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2015.03.25

原題直訳のタイトル

150325 もう随分前の話になりますが、映画『バス男』が原題通りの『ナポレオン・ダイナマイト』に戻されましたね。以前の記事にも書きましたが、この邦題は誰も得をしないホントに酷いものでした。ただ、素直に過ちを認めて改めたことは評価したい。

 それにしても近頃の邦題は、ますます残念な感じになっています。昔も『愛と○○の〜』や『愛の〜』といった適当なものもが多くありましたが、今は日本語に訳すか英語読みのままにするかのレベルで、「あり得へん!」という代物が多いように感じます。むずかしい英単語が入った長ったらしいタイトルは、どういう意図があってつけられたのか、ぜひとも教えていただきたい。「B’zの『愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない』に触発されて」という答えが返ってくるならまだいいですが、たぶんそんな思い入れもないでしょう。
 それなら、ピンク・フロイドの『Atom Heart Mother』を『原子心母』としたように、原題をそのまんま日本語に置き換えることをおすすめしたい。例えば、デヴィッド・リンチの『エレファント・マン』も『象男』にすれば、この作品が持つグロテスクさや怪奇テイスト、それを描いたリンチの想いが、より伝わると思うのですが、いかがでしょう。日本人はカッコいい漢字を持っているのですから、もっと活かしたいところです。

 最近読んだ『動物農場』(ジョージ・オーウェル)も、タイトルの字ヅラと直訳(原題は『Animal Farm』)の響きにクラッときて、手に取った代物。“動物”と“農場”、単体であればほのぼのとした雰囲気の言葉なのに、合体すると異様なイメージが沸立ってくる。これが“アニマル・ファーム”だと、異様さが全然伝わってきません。これこそ、言葉のマジック。昔は“団地妻”に代表されるように、エロの世界がこの力を駆使していたのに、めっきりお目にかかれなくなったのが哀しい。
 話の内容も、人が全体主義に傾く心理を寓話スタイルで描いたディストピア小説で、“動物農場”という響きがピッタリ。ジョージ・オーウェルといえば『1984』が有名ですが、こっちもおもしろいです。

posted by ichio