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2016.08.22

『シン・ゴジラ』観賞前にサントラを聴く

160820 『シン・ゴジラ』がおもしろいそうじゃないですか。
僕はこれまでゴジラ作品をはじめとする怪獣映画をほとんどスルーしてきたのですが、こう盛り上がってくると観たくなってくる。でも、タイトルがどうにも受けつけなかったり、かつて登場したミニラやゴジラの“シェ〜”ポーズが頭をよぎったりして、どうしても足がすくんでしまう。観に行くべきか、行かざるべきか……。
 夜中にリオ・オリンピックを観戦しながら悩んでいると、むかしゴジラのサントラ盤を買って、ほとんど聴かずにレコード棚の肥やしになっていることを思い出しました。やっと出番がきた。中古屋さんに売り飛ばさなくてよかった。やっぱり断捨離なんてものはしない方がいい。
 さっそく棚からサントラを引っ張り出して、針を落とす。スケール感のあるイントロにつづいて流れてくるのは神楽。日本の土着神でもあるゴジラの特性をあらわす秀逸なオープニング。つづいておなじみの“ザザザン、ザザザン、ザザザザザザザザザン”という「ゴジラのメインタイトル」。この曲はあまりにも有名過ぎるせいで今ではギャグ的な要素が付着してしまっていますが、改めて素で聴くとミニマルっぽくてめちゃカッコいい。(年代的には、こっちの方がずっと早いですけど)
 次の曲は「ゴジラの恐怖」。この曲、なかなか文字ではあらわしにくいですが、みんな一度は聴いたことのある曲です。メロディだけでなく管楽器の生々しい音色が、ゴジラの巨大感や質感、そしてゴジラを目の当たりにした人たちの恐怖をリアルに表現している。60年以上も前の曲なのに今も新しく聴こえるとは、伊福部昭、やるなぁ。
 予告編を見ると、『シン・ゴジラ』ではゴジラの存在感が強調されているので、メインタイトルよりも「ゴジラの恐怖」の方がフィットしていますね。

 気分がノッてきたのでライナーノーツに目を通すと、驚くべきことが判明。自分では1作目のサントラ盤を買ったつもりでいたのに、実際はゴジラ諸作からいいとこ取りしたベスト・オブ・ゴジラ。ということは、ミニラやゴジラが“シェ〜”をやらかした作品の音楽も紛れ込んでいる可能性が……。
 ただでさえアンチ・ベスト盤なのに、こんな代物を購入している自分にほとほとガッカリする。おそらくこのサントラ盤を買った時も落胆しているはずなのに、完全に記憶から消えていることにも驚きです。イヤなことを忘れ去ることのできる人間の記憶能力って、うまいことできてますね。

 なんだかんだで結局、『シン・ゴジラ』観ました。石原さとみさんのゴジラに匹敵する異物感あふれる怪演など、言いたいことはいろいろありますが、そんなことは置いておいて(といっても、石原さんの役はなかなか置いておけない役なんですが)、まずは本作の素晴しさを認めることが正しい姿勢かと。特にゴジラの絶対的な存在感と破壊シーンの絶望感は、昨今のハリウッド映画にはないインパクトです。ただ、最初出てきた“ヤツ”を見た時は、作中内のコント番組を見せさせられているのかと思いましたが。
 あまりの襲撃で、少し前に観た『X-メン アポカリプス』の内容がすっかり消えてなくなりました。

 ところで今作の音楽は鷺巣詩郎のスコアに加え、これまでのゴジラ作品からまんべんなく使われていました。つまり、僕が持っているサントラ盤と同じ感じ。そう考えると、手元にあるサントラ盤が急に優れモノに思えてきました。

posted by ichio