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2020.07.31

まだまだ熱いポール・ウェラー

207031  これを待っていたんですよ、アニキ〜!

 UKロックのレジェンドであり、我が人生の師でもあるポール・ウェラーが、キャリア40年を超えた今、これまで生み出してきた数々の名作たちの中に、新たな1枚を加えてくれました。

 僕がポール・ウェラーと出会ったのは中学生時代。彼がスタイル・カウンシルを始動させてしばらく経った頃です。バンド・エイドのビデオで、多くのミュージシャンが楽しげに合唱している中、一人むずかしい顔をして歌っている男前を見つけて、興味を持ったのがきっかけでした。
 それから40年あまり、ずっと彼を追いかけつづけてきましたが、正直『22ドリームス』あたりから首をかしげるように。
 そのワケは、彼の持ち味である骨太かつ憂いを帯びたメロディの後退。特にクラウトロックを意識した『ソニック・キックス』と『サターンズ・パターン』では、意図的に盛り上げる曲展開を避け、短いフレーズのリフレインとサウンドプロダクションで引っ張る曲が増え、「悪くはないけど何か煮え切らない」気持ちがつづいていました。

 そんなアニキに僕からテレパシーを使って提案していたのが、スタカン時代のようなメロディアスな曲調にエレクトロニックな要素をまぶしたAOR化。年齢を重ねた今だからこそ、ポール・ウェラー流のブルー・ナイルのようなアルバムをつくれば、いいモノができるはずという確信がありました。
 しかし、僕のテレパシーが弱いせいか、なかなか提案は受け入れられませんでした。『ア・カインド・レボリューション』でオーソドックスな英国産ロックの方向に戻る気配をうかがわせ、つづく『トゥルー・ミーニングス』ではフォーク・ロック的な要素を取り入れるなど、少しずつ近づいてはきていたものの、「ちょっと違うんですよ・・・・」と苦虫を噛み潰しておりました。

 そして、ついに僕の想いとピッタリ合ったのが、今回ドロップされた『オン・サンセット』。全編ウェラー節全開。心に引っかかるメロディも戻っている。しかもそこにこれまで試行錯誤してきた曲作りやサウンドプロダクションが活かされている。例えば、オープニングを飾る「ミラーボール」や中盤のハイライトの「モア」のような曲をダレずに聴かせる構成力は、10年代あたりから脱ウェラーを図った成果といえるし、控えめながらツボを抑えたエレトロニックサウンドは、『ソニック・キックス』や『サターンズ・パターン』で培ったもの。間違いなくここ10年間の集大成であり、傑作といえるでしょう。
 どの曲も芯がしっかりしていて聴き応えがあるのですが、やっぱりノスタルジックな雰囲気の「ヴィレッジ」と「アース・ビート」が白眉。人生の後半をむかえた男の視点から書かれた歌詞もグッときます。
 また、スタカン時代にお払い箱になったポリドールに復帰しての発売というのも泣かせるじゃありませんか。

 今作でアニキとエレクトロニックの相性が良いことが明らかになったので(僕はずっと前から分かってましたけどね[キリッ])、次作もこの路線を押し進めてほしい。
 いやぁ、またこうして彼に熱くなれることがうれしい。どこまでもついていきますッ!

posted by ichio