを思うようになったのは多分、子どもができたからなんでしょう。ちっちゃな怪獣が誕生したおかげで、今までの自分のリズムがいとも簡単に崩れ、再構築の時期に来ているのでしょう。(あっ、コレを見て変な宗教や自己啓発の勧誘とかはやめてくださいよ。吾輩、そういうのは凄い剣幕で追い返しますんで)
そんなことを思いめぐらせながら細野さんの音楽を聴いていたところ、タイムリーなことに『アンビエント・ドライヴァー』という本が発売されたことを知りました。これは、細野さんが『メディスン・コンピレーション』をつくった時期のエッセイと、ここ数年のエッセイをまとめたもの。
前期のエッセイには精神世界に関する話題が頻繁に出てきますが、押しつけがましいところがなく、彼の音楽同様、心地よく読むことができます。
そして、最近のエッセイでは静かなパワーがみなぎっているのが伝わってきて、こっちもヤル気が出てくる。たまに明るくポジティブなキャラを売りにしているような人がいますが、そういう人ってウソくさいし、疲れますよね。
細野さんって、孤高の人でありながら信用できる人なんだろうなと感じるのは、揺れながらも前に進んでいく姿を正直に見せてくれるからなんだと思います。
comments
細野さんの音は、僕も、オールタイム安心できる音です。
1月に京大西部講堂に「東京シャイネス」を見に行ったらこんなことをおっしゃってました。
「練習すると必ず間違える。
計画すると必ず失敗する。
覚えてると忘れる。
生きてるから死んじゃう」
こういう「逆らわず、戦わず」的な姿勢、流石です。
アンビエントを感じました。
東京シャイネスのライヴ、羨ましいです。
代わりにDVD、買っちゃおうかな。
細野さんの言葉、響きますね。
ただボクの場合、練習・計画・記憶しなさ過ぎて、
焦ることがよくあります。
でも、ここまで何とか生きてこれたということは、
こんなんでもいいのかも知れません。