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2016.09.27

アメリカ企業がF1を買収

160926 先日、メディア・通信・エンターテインメント事業などを展開するアメリカの企業リバティ・メディアが、F1を買収したと発表されました。
 そのお値段、8000億円!! 8000円置くんと違います。1億円の8000倍、8000億円を払うのです。8000億あったら、僕の欲しいCD・DVDリストに載ってるやつ、余裕で買えるじゃないですか! それだけじゃなく、気になっているスニーカーも定価で買える。しかも買い物帰りに、シェフが目の前で焼いてくれるようなステーキ屋さんでたらふく食べて、お土産にステーキサンドなんかもお持ち帰りできる、相当な額です。もし、この1/10000の額、いや1/100000でうちの事務所(従業員は僕1人)の買収話が持ち上がったら、カルタの選手並みのスピードでOK出します。
 シャープの買収額が4000億円弱ということからしても、半端ない額であることは間違いありませんが、ワールドカップ、オリンピックに次ぐ規模を誇るスポーツ興行の値段としては、どことなく叩き売られた感が漂います。実際、近年のF1はさまざまな面で行き詰まっていて、人気下降が止まらない状態。日本でも今年から有料放送のみという有り様。おかげで我が家もCSに加入する羽目になりました・・・・。

 今回の買収で大きな話題となっているのは、アメリカの企業が買ったということ。F1はヨーロッパのスポーツで、アメリカでの認知度はイマイチ。ミュージシャンで例えるなら、イタリアのプログレバンド「アレア」のボーカル、デメトリオ・ストラトスあたりでしょうか。デメトリオ、ご存知でしょうか? ヨーデル唱法を取り入れた人類史上唯一無二のボーカリストなのですが、普通に生活していたら、まず出会うことはありません。F1もそれと大して変わらない存在だと思います。
 一応アメリカでもレースは開催しているのですが、スタンドはガラガラ。何となく分かりにくくて面倒くさい感じが(実際に分かりにくくて面倒くさいのですが)、Born To Be Wildなアメリカ人には馴染まないのでしょう。
 そんなF1不毛の地アメリカの大企業が買ったのですから、何か企んでいるはず。事実、これまでの大株主だったCVCキャピタル・パートナーズが単なる投資対象としてF1を捉えていたのに対して、リバティ社は積極的に運営に関わっていくとしています。新会長に就任した21世紀フォックス元副会長のチェイス・キャリー氏も、多くの人に受け入れられるようにショーアップしていくかもと発言している模様。早くもF1をここまで大きくしたドン、バーニー・エクレストン氏と火花を散らしているとか。

 こうしたビジネス魔人の権力争いは置いておいても、改革が必要なのは間違いありません。F1買収額の1/100000で身売りすると豪語する人間がいうのも何ですが、今のF1には3つの領域での改革が必要だと考えます(キリッ)。

 1つ目は、クルマや競技に関するレギューレーション。詳しく説明すると長くなるので手っ取り早く言いますと、今のレギューレーションはF1の魅力をまったく引き出せていない。F1の魅力とは、最高のスタッフが最高に速いマシンをつくり、最高のドライバーがマシンを限界ギリギリで操り1番を争うスリルと狂気がダイレクトに伝わることです。いろいろレギューレーションの上っ面をいじくり回しているのですが、いい加減、抜本的な改革に取り組むべきです。

 2つ目は、運営体制とシステム。今は元締めだけが儲かり、チームやレース主催者などはジリ貧状態。チームの財政難はドライバーやレースの質低下を招き、興行面の行き詰まりは観戦料の高騰やグランプリ中止につながります。今の厳しい条件を受け入れられる主催者は(特にヨーロッパでは)少ないので、自ずとお金を持っているF1とは縁遠い国で行われることになってしまいます。また、元締めが各国のテレビ局に膨大な放送権料を迫るため、テレビ局は「見たい奴は金払え」と、有料放送へとシフト。それでますますファンが減るという、負のスパイラルを起こしています。チーム、レース主催者への分配を増やすシステムをつくると同時に、迅速に実行に移せる体制をつくる必要があります。

 3つ目はプロモーション。みなさん、F1と聞いてどんなイメージが浮かびますか? たぶん何のイメージも湧いてこないのではないでしょうか。もしかしたら中には、「気分を害するカン高い声をした人が解説するスポーツ」という、非常に偏ったイメージをもっている人もいらっしゃるかもしれません。それでもイメージをもってもらえているだけありがたい。それくらいF1は、若い人に「F1、マジやばい」と感じてもらうための取り組みをしていないのです。いきなりナイキやアディダスみたいにカッコいいものは求めません。童話で出てくる「太郎」が3人集まり何やかんやする、どこぞの電話屋さんのパクりでもいいので、ブランディングとプロモーションに取り組んでいただきたい。こうして新たなファンを獲得すれば、激減しているスポンサー獲得にもつながるでしょう。
 あぁ、無責任に正論を吐くのって気持ちいい〜!
 今回のリバティ社による買収をきっかけにして、F1改革に着手してくれることを期待します。

posted by ichio