KITSCH PAPER

HOME BOOK DAIRY MOVIE MUSIC ETC
Oh my Buddha!It is such a wonderful site that it's unbelievable.
2022.04.25

『ウマ娘』に戦慄

220425 『ウマ娘 プリティーダービー』、ヤバくないですか?

 ちなみに僕は『ウマ娘』について、スマホなどのゲーム、あるいはアニメ作品であるという以外何も知りません。もちろんプレイしたことも鑑賞したこともありません。ただ、夜中に放送していたテレビ番組の紹介コーナーで“いかにも”な造形の、ウマの耳をした女のコたちが、絶妙な前傾姿勢で競馬場のコースを一心不乱に走っている絵面を見た瞬間、「ヤバいものを見てしまった」と直感的に感じたのです。

 それは、画期的なモノが出てきたという驚きでも、斜め上からの冷やかしでもありません。僕にはそんな視点でとらえるほど知識ありませんから。ただ、ウマをアニメチックな女のコに擬人化し、そのキャラたちを競馬場(場所は他の設定に置き換えないのが異様さを強調させています)で走らせる世界観に頭がクラクラしたのです。

 水と油のモノが出会い、イメージがスパークする。それは、マルセル・デュシャンがモナリザにヒゲを付け足した作品「L.H.O.O.Q」をはじめ、美術の世界ではしばしば用いられてきた手法ですが、一般大衆を対象にしたエンターテイメントで用いられ、ヒットしているところがスゴいなと。

 いや、あの絵面にはそんな理屈や制作者の思惑を飛び越えた何かがある気がしてなりません。人の力ではコントロールできない次元のモノが奥底でとぐろを巻いている、くらいに思っています。
 もしかしたら、ヒトがアウストラロピテクス、ホモ・エレクトス、ホモ・ネアンデルターレンシス、ホモ・サピエンスと進化してきたように、今まさに進化の分かれ目に来ているのかもしれません。
 もちろん、何の違和感も感じることなく『ウマ娘』を楽しめているヒトが、次の段階へ進化する新人類。僕のように慄いている種類のヒトは、1万年後には適当な名前をつけられて旧人のカテゴリーに入れられているんじゃないでしょうか。
まあ、1万年後の話やったらそれでも全然いいです。

posted by ichio
2022.02.22

「みうらじゅん マイ遺品展」で心が洗われる

220222 仕事がひと山越え、心に余裕ができたので、前から行きたかった「みうらじゅん マイ遺品展」に行ってまいりました。
 そして、“心の師”と仰ぐジェダイマスターに、途方もない遺品を通じて「お前、日和ってるんじゃないか?!」とご指導いただきました。

 マスターみうらのおっしゃる通り、僕は一時期、世の中を駆け巡った「断捨離」という言葉に惑わされ、ダークサイドに堕ちそうになっておりました。

「こんな物持っていても死ぬまで見ないだろう」
「これを手元に置いておくのはちょっと恥ずかしい」
「そもそも何の役に立つのか?」

 そういう邪念が頭をもたげ、コレクションの一部を処分したのも一度や二度ではありません。いや、今も自宅のスペース的な問題で、日々葛藤している状態です。

 マスターみうらは、そんなグラつく僕の心を見透かして、ひとつでは意味を成さない物でも、切り口と数によって意味(価値)が生まれること、“集める”という行為自体が尊いことを教えてくださったのです。そう、「物を集めてきた軌跡こそ人生なり」と。

 みなさんもご存知の通り、マスターみうらは世界の片隅に埋もれている“一瞬違和感を感じるけど、すぐに意識の外側に追いやってしまう物”を拾い上げます。そして名前をつけて物量戦法を展開することで意味を生み出します。それは得体のしれない宇宙といえるでしょう。最近はじめられたという「コスプ(コロナ渦スクラップ)」は、カオス過ぎて頭の中がネジ曲がる快感をおぼえました。
 しかもマスターみうら(この言い方、そろそろ鬱陶しくなってきたでしょうか?)は、ひとつひとつのテーマが濃い上に、そうしたテーマが無数にある状態。宇宙で例えるから、太陽系みたいなものがいくつも集まって巨大な銀河系を構成しているようなもの。
 そしてマスターみうらは、こうした収集を“好き”という初期衝動で行っているのではなく、正体不明の使命感によって行い、最後には“好き”という境地に至る、“行”になっているところにホンモノの凄みを感じます。 

 僕もマスターの教えに従い、「断捨離」というダークサイドに堕ちることなく、ジェダイ騎士の誇りをもって物集めに邁進する所存です。

posted by ichio
2021.11.15

ちょっと変わったCDショップ、『M-CORO』オープン

211115 先日、CDのオンラインショップ『M-CORO』をオープン。
アクセスはコチラ

https://m-coro.stores.jp

 『M-CORO』は、おみくじ&ガチャコロ感覚でCDをご購入いただけることが特徴で、お客さまの「願いごと」や「(ライトな)悩みごと」「セレクトのリクエスト」に、店長のMr. ジョージ・オハラがドンピシャなCD(アルバム)をセレクト。暑苦しいお客さまへのメッセージと共にお届けします。

 ちなみにMr.ジョージ・オハラ、生まれはアメリカ/アイダホ〜育ちは京都、実家は豆卸問屋の音楽を愛する50代男性。
 僕に似ているようで似ていない、似ていないようで似ている、まるで同一人物のような存在。ゴキゲンで、ちょい謎な人物ではありますが、結構ウマは合います。

 ところで、サブスク時代の今、なぜCDなのかって?
 それりゃ、あの小さくカワイイ、サイズ感がナイスなこと。
 それに好きなものを手にとる満足感は、データでは得られないじゃないですか。“聴く幸せ”だけでなく、“持つ幸せ”も味わえることが大きな魅力。

 「音楽に興味はあるけれど、自分で探すのは面倒…」という、比較的若い方をメインのお客さまに想定しているのですが、よくよく考えるとそういう人って、CDプレイヤー持ってないんですよね。今さら気がつきました。
 サービス内容とターゲットのミスマッチ感が激しいですが、ぼちぼちマイペースで盛り上げていきたいと思っています。
 良ければご利用いただき、楽しんでもらえると幸いです。

 丁度となりにジョージ・オハラがいるので、彼からもひと言ご挨拶。

 「Welcome! 『M-CORO』店長のMr.ジョージ・オハラです。
 CDは今、ビミョーなポジションで忘れ去れつつある存在ですが、ストリーミングにもアナログレコードにもない魅力があります。なんと言っても、コンパクトでかわいいサイズがサイコーじゃありませんか! それに音も捨てたもんじゃありません。
 『M-CORO』をきっかけに、Meと一緒に音楽を楽しんでもらえたらサイコーです!!」

posted by ichio
2021.05.02

ゲームボーイ・ブーム到来

210502 いま我が家ではゲームボーイの一大ブームが到来。連れ合いと子どもはスーパーマリオ、僕はドンキーコングに熱くなっています。(この2作品はゲーム内容だけでなく、音楽も最高だと改めて実感している次第)
 よく「1周まわって〜」なんて言いますが、我が家の場合は他のゲーム機は持っておらず、携帯ゲームも一切しないので、同一周回でハマっています。
 自分にはこれくらいシンプルなゲームが丁度いい湯加減。今のゲームはしたことありませんが、おそらく体も脳もついていかないと予測されます。
 大体携帯電話にしてもオーバースペックで、0.01%の機能も使っていない自信があります。ワケのわからない便利機能をつけるなら、バッテリーの減りを少なくすることに力を注いでほしいものです。

 IT関連のサービスに関して、メディアやまわりの人から「これが流行っている」「あれが熱い」といったことを見聞きしますが、どうもピンと来ないんですよね。「それ、ホンマに要る?」と思ってしまう。
 例えるなら、奥さんの誕生日のお祝いに「アレクサ、ハッピーバースデー歌って」と言っている感じといえば分かっていただけるでしょうか。
 ちなみにあのCM、まあまあ恐怖映像です。
 世の中には次から次に新しいサービスが出ていて、時流を追いかけるのは大切なことなのかもしれませんが、個人的にはトイレットペーパーがシングルからダブルに変わることよりどうでもいいです。(僕はシングル派)

 今のITの進歩って、もはや個人の暮らしのレベルを超えていて、得しているのは雲の上にいる人たちだけのようなモヤモヤ感が拭えません。とはいっても技術の進歩によって社会が良くなっているのも事実なワケで。ただ、もう人間の手には収まらなくなっていて、『ターミネーター』や『マトリックス』の世界にどんどん近づいているような不気味さを感じます。
 僕が世の中に憂いてもどうにもならないので、とりあえずゲームボーイで楽しい時間を過ごしたいと思います。

posted by ichio
2021.02.02

前時代の遺物に・・・・

210202 随分前から時代の流れに乗りそこなっていることは分かっていましたが、改めて自分が前時代の遺物になりつつあることを痛感しました。
 年始早々、長年使っていたCDJがまったく動かなくなり昇天されたため、新しいCDプレーヤーを購入せねばとそこそこ大きい家電量販店に足を運んだところ、オーディオ製品はほぼ店舗に置いていないと言われ、クラッときました。
 自分的にCDは生活必需品として毎日使っていますが、一般的にはほとんど需要ないんですね。確かに子どもも特定の音楽を聴くためにお金を払うという発想はない様子だし、アルバムを通して聴くなんて行為もないようです。

 ちなみにこれまで使っていたCDJは、愛着はあったもののDJもしないのにイキって買ったため、僕にとっては無駄にスペースを取り、無駄な機能満載のCDプレーヤーでした。おそらく相手も「こんな使われ方ちがう!」と思っていたでしょう。

 一応僕もSpotifyは利用しているのですが、どんな感じの音楽なのかを確認する程度にとどまっています。
 音楽にしても本にしても身銭を切らないと身が入らないといいますか、たとえ気に入らない内容だったとしても無理やり“好きになりにいく”情熱が湧かないんですよね。
 それに好きなモノに囲まれて生きたいと思っている人間としては、データだけのスッキリしたお部屋というのがどうにも落ち着きません。
 こうした趣向がいろいろな面で不効率なのことは重々承知しており、本・雑誌に関しては一部電子書籍に切り替えようかなと思っております。

 映画もコロナウイルスの影響で、一気にサブスクでの配信に重きを置く方向に進んでいる模様。日本は映画会社と映画館がつながっているのでまだ流れは緩やかですが、アメリカの映画会社は完全に舵をきりました。
 現に最近は、マーティン・スコセッシの『アイリッシュマン』やデヴィッド・フィンチャーの『Mank マンク』など、大御所でも配信ありきの作品が少なくありません。
 またプラットフォームの変化によって、話の構成や画面のレイアウトも変わっていくでしょう。
 こうしたことは時代の流れなので文句をいっても仕方ありません。ただ、加齢によって順応性が鈍り、「自分の好きなものだけあればいい」と開き直りかけている身として、こうした変化に適応する自信がありません。

 僕はいまF1と映画、音楽、動物ドキュメンタリーを観るためにCSに入っていて、そろそろNetflixとDAZNに乗り換えようかなと思案しているのですが、まだCSの方が微妙に安いため踏み切れないでいます。
 こうして二の足を踏んでいる間に時代はどんどん進んでいき、ますます敷居が高くなるばかり。このままではズルズルとドロ沼にはまり挽回できなるので、誰かそっとやさしく導いていただけないでしょうか。

 個人的にはSiriに期待しています。最近インターネットのバナー広告が、どう考えてもアクセスや検索ワードの履歴だけでなく、マイクでこっちの話を盗み聞きしているとしか思えないシンクロ具合なんです。
 この前もテレビを見ながら墓石の話をしていたら、次の日にお葬式の広告が表示されました。家族一同元気なので、墓石関連のサイトにアクセスしたり検索したりする必要は微塵もなく、実際していません。
 当然Siri はNetflixやDAZNの話も聞いているので、サクッと登録のナビをしてほしいものです。

posted by ichio
2020.04.20

巣ごもり

200420 新型コロナウイルスの影響で、この1ヶ月巣ごもり状態。仕事もできる限り自宅でしています。というか、相次ぐ無期延期・キャンセルで勝手に自粛状態に。多分、新型コロナウイルスのせいだと思うのですが・・・・。
 まぁ、慌てふためいても状況が良くなるわけではないので、できることを粛々として、なんとか乗りきりたいと思っております。

 それにしても「COVID-19」という名前、まったく定着しませんね。個人的に「新型コロナウイルス」という呼び方がイマイチしっくり来ないので、「COVID-19」を使うように頑張っています。が、まわりの影響は大きく、ついつい「新型コロナ」と言ってしまい、慌てて「COVID-19」と訂正。当然のことながら相手からは面倒臭がられています。スラッと出るように80年代にヒットした「19」という曲をヘビーローテーションして脳内に刷り込んでいます。ちなみポール・ハードキャッスルが「なななな、ななな、な、ナインティーン」とつぶやく「19」とは、新型・・・・COVID-19のことではなく、ベトナム戦争におけるアメリカ兵の平均年齢を表しています。

 さて、テレビの情報番組で辻仁成さんがパリからできる限り外出しない(花見を控える)ように訴えかけた際、「桜は来年も再来年も咲く〜」とおっしゃっていました。この言葉の通り、我が家の植物たちも本格的な春を迎え、新型コロ・・・COVID-19に関係なく、新たな葉をムクムクと伸ばしはじめたため、長い巣ごもりを終え、外に出してあげることに。おひさんの下で水をやっていると、こっちの気分も少しばかり晴れます。
 前を通りかかったおばさん方からも、「いやぁ、よろしいなぁ」、「うまいこと育ててはんね」など胸アツなお言葉をいただき、思わず鼻の穴が膨らむ。
 そういえば以前は買う植物を片っ端から枯らしていたのに、最近はそんなこともなくなりました。なんでだろうと考えたところ、一瞬経験を積んで良い塩梅がわかってきたのかなと思ったのですが、そうではなく植物側がこっちに合わせてくれている気がしてきました。
これって仕事でも言えるような。自分でうまくやっているつもりでも、まわりの人たちが合わせてくれていたりするんですよね。今回のコヴィット・ナイン・・・・あぁ面倒くさい! 新型コロナウイルスによる巣ごもりをきっかけに、謙虚な気持ちを忘れないようにしたいと思います。

 家にいる時間が増えたので、自分のコレクションにあるもののほとんど聴いていないアルバムを聴き直す、名盤発掘に精を出しています。今のところのオレ的隠れ名盤No. 1は、サンタナの『サンタナⅢ』。ぶっ飛んだジャケットと、サイケとラテンが絶妙に合わさったサウンドがサイコーです。

posted by ichio
2019.07.12

旅先での出会い、本のカバー買い

190712 去年の夏に家族で金沢を訪れた際、何気なく入った雑貨店のギャラリースペースで版画家のタダジュンさんの個展が開かれていました。作品はいろいろなところで見たことはあったのですが、作者の名前を知ったのは恥ずかしながらこの時がはじめて。
 作品はどれもユーモアと毒っ気があって、すごくイカしてます。欲しい・・・・でも値段が・・・・・・・・。一人では決心がつかないので奥さんの様子をうかがったところ「いいやん」と許可をいただき、購入に向けてズズズンっ!と前進。しかし僕はCD1枚買うのに何ヶ月も思案する小心者です。OKが出たからといってすぐに何万もする大物を「これ、ください」と言えるワケがありません。想像しただけで喉がカラカラになってくる。さらに奥さんがOKを出したのは、自分も欲しいもの(それも版画と同等かそれ以上の大物!)をゲットするための策略じゃないかと、疑心暗鬼になる始末。
 これはいかんということで、一度頭を冷やして冷静に判断するため、近くにある本屋さんへ。すると、その本屋さんにタダジュンさんの作品が飾られているではありませんか。お店の人に話しかけると、その方はタダジュンさんのファンで、少しずつコレクションしているのだとか。この話を聞いて、作品の魅力だけでなく、好きな作家の作品を所有して楽しむという行為にもウットリする。
 これは“買い”だな。気合いを入れてギャラリーに再突入したのですが値札を前にしておじけづき、結局逃げて帰りました。

 それから1年経ちますが、ちょこちょこその時のことを思い出し、「買っておいたらよかった」と思ってしまうこの頃です。
 そんな後悔を少しでも晴らすため、最近タダジュンさんが装画を担当した本を集めはじめました。レコードの“ジャケ買い”ならぬ本の“カバー買い”。まだ買いだして間もないのですが、タダジュンさんは結構たくさん装画を手がけられていて、どの本もおもしろいんです。僕が読んだなかでは、ポルトガルの作家 ジョゼ・ルイス・ペイショットが書いた『ガルヴェイアスの犬』と、ドイツの作家で弁護士でもあるフェルディナント・フォン・シーラッハの『犯罪』という小説が良かった。特に『ガルヴェイアスの犬』は“へんぴな村にU.F.O.が墜落した”というキッチュな設定で、どこにでもいる人たちのしょうもない出来事を通して人生の機微を浮かび上がらせる、僕の大好物な作風。ヒトってどこまでもアホで不器用で愚かだけれど、愛おしい。そう思える作品です。
 小説と音楽、フィールドは違いますがU.F.Oつながりということで、僕の頭の中では1940~50年代のロサンゼルスにあったチカーノ・コミュニティを題材にしたライ・クーダーの大傑作『チャベス・ラヴィーン』と重なっていたりします。

 当たり前のことですが、こうしてカバー買いを楽しんでいても、本物の版画とブックカバーはまったくの別物で、僕の欲求が満たされることはありません。むしろ版画欲しい熱はさらに熱くなっています。
 でも、今後作品を手に入れたとしても、金沢で買っていたら感じたであろうワクワク感は味わえないでしょう。やっぱり旅先での出会いは大切にしないといけませんね。

posted by ichio
2019.06.03

トム・ミッシュ 大阪公演

190603 5月29日に行われたトム・ミッシュの大阪公演に行ってきました。
いや〜、期待通り良かった! 仕事を無理やり中断して大阪まで出た甲斐がありました。
 トム・ミッシュは最近いろいろなところで紹介されたり、星野源さんが注目していたりすることもあるせいか、会場は20代らしきの若人を中心に満員。
 彼のライヴは去年のサマーソニックで体験し、パフォーマンス力の高さは折り紙付きでしたが、その時よりも今回の方が骨太で、曲によってはヘビーなサウンドになっていた印象。バンドメンバーが替わっていたことも影響しているのかもしれません。特にベースのお姉さん、凄い音出してました。
 ヘビーといってもデビューアルバム『ジオグラフィー』をはじめ彼のこれまでの曲の大きな魅力である清涼感はそのままで、気持ちいいグルーヴをつくりだしていました。20代半ばでソウル、ファンク、ジャズ、ヒップホップなど幅広い音楽を“丁度いい”塩梅にミックスしながら、トム・ミッシュ印の音楽に仕上げるセンスと技量に脱帽です。

 ライヴ構成は中盤にスローな曲を集めるなど、全体的に程よく落ち着いた雰囲気。お酒を飲みながら観ることができればサイコーでした。
 また、あまりにセンスが良すぎて、見事にコントロールされた演奏を当たり前のように聴かされると、「若いんだから、もっとはっちゃけてもいいんじゃないの?」という、いちゃもんに近い感想も湧いてきたりします。これは5Aのおいしいステーキを食べている最中に「どて焼きも食べたなってきた」とほざくような野暮なのかもしれません。
 でも、『ジオグラフィー』ですでに完成されていたスタイルをこれからどう発展させていくのか早く2枚目のアルバムで確かめたいという期待感は、この日会場に足を運んだすべての人に共通する思いでしょう。

posted by ichio
2019.05.27

経年

190528五十代の大台が目前に迫ってきて、体のいろんなところが変化している今日この頃です。目は随分前から老眼が入り、文庫本を読むのがつらくなってきたし、スマホを見る時も「どんだけ離すねん」と笑われるほどの距離でないとピントが合いません。こうした変化を劣化と捉えると哀しくなるので、フリーザが形態を変えるように進化の過程だと捉えています。
 体重増加も進化のひとつ。この数年お腹まわりがモッサリしてきたなとは思っていたものの、軽い筋トレ以外これといった対処もすることなくスルーしていました。そしてゴールデンウィークに約1年ぶりに体重計に乗ってみたら、生まれてこのかた見たことのない数値を指し示しているではありませんか! さすがにこれはいかん!ということで、筋トレ強化(といってもヌルいですが)とダイエットを決行。
いきなりハードなダイエットをしても長続きしないので、晩ごはんの白米の量を減らし、夜におかしを食べないくらいにとどめています。
お腹まわりをスッキリさせるために、体重を減らすのと同時に何か良い方法はないかと考えたところ、いいのを思いつきました。

 そう、デューク更家さんです。両手を伸ばして頭の上で合わせて、シュッシュ言いながらクネクネ歩くやつです。これならいちいち「よっしゃ、筋トレするぞ!」とはりきる必要もなく、気軽にできる。というとで、家や仕事場で移動する時はシュッシュ言うてます。この前、仕事場でトイレに行く時にシュッシュ歩きをしていたら、お隣のテナントの綺麗なマダムに出くわして、かなり怪しい目で見られて気持ちよかったです。

 毎日シュッシュ歩きをしているうちに、「このカッコ、どこかで見たような・・・」という、出てきそうで出てこない気色悪い感じに悩まされるように。気持ち悪いのでいっそのことシュッシュ歩きをやめてしまおうかと思いはじめた時、ローリング・ストーンズの『ヴードゥー・ラウンジ』のジャケット(右上)であることが判明。デューク更家さん、ストーンズのメンバー、どちらが影響を受けたのかはわかりませんが、ソックリです。

 これがきっかけで久々にストーンズの曲を聴いていると、自分にとってのストーンズの最新作は1989年の『スティール・ホイールズ』ということに気がつきました。つまり、90年代以降のストーンズの曲はほぼ聴いたことがないということです。もちろん1994年に発表された『ヴードゥー・ラウンジ』も未聴。そこそこ慣れ親しんでいたバンドの新曲に30年近く接していないという事実に驚愕し、慌てて最近使い始めたSpotifyで『ヴードゥー・ラウンジ』を聴く。
 ・・・・・う〜ん、Spotify無料版の音質のせいなのか、自分の今の気分に合っていないせいなのかはわかりませんが、グッと来ない。もう少しねかせておく必要があるようです。
 ということで、しばらくはデューク更家さんの方にお世話になります。
 ダイエットは目標3.5キロ減で、現在2キロ減です。

posted by ichio
2018.08.29

サマソニ〜ベックのパフォーマンスに脱帽

180829 50近いオッサンがキャッキャッとはしゃぐ姿というのは、若人たちにはどう映るのでしょうか? 興奮が醒めていくに従い、「キモい、このオッサン」と思われていたのではと、ワキ汗が滲む今日この頃です。
 サマーソニック大阪でベックを観て、年甲斐もなく盛り上がってしまった話をしております。
 実はベックのライヴを生で観るのは今回がはじめて。これまで映像で観る限りでは、あくまでメインの活動はレコーディングであり、ライヴはグッとこないタイプのミュージシャンだと勝手に決めつけておりました。が、まったくそんなことはありませんでした。というか、もうサイコーで、圧倒されました!

 当日はお昼過ぎに会場に到着。熱中症対策として屋内会場でソルティライチを飲みながらスタンバイ。しばらくすると注目していた新鋭、トム・ミッシュのライヴがはじまる。ソウル、ブルース、ジャズ、そしてヒップホップのエッセンスを絶妙の加減でミックスし、極上のポップソングに仕上げている。自ら演奏するギターは透明感あふれるジョン・メイヤー直系。聴いていて気持ちいい。20代前半にして、このセンスとソングライティング能力。間違いなく近い将来メインストリームに駆け上がるでしょう。ちなみに僕が彼と同じ年齢の頃は、毎日「彼女ほしい〜」と悶絶していました。

 お目当てのミュージシャンが特にいない時間帯になったので、「せっかくなので」ということで、ONE OK ROCKを観賞。普通にカッコいい。森進一さんのご子息、こんな感じになっておられたのですね。
 この頃になると、クーラーボックスに飲み物を詰め込んでやって来た友だちが、となりでせっせとつくってくれるチューハイでホロ酔い気分に。「アテがほしい」ということで屋台ゾーンに行って飲み食いしている間に、楽しみにしていたチャンス・ザ・ラッパーを見逃してしまいました。

 そしていよいよ、ベックの登場。がんばって前へ移動すると、御用達のサンローランを身にまとい、ギターを持ったベックが目の前にいる。と、いきなり「デビルズ・ヘアカット」がはじまり、「ルーザー」へとなだれ込む必殺の展開。ジェイソン・フォークナーやロジャー・マニングjrらをはじめとするバックバンドが繰り出すサウンドは、ひたすらラウドで面食らう。そんなオッサンの驚きなどおかまいなしに、この後も目下最新作の傑作『カラーズ』を中心にキラーチューンのオンパレード。完全にパーティーモードというか、花火大会モード。前で踊りまくる外国人に感化され、こちらも大はしゃぎ。“ひとつになる”って、こういう感じだったんスね! 一体感を体感していると、外国人は彼女さんをハグしたりチューしたりとヒートアップ。やっぱり“こっち”と“そっち”には高い壁がありました……。
ライヴはあっという間に後半。メンバー紹介に合わせて、シック、ストーンズ、ニュー・オーダー、トーキング・ヘッズの曲をちょこっと演奏するのですが、これがイカす! 「ブルー・マンデー」なんか確実に本家よりカッコいい。(ニュー・オーダーは、ド級のヘタさが魅力なんですけどね)
 やってもやっても尽きないキラーチューンと完成度の高いパフォーマンスに、20年以上に渡りミュージックシーンの最前線を走りつづけている男の凄みを感じました。
 今年のサマソニ大阪はかなりショボいラインナップで、実際にお客さんの入りも残念だったようですが、ベックの最新型ライヴを観ることができただけで大満足です!

posted by ichio