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2021.03.13

「潤 沢」〜たかっしにリスペクト

210313  TBSで放送中のドラマ『俺の家の話』がおもしろい。
 キャストは長瀬智也、戸田恵梨香、西田敏行といった面々で、脚本は宮藤官九郎。

 あらすじはスッ飛ばし、今回は第6話に登場した阿部サダヲ演じるムード歌謡グループ「潤 沢」のリーダー、たかっしが素晴らし過ぎる話をしたいと思います。

 たかっし率いる潤 沢は、全国のスーパー銭湯やリゾート施設でおばさま(姫)を相手にした歌謡ショーを行うグループ。まぁ、純烈のパロディというか、そのまんまです。設定では、“純烈が行かない銭湯を狙ってステージを行うグループ”とのこと。

 ショーでたかっしはハッピー&ブルーのヒット曲「星降る街角」のカバー「星降る街角2021」をイカした腰つきで歌うのですが、曲の合間に入れる合いの手がアホらし過ぎてサイコーなんです。ドラマの中でも、最初は余りのくだらなさに失笑していた主人公家族が、次第にたかっしが放つ摩訶不思議なグルーヴに巻き込まれトランス状態に。

 つづいて繰り出されるのが、たかっしが“なかにし札(礼ではなく札)”というペンネームで作詞した新曲「秘すれば花」。作曲は筒美洋平。ちなみにモデルとなっている、なかにし礼&筒美京平のタッグはTOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」をつくっています
 「秘すれば花」は詞もメロディも使い古されたフレーズだけで出来ているのですが、たかっしにとってそんなことは承知の上。従来のムード歌謡を解体・再構築し、相対化しているのです。
 音楽番組を見ると、ダルそうな雰囲気を醸し出すロックグループのメンバーが、自分たちのオリジナル性についてドヤ顔で語りながら、「走りつづけろ真夜中のハイウェイ、踊りつづけろオールナイトロング」的な歌詞を歌いだしてコケそうになることありますよね。それに比べればたかっしの方がはるかにクールです。まぁ、こうしたロックグループも、たかっし的なアプローチをとっているととれなくもありませんが。

 さらにソウルクエリアンズのようにメンバーを固定せずフレキシブルに活動する姿勢や、メンバーの顔をプリントしたフェイスガードの販売などマーチャンダイズに力を入れているところも極めて今日的。
 そして何より、C調なキャラとプロフェッショナルな顔を絶妙な塩梅でブレンドするバランス感覚に感服です。たかっしさん、リスペクトです!

posted by ichio
2020.08.19

イカす男たち

200820 どうですか、この三人衆。
 こんな出で立ちの人を近所で見かけたら、絶対にその日一日は「あの人は何物だ?」、「ていうか、限りなく宣教師に見えるけど、今の時代に宣教師っているの?」、「何でうちの近くを歩いている?」、「ヤバくないですか?」と、仕事が手につかなくなります。

 でも、ご安心ください。本物の人間ではありません。人形です。
 これは、大阪の堺で土産物として作られていた、「南蛮人形」といわれる土人形。名前と見た目のまんま、ポルトガル人の宣教師や船乗りなどを模しています。
 
 とにかく、お三方の佇まいがイカし過ぎる。まず、おしゃれ。コントラストの利いた色合わせなのに、がんばってる感がない。絶妙な着くずしも板についている。そして、こんなにクセのある帽子をさり気なくかぶれるのは、おしゃれ上級者というだけでなく、かなりの曲者です。
 そんな普通じゃない男がパイプをくわえて、何やら考え事をしている。世界の行く末を憂えているのか、それとも晩ごはんのおかずを野菜炒めにするか、レバニラ炒めにするか悩んでいるのか。そんなことを想像しながら、何時間でも眺めていられます。

 以前、雑誌で南蛮人形を知って以来、欲しくてたまらなくなり、探しているのですが、なかなか出会いがありません。さっき“作られていた”と書いた通り、現在は作られていないんです。一時、地元にある『かん袋』という甘味処のご主人が趣味で復刻されていたそうですが、それも今はやめられたとのこと。
 こうしたモノとの出会いはタイミング。気長に待ちます。

 そういえば、仕事場までの道中にある古い喫茶店のショーウインドに、ポンチョとソンブレロを身につけ、膝を抱えている少年の人形が飾られていて、何年もの間イカすなぁと思いながら前を通っていました。お店の人に譲ってもらえないか、尋ねてみようかと考えたこともあるのですが、何だか失礼なような気がして我慢していたら、ある日忽然と姿を消したんです。

 代わりに他の置物を置くわけでもなく、メキシコ少年がいた場所は空席のまま。何年もの間置いていたものを、いきなり強制撤去するとは考えにくいし、誰かにプレゼントしたと考えるのがいちばん自然。

 たまたま前を通りかかった観光客が「カワイイ〜、これって売り物ですか?」と、白々しい&図々しい質問したところ、店の人は「人からもらったもんを置いてるだけですわ。なんやよう知らんけど、気に入ったんやったら持って帰らはったらよろしいわ」と、腰がくだけるような回答。
 こんな会話が交わされたのかと思うと、横山たかし師匠のようにハンケチを噛みたくなります。

posted by ichio
2020.07.18

あの興奮が蘇る!

200719  うわうわっ、こんなモノが発売されていたとは全然知らんかった!
2018年に誕生40周年を記念して、スペースインベーダーをはじめパックマンやギャラクシアンなど、昭和のゲームセンターを熱狂させた名作たちが、当時の姿を忠実に再現したアーケード仕様で復活!

 40代〜50代のおっさんで、これを見て心ときめかない人はいないでしょう。もちろん僕もその一人。小学校中学年の頃にテレビゲームブームが巻き起こり、ゲームセンターはどこも超満員に。しかし当時のゲームセンターは「不良が集まるところ」「あぶないところ」というイメージが強く(実際間違いではありませんでしたが)、うぶっ子だった僕は、親と行く喫茶店や旅館のゲームセンターくらいしかプレイする機会はありませんでした。そして、大金だった100円玉を決死の覚悟で投入し、全身がゾワゾワする興奮を感じながらプレイしたものです。
 それが高学年になるとだんだん調子にのってきて、友だちとビビリながらゲームセンターに行きだすようになり、中学生になるとほぼ毎日通いう始末。当然のことながら行く回数が増えると必要なお金も増えるワケで、そうなるとこれまた当然のことながら金欠に。
 そこで僕の場合は、勝手に習い事をやめ、親には行っているふりをして月謝をゲーム代にしていました。これ、今考えると、自分でも引きます。40年前のこととはいえ、まだ直接親に謝る勇気はないので、この場を借りて謝罪したいと思います。本当にすみませんでした! これからは、もうしません!

 ネットで復刻されたスペースインベーダーのレビューを見ると、概ね高評価。かなりマニアな人も満足するクオリティになっているようです。ただ、サイズは本物のアーケード仕様の3/4。高さも低くなっていて、立ってプレイするのが厳しいのが残念。
 でも、やっぱりこのルックスはそそる。
 僕は前から仕事場にガッツリ本物のピンボールゲームを置くのが憧れなのですが、この際スペースインベーダーでもいいかなと思っています。しかも値段が29800円(アマゾン価格)と、清水の舞台から飛び降りる気持ちになれば、買えてしまうのが嬉しいというか、怖いところです。

posted by ichio
2020.06.15

今の世の中にはベルガーが足りない

Ayrton Senna and Gerhard Berger 少しずつ社会が動きだした今日この頃。スポーツ界も未確定要素はありながらも、始動しはじめています。
 F1は、3月に開幕戦のオーストラリアGPをドタキャン。その後すべてのチームのファクトリーが閉鎖され、ほぼ活動停止状態に。
 しかし、多目的トイレで「その目的は考えてなかったわ」という、トリッキーな活用法を実践した芸人さんが袋叩きの目に遭っている間に、7月5日のオーストリアGPから開幕することが決定しました(残念ながら今年の日本GPは中止となってしまいましたが)。
 まだまだ状況によってはどうなるかわかりませんが、ひとまずシーズンがはじまるのはファンとしては嬉しい限り。尽力されている方々に「ありがとう」です。

 ところでここ最近、先の多目的トイレ芸人さんをはじめ、芸能人のスクープ&集中砲火が止まりません。
 ほとんどが当人同士の問題で、関係のない他人にはどうでもいいことのように思うのですが、一部の人は騒ぎ立てないと気が済まない様子。昔なんて、パンツに大麻を隠すという、とびっきり多目的にパンツを活用した役者がいたくらいなのに。まぁ、これは当時でも大騒ぎになりましたけど・・・・。
 「時代が変わった」「だってダメなことでしょ」「芸能人なんて人気商売」と言われたら「その通りでございます」という他ないのですが、窮屈すぎる気がしやしませんか。もうちょっとユルい世の中の方が生きやすく、楽しいように思うのですが。

 こうした世の中の流れの影響か、F1ドライバーも今と昔では随分さま変わりしました。
 昔はアウトロー的な人が多かったのに比べ、今は良くいえばスマートになった、率直にいうとビジネスマン化された。みんなチームやスポンサーに気をつかって、無茶なふるまいはしない。6度ワールドチャンピオンに輝き、見た目もライフスタイルも派手なハミルトンでさえ、キャラとしては薄い。だから、どんなに凄い走りをしても、それ以上にグッとくるものがないというか、感情移入できないんですよね。

 このようにお利口さんが多くなり、「今のF1にはベルガーが必要だ」と、しみじみ思います。
 F1に馴染みのない方に少しだけ紹介すると、ゲルハルト・ベルガーは80年代半から90年代にかけて、フェラーリやマクラーレンなどの名門チームで活躍したトップドライバー。しかしセナやプロストという超天才が全盛期をむかえていたこともあり、残念ながらタイトルを獲ることはできませんでした。が、記録ではセナプロには遠く及ばないものの、記憶の面ではまったく引けを取らず、今でも多くのファンに愛される存在。僕も30年F1を観つづけてきたなかで、トップ3に入るくらい好きなドライバーでした。
 彼の魅力は、高速コーナーが滅法速い豪快なドライビングもさることながら、個性的なキャラクターが大半を占めていたといっても間違いはないでしょう。
 とにかくお茶目で破天荒。スタッフや関係者へのいたずらは日常茶飯事。そればかりか、厳格な性格で知られるマクラーレンのドンであるロン・デニスをワニ園の池に突き落としたり、フェラーリのチーム代表だったジャン・トッド、チームメイトのジャン・アレジと車で移動中、いきなりサイドブレーキを引いて車を横転させたりするなどのヤンチャぶり。気難しくて、あまり人を寄せつけないセナにも容赦なし。セナのアタッシュケースをこっそり持ちだし、ヘリで上空から投げ捨てたというエピソードは有名。無茶苦茶を通り過ぎて、「ちょっと頭おかしいんじゃないの?」というレベルです。
 また彼は色気のあるハンサムで、女性にモテモテ。ベルガー自身も女性が嫌いではなく、今なら一部の人から集中砲火を受けるようなことをしていたとしても、何ら不思議ではありません。
 ドライビングに関してはハマると手がつけられないほど速いものの、波があってシーズン通して続かない。そして、まわりが呆然とするような考えられないミスをしでかすこともしばしば。けれど、「ここで勝ったらカッコ良すぎるやろ」というシチュエーションで勝ってしまう。このギャップがたまらん!のです。
 そして情に厚く、おまけに頭脳明晰。だから、多くの人に好かれ、今ではモータスポーツ界で重要なポジションに就いているのも、これまた何ら不思議ではありません。

 今、ベルガーのようなドライバーがいたら、やっぱり叩かれまくりなんでしょうか。違ったタイプでもいいので、クセの強いドライバーが増えて、サーキットを華やかにしてほしいものです。
 それはエンターテインメントの世界も同じ。こじんまりまとまらず、ダイナミックで、華やかであってほしい。そのためには、観る側もちょっとくらいのことなら笑ってスルーする余裕があっていいんじゃないでしょうか。

posted by ichio
2020.01.17

建物がまとう魔力は人がつくる

200117 秋口から続いていた忙しさも、年が明けてようやく落ち着いてきました。先日、仕事で高知に行った際も時間と気持ちに余裕があったため、泊まって観光を楽しむことができました。
 真っ先に訪れたのは、「土佐の九龍城」、「日本のサグラダファミリア」といわれる沢田マンション(通称「沢マン」)。
 沢田マンションは、専門的なスキルを持たない大家さん夫婦が自ら建てた、地上5階地下1階の鉄筋コンクリート建築物。つまり近年流行っているDIYの元祖であり究極型です。建物は、大家さんの直感(あるいは斜め上からの啓示)による自由過ぎる増築が繰り返されてきたため迷路状態に。しかも各部屋からにじみ出ている古参住人のオーラが凄い。一人で探索していると空間や時間の感覚だけでなく、こちらの価値観までねじ曲がっていくような感覚になります。

 そんなアメージングな体験をして思い出したのが、『HOME Portraits Hakka』(中村治)という写真集。
 どえらい存在感のある、おばあさんの顔の表紙を開いてまず引きつけられるのが、客家(はっか)という中国の移民が暮らす、福建土楼と呼ばれる集合住宅。外界を拒むようにそびえ立つ外壁をくぐると、何百年も前にタイムスリップしたような、それでいて単にレトロという言葉では片付けられない、こちらの感覚をねじ曲げる磁力をもった空間が広がっています。まさに沢田マンションの熟成版といった感じ。
 しかし、ページをめくっていくと、この写真集の主役は建物ではなく、そこに住む人であることが分かります。ほとんどがおじいさん、おばあさんで、味わい深過ぎる顔をしている。みなさんレンズを見ているのに、その先のずっと遠くを見つめている感じなんです。その瞳には、その人のこれまでの人生だけでなく、土楼という閉ざされた空間で暮らしてきた人たちの生活や、脈々と続く生命のサイクルが映し出されているように感じます。

 写真家の中村さんはあるインタビューで、建物を撮っても観光写真のようになってしまうため、そこで暮らし続けている人に焦点を当てることにしたと語っています。おそらく中村さんは客家の人たちの瞳を直視して、『2001年 宇宙の旅』のラストのようなトリップ感を体感したんじゃないでしょうか。
 『HOME Portraits Hakka』に収められている写真は、すべて土壁に反射した黄色い光に覆われています。それはあとがきに記されている通り、魔術的な雰囲気を醸し出していて、まるで土楼の中の小さな世界が幻であるかのように思えてきます。

 現在、福建土楼は世界遺産に登録されて観光地化が進み、多くの人は近くの現代的な家で暮らしているとのこと。中村さんが10年ぶりに訪れたところ、みなさんライフスタイルが変わって若返って見えたものの、撮影当時に感じた得体の知れない生命力は消えていたそうです。建物も住む人がいなくなるにつれ、磁力を失うでしょう。
 そこでがんばってほしいのが、沢田マンション。福建土楼や九龍城、軍艦島を受け継ぐ“生きたラビリンス”として、歴史を重ねていってくれることを願います。

posted by ichio
2019.09.21

新しい時代の予感

190921 おそらくほとんどの人にとっては、ちょっと前にヤン坊マー坊がデザインリニューアルされたことよりどうでもいいことだと思われるF1。(ちなみに新しく生まれ変わった8代目ヤン坊マー坊は、何とCG化されたデジヤン坊&デジマー坊に!)
 話を戻すと、F1は自動車レース最高峰の世界選手権でありながら日本では数年前に地上波から姿を消し、日本人ドライバーも現れないことから、今や多くの人にとっては存在しないも同然の状態。いま思うと、「ガソリン撒き散らして同じところをグルグル回っているだけ」と嫌味を言ってもらえるだけでもありがたいことでした。F1の名誉のためにいっておくと、世界的にみればファン離れが危ぶまれるなかでも「世界三大スポーツイベント」のひとつとして、オリンピック、サッカーワールドカップに次ぐ三番目の席を、ラグビーワールドカップ、ツール・ド・フランスと争うくらいの人気とスケールを誇っています。

 一見さんにとってはとっつきにくいF1ですが、だまされたと思って一度観てください。地上波では放送していないので、DAZNかスカパーに加入するか、現地に足を運ぶかしか方法はありませんが・・・。
 そこまで推すのはワケがあります。それは今、若い世代が新しい時代をつくっていくターニングポイントを迎えているからです。
 ここ10年はベッテルとハミルトンという(記録の面では)F1史上に名を残すドライバーが、前半後半5年ずつ支配する状態で、それぞれ圧倒的に強いマシンに乗っていたこともあり、正直退屈でした。しかしここ最近、大きな才能をもった若手が現れ、頭角を現しはじめているのです。
 その筆頭が、「翼を授ける」でお馴染みのレッドブルに所属するマックス・フェルスタッペンと、今年名門フェラーリに電撃加入したシャルル・ルクレールという青年。どちらもまだ21歳! 普通なら「そろそろ本気で就活せなヤバいな」と焦りはじめている年齢です。
 フェルスタッペンは並外れたスピードとドライビングテクニック、揺るぎない自信の持ち主で、どちらかというとヒール的な存在。こういうと語弊があるので、北の湖的な存在と改めます。一方ルクレールはどえらい才能に加え、日本人好みの甘いマスクも備えた千代の富士的なキャラクター。このキャラクターのコントラストがいいじゃありませんか。

 しかもフェルスタッペンが乗るマシンのパワーユニット(エンジン)は、日本が世界に誇るHONDA製。
 実はHONDAは2015年に華々しくF1に復帰したものの、浦島太郎状態になっていてなかなか現代F1の技術に対応できず、さらに当時タッグを組んでいたマクラーレンというチームが混迷期に陥っていたことも影響して、期待されていた結果を挙げられずにいました。しかし今年からレッドブルがパートナーとなり、優れたチーム力とフェルスタッペンという才能に助けられながら大躍進。まさにサクセスストーリーはこれからという状態なんです。

さらにフェルスタッペンとルクレールの他にも優秀な若手が出てきているので、ジャニーズJrを応援するように誰がブレイクするかチェックするのも楽しいでしょう。
 フェルスタッペン、ルクレールを中心にしたこれからの時代をつくる若武者と、ハミルトン、ベッテルというこれまでの時代を背負ってきた強者が、来シーズン激突することになるのは間違いありません。しかもそれぞれが絶好のタイミングで。今なら間に合います。世界中から集まった天才ドライバー、ごっつ頭のいいデザイナーやエンジニアたちが繰り広げる熱いドラマを目撃しましょう!

posted by ichio
2019.07.12

旅先での出会い、本のカバー買い

190712 去年の夏に家族で金沢を訪れた際、何気なく入った雑貨店のギャラリースペースで版画家のタダジュンさんの個展が開かれていました。作品はいろいろなところで見たことはあったのですが、作者の名前を知ったのは恥ずかしながらこの時がはじめて。
 作品はどれもユーモアと毒っ気があって、すごくイカしてます。欲しい・・・・でも値段が・・・・・・・・。一人では決心がつかないので奥さんの様子をうかがったところ「いいやん」と許可をいただき、購入に向けてズズズンっ!と前進。しかし僕はCD1枚買うのに何ヶ月も思案する小心者です。OKが出たからといってすぐに何万もする大物を「これ、ください」と言えるワケがありません。想像しただけで喉がカラカラになってくる。さらに奥さんがOKを出したのは、自分も欲しいもの(それも版画と同等かそれ以上の大物!)をゲットするための策略じゃないかと、疑心暗鬼になる始末。
 これはいかんということで、一度頭を冷やして冷静に判断するため、近くにある本屋さんへ。すると、その本屋さんにタダジュンさんの作品が飾られているではありませんか。お店の人に話しかけると、その方はタダジュンさんのファンで、少しずつコレクションしているのだとか。この話を聞いて、作品の魅力だけでなく、好きな作家の作品を所有して楽しむという行為にもウットリする。
 これは“買い”だな。気合いを入れてギャラリーに再突入したのですが値札を前にしておじけづき、結局逃げて帰りました。

 それから1年経ちますが、ちょこちょこその時のことを思い出し、「買っておいたらよかった」と思ってしまうこの頃です。
 そんな後悔を少しでも晴らすため、最近タダジュンさんが装画を担当した本を集めはじめました。レコードの“ジャケ買い”ならぬ本の“カバー買い”。まだ買いだして間もないのですが、タダジュンさんは結構たくさん装画を手がけられていて、どの本もおもしろいんです。僕が読んだなかでは、ポルトガルの作家 ジョゼ・ルイス・ペイショットが書いた『ガルヴェイアスの犬』と、ドイツの作家で弁護士でもあるフェルディナント・フォン・シーラッハの『犯罪』という小説が良かった。特に『ガルヴェイアスの犬』は“へんぴな村にU.F.O.が墜落した”というキッチュな設定で、どこにでもいる人たちのしょうもない出来事を通して人生の機微を浮かび上がらせる、僕の大好物な作風。ヒトってどこまでもアホで不器用で愚かだけれど、愛おしい。そう思える作品です。
 小説と音楽、フィールドは違いますがU.F.Oつながりということで、僕の頭の中では1940~50年代のロサンゼルスにあったチカーノ・コミュニティを題材にしたライ・クーダーの大傑作『チャベス・ラヴィーン』と重なっていたりします。

 当たり前のことですが、こうしてカバー買いを楽しんでいても、本物の版画とブックカバーはまったくの別物で、僕の欲求が満たされることはありません。むしろ版画欲しい熱はさらに熱くなっています。
 でも、今後作品を手に入れたとしても、金沢で買っていたら感じたであろうワクワク感は味わえないでしょう。やっぱり旅先での出会いは大切にしないといけませんね。

posted by ichio
2018.10.12

フィリップ・ワイズベッカー作品集

3101012 本屋さんで偶然見つけた、『フィリップ・ワイズベッカー作品集』を夜な夜な眺めるのが、近頃の一服タイムになっています。
 フィリップ・ワイズベッカーさんはフランスのアーティスト、イラストレイターで、資生堂、サントリー、JR東日本、無印良品などの広告や、小山田浩子さんのブックカバーを手がけるなど、日本に馴染みが深いことでも知られています。彼の名前を聞いたことがなくても、作品のクセが強いので何かひとつ見れば、「だったらアレも、この人が描いたんじゃないの?」となるでしょう。
 
 この人のクセ(個性)は、とことん余計なものを削ぎ落としたシンプルな鉛筆画。そして、独特のパース感。学校で習うデッサンのお勉強としては完全に間違っていて“いびつ”なんですが、不思議としっくりきて、引き込まれてしまうんです。直線がすべて定規で書かれているのも、なんかよく分かりませんが、すごく変態っぽい。この、“ヘンテコだけど気持ちいい”感覚は、J ディラのサウンドと似ているように感じます。

 ワイズベッカーさんが描くのは、古いクルマや工具、工場など。どこにでもあるモノなのに、なぜか描かれたモノたちが時を重ねてきた、これまでの時間をあれこれ想像させる力をもっているんです。そうやっていろいろ思い巡らせていると、自分を取り巻く日常も“良さげ”に思えてくるんですよね。それは、彼が描くモノのどんなところに惹かれるのかをしっかり捉えているからでしょう。う〜ん、すんごい観察力と洞察力。僕もこの力をもってお気に入り熟女女優を見れば、きっと新しい世界が拓かれる気がします。

 今回発売された作品集は、2000年以降に描かれた作品を網羅した内容で、彼の世界観を堪能することができます。作品集をつらつら眺めて感じるのは、彼の絵単体でも素晴らしいのですが、そこにタイポグラフがついてデザイン化された広告ツールも、それに引けを取らないくらい素晴らしいということ。こうした広告ツールをもっと取り上げてくれたら、僕的にはさらにGoodでした。あと、カバーの紙質はもう少し丈夫なものにしてほしかった。フニャフニャで、本体を入れても、たわんでしまいますやん!

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2016.09.27

アメリカ企業がF1を買収

160926 先日、メディア・通信・エンターテインメント事業などを展開するアメリカの企業リバティ・メディアが、F1を買収したと発表されました。
 そのお値段、8000億円!! 8000円置くんと違います。1億円の8000倍、8000億円を払うのです。8000億あったら、僕の欲しいCD・DVDリストに載ってるやつ、余裕で買えるじゃないですか! それだけじゃなく、気になっているスニーカーも定価で買える。しかも買い物帰りに、シェフが目の前で焼いてくれるようなステーキ屋さんでたらふく食べて、お土産にステーキサンドなんかもお持ち帰りできる、相当な額です。もし、この1/10000の額、いや1/100000でうちの事務所(従業員は僕1人)の買収話が持ち上がったら、カルタの選手並みのスピードでOK出します。
 シャープの買収額が4000億円弱ということからしても、半端ない額であることは間違いありませんが、ワールドカップ、オリンピックに次ぐ規模を誇るスポーツ興行の値段としては、どことなく叩き売られた感が漂います。実際、近年のF1はさまざまな面で行き詰まっていて、人気下降が止まらない状態。日本でも今年から有料放送のみという有り様。おかげで我が家もCSに加入する羽目になりました・・・・。

 今回の買収で大きな話題となっているのは、アメリカの企業が買ったということ。F1はヨーロッパのスポーツで、アメリカでの認知度はイマイチ。ミュージシャンで例えるなら、イタリアのプログレバンド「アレア」のボーカル、デメトリオ・ストラトスあたりでしょうか。デメトリオ、ご存知でしょうか? ヨーデル唱法を取り入れた人類史上唯一無二のボーカリストなのですが、普通に生活していたら、まず出会うことはありません。F1もそれと大して変わらない存在だと思います。
 一応アメリカでもレースは開催しているのですが、スタンドはガラガラ。何となく分かりにくくて面倒くさい感じが(実際に分かりにくくて面倒くさいのですが)、Born To Be Wildなアメリカ人には馴染まないのでしょう。
 そんなF1不毛の地アメリカの大企業が買ったのですから、何か企んでいるはず。事実、これまでの大株主だったCVCキャピタル・パートナーズが単なる投資対象としてF1を捉えていたのに対して、リバティ社は積極的に運営に関わっていくとしています。新会長に就任した21世紀フォックス元副会長のチェイス・キャリー氏も、多くの人に受け入れられるようにショーアップしていくかもと発言している模様。早くもF1をここまで大きくしたドン、バーニー・エクレストン氏と火花を散らしているとか。

 こうしたビジネス魔人の権力争いは置いておいても、改革が必要なのは間違いありません。F1買収額の1/100000で身売りすると豪語する人間がいうのも何ですが、今のF1には3つの領域での改革が必要だと考えます(キリッ)。

 1つ目は、クルマや競技に関するレギューレーション。詳しく説明すると長くなるので手っ取り早く言いますと、今のレギューレーションはF1の魅力をまったく引き出せていない。F1の魅力とは、最高のスタッフが最高に速いマシンをつくり、最高のドライバーがマシンを限界ギリギリで操り1番を争うスリルと狂気がダイレクトに伝わることです。いろいろレギューレーションの上っ面をいじくり回しているのですが、いい加減、抜本的な改革に取り組むべきです。

 2つ目は、運営体制とシステム。今は元締めだけが儲かり、チームやレース主催者などはジリ貧状態。チームの財政難はドライバーやレースの質低下を招き、興行面の行き詰まりは観戦料の高騰やグランプリ中止につながります。今の厳しい条件を受け入れられる主催者は(特にヨーロッパでは)少ないので、自ずとお金を持っているF1とは縁遠い国で行われることになってしまいます。また、元締めが各国のテレビ局に膨大な放送権料を迫るため、テレビ局は「見たい奴は金払え」と、有料放送へとシフト。それでますますファンが減るという、負のスパイラルを起こしています。チーム、レース主催者への分配を増やすシステムをつくると同時に、迅速に実行に移せる体制をつくる必要があります。

 3つ目はプロモーション。みなさん、F1と聞いてどんなイメージが浮かびますか? たぶん何のイメージも湧いてこないのではないでしょうか。もしかしたら中には、「気分を害するカン高い声をした人が解説するスポーツ」という、非常に偏ったイメージをもっている人もいらっしゃるかもしれません。それでもイメージをもってもらえているだけありがたい。それくらいF1は、若い人に「F1、マジやばい」と感じてもらうための取り組みをしていないのです。いきなりナイキやアディダスみたいにカッコいいものは求めません。童話で出てくる「太郎」が3人集まり何やかんやする、どこぞの電話屋さんのパクりでもいいので、ブランディングとプロモーションに取り組んでいただきたい。こうして新たなファンを獲得すれば、激減しているスポンサー獲得にもつながるでしょう。
 あぁ、無責任に正論を吐くのって気持ちいい〜!
 今回のリバティ社による買収をきっかけにして、F1改革に着手してくれることを期待します。

posted by ichio
2016.06.20

ファッションのゾンビ化防止

160620 派手な恰好が似合う人に憧れます。子どもの頃からベーシックなものを身につけることが多かったため、派手めな服を着るのが気恥ずかしい。そうしてスルーしているうちに、オッサンがジーンズを履くとどこか不自然なように(まぁ、僕も立派なオッサンですが)、普通の服さえ似合わないカラダになってしまうので要注意です。
 かといって、いきなりレインボーTシャツを着てもイタい人になるだけなので、日頃から派手な色やデザインに耐えうるカラダづくりをしておくことが大切だといえるでしょう。

 ファッションのゾンビ化防止は、手軽さやコストを考えると、やはりTシャツが最適。といっても、最初から派手な色にするのはハードルが高いので、とりあえず色は地味なままにして、胸や背中に描かれている言葉をとんがったものにしてみるのが良いのではないかと考えています。例えば、「WONDERFUL LIFE」というような毒にも薬にもならない言葉から、「I LOVE JUKUJO」といったメセージ性があるものにシフトする感じです。

 Tシャツのほかに、もうひとつ使えるのが、スニーカー。実は僕も写真のようなスニーカーを履いてアンチエイジングをしようかと思案中です。
 しかし、こんな派手なスニーカー、どんなシーンに履いて行ったらいいんでしょう? そして、どんな服を着たらよいのか、皆目分かりません。
 希望としては、スポーツをする時ではなく、あくまで街で履きたい。でも、仕事で履くとなると、「先方さんに怒られるかな……、いや、キャラづくりのために思い切って攻めてみるか」など、考える要素が増えて面倒くさい気もする。40半ばを過ぎて、こんなことで悩む自分をキュートに感じます。
 最近、アジア系の若い外国人観光客を見ると、個性的に履きこなしているように思うのですが、すべてが違い過ぎて、どこをどう真似てよいのか分かりません。
 下手こかないように、これまで通り、定番的なものにしておいた方が無難なのかもしれません。ただ、僕が好んで選んでいる定番は、よく製造中止になってしまうんですよね。これって、時代に合っていないというか、要はダサいってことなんでしょうか・・・・。

posted by ichio