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2007年03月06日

『ヘル』

070306.jpg筒井康隆の『ヘル』を読む。高校〜大学時代は結構熱心に筒井作品を読んでましたが、断筆宣言以降の作品はどうも読む気がおこらず、ずっとスルーしていました。(この自分の中でのテンションの下がり具合は、まったく違うケースですが、ビートたけしがフライデー襲撃事件以降笑えなくなってしまったこととダブります)
で、『ヘル』ですが、やっぱり読んでいて居心地の悪さを感じてしまうんですよね。天国でも地獄でもない「ヘル」という世界観、スプラッタで黒い笑い、後半の七五調の文体はどれもおもしろい。特に子どもがトロッコに乗って崖から転落するところや、ドSなスナックのママがヤクザを拷問するところなどは、まさに筒井印の楽しさ。
でも、どこかお疲れになった筒井さんの姿が浮かんでしまう。今まで日本文学の最前線で闘ってきた自分と、もうそろそろ好きなように書かせてくれという自分がうまく合わさっていないような気がします。例えるなら、デビッド・ボウイがティン・マシーンをやっていた頃の感じ。
筒井康隆は身も心もヘンコじじいになった時に、また突き抜けた作品を量産すると思います。

posted by ichio : 00:05 | comments (2) | trackback (0) |

comments

最近「天狗の落とし文」読んだけど、カルピスの原液みたいに筒井汁が凝縮されてて、懐かしくて感涙ものでした。
それと「敵」。こういうテクニカルなのがたまらない。

Posted by: カトー at 2007年03月07日 17:49

カトちゃんも筒井好きやったよなぁ。
「天狗の落とし文」、たぶんまだ読んだことがないと思うので、
こんど読んでみます。
筒井さん、役者活動はお控えになった方がいいと思うのは俺だけ?

Posted by: OKUMURA at 2007年03月07日 20:16

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