おっさんも魅了されるリトル・シムズ
チーズカルビ乗せのにぎり寿司・・・・。回転寿司に行くたびに子どもがこの違和感しかない組み合わせのお寿司を次々にすくい取る姿を見て、昭和ど真ん中生まれのおっさんにはなかなか理解し難いといいましょうか、そもそも今の若人とは感覚自体が違うんだなと感じさせられます。
ただ、はなっからチーズカルビ乗せのにぎりを否定するのも大人としてどうかと思い、試しに食べてみたのですが、マグロやタイの皿よりも優先させて捕まえる動機をまったく見いだせませんでした。
お寿司に関してはZ世代のにぎりが食べられなくてもまったく気にならないものの、音楽に関しては自分なりに新しいものにもふれておきたいという意識はまだ残っております。(自分で新しいと思っている音楽が、若い人にしてみれば「はぁ?」ということあるかもしれませんが)
というワケで、去年スポティファイに勧められて聴いたのがリトル・シムズという女性ラッパー&アーティストの『Sometimes I Might Be Introvert』というアルバム。
いいやないですか。2000年以降のエレクトロ色の強いサウンドに、歌っているようなラップを乗せた音は、「嫌いではないけど、そればかりだと脂っこ過ぎて胸やけがする」パンシロン状態でしたが、このアルバムは抜けが良くてフレッシュ!
確かにこのアルバムにもエレクトロミュージックや大仰なアンサンブルなど胸やけ成分はあるのですが、明らかには他とは違う“何か”があるのは間違いありません。
『Sometimes I Might Be Introver』を際立たせている要素として、まずエレクトロミュージックと生演奏、あるいはヒップホップとソウルとの絶妙なブレンド具合や、彼女のひょうひょうとしたラップが挙げられます。が、もっとも強烈なインパクトを放っているのは、「Speed」や「Point and Kill」「Fear No Man」に取り入れられているアフロミュージック。少しとんま風味なベースミュージックを下地にして、ポリリズムとアフロファンクなホーンを絡めたサウンドは呪術度高し。そこにリトル・シムズの体温低めのキュートなラップが乗ることで唯一無二の世界になっています。
配信先行で発表された新作も最高だし、ケンドリック・ラマーが「本物だ」と認めるのも納得です。
そういえばここ数年、ブラックミュージック界隈でアフリカ回帰が色濃くなっていますね。個人的にもアフロミュージックへの関心が高まっているのですが、沼るのが怖い・・・・。